COLUMN 2018年7月5日

新入生の47%が「不快な思い」 東大生に聞いた新歓活動の裏側

 主に合格発表日から4月、5月にかけて行われる部活やサークルの新歓活動。新歓イベントを通してさまざまな体験をすることができ、交友関係を広げられるという利点がある一方、新入生の断りづらいという気持ちを利用して執拗(しつよう)に勧誘を行う団体も存在する。スマートフォンの普及によりLINEなどのSNSを利用した新歓も多く、個人情報保護の観点でも不安は多い。

 

 今回は新歓の実態について新入生にアンケートを実施(※5月23日〜6月5日に東京大学新聞社がインターネット上で実施。回答数103件、小数点以下は四捨五入)。受験当日から始まる新歓合戦にどの程度効果があるのかを考察し、執拗な勧誘によって不快な思いをしている新入生がどの程度いるのか調査。また、上級生から匿名で意見を募り「新歓をする側の苦労」についても取材した。

 

Twitterなどで情報収集する学生4割以上

 

 アンケート前半では受験当日、合格発表日、3月中、テント列[1]、サークルオリエンテーション(サーオリ)[2]、4月中と時系列に沿って新歓活動ごとに参加率とその効果を調査した。受験当日にビラを「受け取った」、合格発表日に実際に上級生からの「話を聞いた」学生はどちらも20%前後と少ない。これらの新歓活動に効果があると思うかという質問に対し「とても効果があると思う」「まあまあ効果があると思う」と答えた割合は合格発表日が受験当日の約2倍となり、試験の出来に一喜一憂している受験当日はあまり新歓の効果が見込めないことが分かった。

 

 

 

 3月中と4月中の新歓イベントの参加率を比較すると、3月中に新歓イベントに参加した学生は14%にとどまる一方で、4月中のイベントには9割以上の学生が参加している。また、3月中のイベントは35%の学生が「当時そのようなイベントがあるのを知らなかった」と回答しており、イベント告知の必要性や難しさがうかがえる。

 

 

 これらのイベントをどのようにして知ったかに関しては、「ビラ詰め封筒[3]に入っていたビラ」が最も多く6割だった。一方で、「自分でTwitterなどのSNSやホームページを巡って調べた」が2番目に多く4割を超え、積極的に自分から調べている人が多いことが判明した。

 

 多くの部活やサークルが参加するテント列やビラ詰め封筒、サーオリについては「とても役に立った」「まあまあ役に立った」の合計がそれぞれ49%、74%、91%となり、テント列が他の二つに比べて目立って低い結果となった。サーオリに関しては、45%の学生が「とても役に立った」と回答しているが、これはサーオリにあらかじめ目星をつけて行ったと回答した学生が93%(「あらかじめ目星をつけていたところにだけ行った」「あらかじめ目星をつけていたところに加え、当日声をかけられたところにも行った」の合計)であることから、自分で聞きたい内容を聞ける点が好ましく思われていると考えられる。

 

新歓の一環としてLINE 7割が否定的

 

 

 ビラに部活・サークルのLINE公式アカウント(LINE@)のQRコードを貼ったり、校門前で待ち伏せして個人間でLINEを交換したりなどLINEの活用は新歓において大きな存在を占めている。新歓の一環として上級生とLINEを交換したことのある学生は約6割だ。それに対して「新歓の一環としてLINEを利用するのには反対」「公式アカウントはいいが、個人間の交換には反対」と個人間のLINEの交換に否定的な回答した学生は70%に上り、LINEの交換を望んでいない学生が多いと推測できる。

 

不快な思い 約半数

 

 新歓の一環で不快な思いをしたことがあるか、という質問には47%の学生が「ある」と回答。具体的内容としてはテント列での強引な勧誘を挙げた学生が最も多かった。「興味がないと言っているにもかかわらず、通行を妨げられて強引にテントの中へ誘導された」という回答が少なくなく「テント列は東大の悪習だ」という回答も。自由記述欄の回答39件のうちテント列に関する記述は13件あり、テント列への不満の高さがうかがえる。

 

 個人情報についての記述も9件。「入る気がないのに個人情報の登録を迫られた」「LINEを交換した上級生からの勧誘がしつこかった」という回答のほか、「しつこい勧誘から解放されたくてLINEを教えたら電話がかかってきた」「メールアドレスを教えたら大量のメールが送られてきて、配信を停止させようとすると怪しいサイトに飛んでしまう」という体験をした人もいる。

 

上級生の見た闇 スクショ提出

 

 新歓をする側の上級生にも苦労がある。新歓イベントが毎日のようにあるため他のことに時間が取れなくなる、おごらなければならないせいで出費が増えるという悩みは多くのサークルで共通する。実際に新歓をする側になって驚いたこととして「新入生の情報をスプレッドシートでまとめている」「新入生とのLINEのスクリーンショットの提出を義務付けられる」ことを挙げる学生もおり、「個人情報保護やプライバシーの問題からやめるべきだと思うが、みんなやっているため言い出せない」と悩む学生も。

 

 今回の調査を通じて華々しい新歓活動の裏側では新入生と上級生の双方が不快な思いをしていることが判明した。なんとかして自分の部活やサークルに入ってもらいたい気持ちは理解できるが、双方とも不愉快な気分になるのでは効果的とは言えないだろう。いま一度各団体で新歓のやり方について検討し直してみてはいかがだろうか。


[1]テント列:ほぼすべての部活やサークルが駒場キャンパス内一部の道の両側に列をなすようにテントを建てる。諸手続きを終えて帰宅する新入生を勧誘し、テント内でその部活やサークルの説明を行う新歓イベント。

[2]サークルオリエンテーション:4月初めの2日間、各部活・サークルが駒場キャンパス1号館の教室にブースを設け、新入生が興味のある部活やサークルを回る形で行われる新歓イベント。

[3]諸手続きの際に配られる、各サークルのビラが詰められた封筒。

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