COLUMN 2018年10月9日

カフェと新聞で人々の交流をつくる 大牟田で始まった真の「地方創生」への挑戦

 カフェでの飲食や新聞などを通じて、人々の交流の場を提供する「ROOTH2-3-3」が8月24日、福岡県大牟田市にオープンした。「ROOTH」はオープンしてから1カ月で来客数が1万人を突破しており、現地の人々もその人気ぶりに驚いているようだ。

(取材・撮影 石井達也)

 

店舗はれんが造りの建物を再利用している

 

 「ROOTH」は「ROOTS of THINKING.<思い、考える、が根付く>」がコンセプトで、誰もが気軽に訪れ、集える場所を目指す。米倉だったれんが造りの建物を再利用した店内では、レコードから流れるBGMを楽しみながら、コーヒーやドーナツなどを味わうことができる。

 

店舗の中心に置かれた開放的なキッチン
レコードからのBGMが店内に華を添える

 

 通路壁面のギャラリーには、大牟田の歴史を切り取った写真を数多く展示。小紙も協賛している新聞ライブラリーでは、業界紙の『日本食糧新聞』や『点字毎日』、地方紙の『日刊大牟田』『西日本新聞』など60紙(8月24日のオープン時点)を自由に読むことができる。

 

ギャラリーの写真からは大牟田の歴史を感じ取れる
珍しい新聞が並ぶ新聞ライブラリー

 

 「今まで大牟田にはなかった、こんな店ができてうれしい」と年配の男性客は話し、笑顔でドーナツを頬張った。初老の女性客は、職場に置いてあるチラシを見て、出勤前に訪れたという。家族連れや若者同士で訪れる客も。どの客も全く新しいコンセプトの店に興味津々だ。

 

ドーナツは小ぶりで食べやすく、ついつい別の味を試したくなる

 

 地方を盛り上げることで日本全体の活力向上を目指す「地方創生」は、人口や経済成長率などの無機的な数字で評価されがちに思われる。真の「地方創生」に必要なのは、数字では表せない、出会った人々の間で自然と会話が生まれて豊かな交流が育まれるような場ではないだろうか。米倉を再利用した建物、レコード、新聞──「ROOTH」を構成するのは、運営会社「Be The One」のCEOを務める後藤倫さんいわく「今ある物」。特に「読んでいる人の興味・関心が表れる新聞は、人々の会話を生み出す絶好の種になるのではないでしょうか」。現代人が失いつつある有機的なつながりを育む力を、「ROOTH」は秘めている。

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