学術ニュース

2020年1月20日

流体中の微小粒子を安価簡便に自動測定

 茂木信宏助教(理学系研究科)は12月20日、空気や水といった流体中に浮遊する微小粒子の新たな測定法を考案し、実証にも成功したと発表した。地球環境問題に関わる汚染微粒子の広域観測に活用される予定。

 

 近年、光学顕微鏡で観測できない直径数マイクロメートル未満の微小粒子や気泡を自動測定する技術の必要性が増している。しかし従来は流体中の微小粒子の構成物質を特定する際、前処理の必要があった。さらに粒径別に微小粒子の濃度を測る際、同時に構成物質を特定することはできなかった。

 

 茂木助教は、2006年にイタリアの研究者が発明した濃度の測定法を改良し、自身が考案した構成物質の特定法を組み合わせた。茂木助教が考案した特定法ではあらゆる形状の粒子に対し、屈折率や光の吸収しやすさを示す数値を正確に測定できるようになった。結果、粒径約0.2〜1.0マイクロメートルの粒子を粒径別に濃度測定する際、粒子の構成物質も同時に特定可能になった。

 

 測定時に用いるレーザー光線の波長を調整すれば、空気・水・有機溶媒の全てに適用可能。加えて低コストで、前処理を経ず測定できるため、幅広い分野への応用が期待される。


この記事は2020年1月14日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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