COLUMN 2017年12月3日

魅力を知れば世界が広がる 東大生に聞く「3大SNS」それぞれの使い方とは

 

 休み時間にツイートチェック、友達と遊んだらインスタグラムで写真を共有……。今や、SNS(会員制交流サイト)は大学生の生活の一部になりつつある。総務省が今年7月に公表した調査報告(表)によれば、10代の8割強、20代の95%以上が何らかのSNSを利用。中でも群を抜いているのが、ツイッター、フェイスブック(以下FB)、インスタグラムだ。東大生は、これらのSNSとどのように向き合っているのか。それぞれの魅力を知る3人に話を聞くとともに、SNSを利用していない学生にも取材し、東大生のSNS事情を探った。

(取材・山口岳大)

 

「気楽」インスタが急伸

 

 ツイッターは前述の調査によれば10、20代共に約6割が利用する人気ぶり。東大でも積極的に利用するユーザーは「クラスに4割程度いると思う」(文Ⅰ・1年)。友達からの「いいね」やリツイートを通じ「自己肯定感を高められる」(文Ⅱ・1年)他、他人のツイートから、面白い話題や大学の情報を収集しているという。

 

 一方、FBは前調査で15年から16年にかけ、20代で利用率が約7ポイント減少し、若者離れが指摘される。用途は「連絡先保存用」(文Ⅰ・1年)などに限られ、投稿も少ない場合が多く「節目ごとに投稿する友人は20人に1人くらいのイメージ」(文Ⅰ・2年)。比較的フォーマルで「情報価値の高い内容が提供される」ため、敷居が高く感じられることが一つの要因とみられる。

 

 著しく台頭しているのが、インスタグラムだ。前調査では、15年から16年にかけ、20代の利用率が約14ポイント増加した。「部活でほとんどの人がアカウントを持っています」とある女子運動部の学生。他のSNSより、写真や動画に特化しているのが特徴だ。昨年8月には、投稿が1日で自動削除される「ストーリー」機能も登場し、人気を博す。前出の女子運動部の学生は「一生残る投稿よりも気楽でいいんだろう」と話す。


Twitter

独り言許容される心地よさ 現実世界とは分けて考える

 

えいちゃーさん @EICEAR

―—ツイッターの魅力とは

 特有の距離感に心地よさを感じます。直接話すと煩わしいことでも、独り言として許容される場です。異なるコミュニティーに触れる新鮮さも魅力。ツイッターで知り合った相撲好きと国技館に行くなど、実際に会うこともあります。

 

―—投稿で心掛けていることはありますか

 僕は現実世界とツイッターを分けて考えています。インターネット上の知り合い向けアカウントの他に、学校の友人向けアカウントがあるのもそのため。下書きしてみて、より多くの人が共感してくれそうなものを前者で投稿しています。

 

―—SNSには、トラブルもつきものかと思いますか

 一度、マスコミの取材が来るほどツイートが伸びた(多数の人に共有された)ときのこと、素性が暴かれたり、勝手な憶測が飛んだりする騒ぎになりました。もし実名を公表していたらと思うと、ゾッとします。最近は経歴や自撮りを普通に載せる東大生も多く、個人情報の扱いが軽くなっている印象を受けます。

 

えいちゃーさんの「伸びた」ツイート

 

Facebook

友人の近況や考え方知る 弱いつながり、役立つことも

 

吉井 啓太さん
(農・6年)

―—FBの魅力とは

 友人の近況や考え方が分かる点。直接会うとき、会話が広がる種になります。

 

—―FBでの投稿の特徴は

 実名が主で、真面目な発信が多いです。中には、人生の奇麗な側面が強調され過ぎ違和感を感じる人もいます。一方的に発信されたメッセージに、受信者が従属的にコメントするだけの場合が多いのも特徴。そのため、受信者同士の交流も生まれにくいようです。

 

―—2600人以上が友達登録されるに至った理由は

 学外の活動が盛んだった大学2、3年で、積極的につながりを増やしました。ただ、ここまで増えたのは、FBという気軽なツールがあったからこそ。人間関係には「強い紐帯(つながり)」と「弱い紐帯」があるといいますが、FBは後者を保てる手段です。幅広い分野の友達と「弱い紐帯」でつながっていれば、仕事で助けになることも。僕自身、図書館でも入手できない論文を海外の友人に入手してもらった経験があります。これこそ、FBの醍醐味だと感じています。

 

Instagram

友人と共有できる「日記」 幸せな体験 写真と共に投稿

 

Maiさん @maikyasl

―—インスタグラムの魅力とは

 思い出を言葉や写真と共に残しておける上、周りに楽しかったことをアピールできます。他人に見られる日記という意味で、平安時代の日記文学に通じるかもしれません。

 

 

―—主な投稿の内容は

 出掛けたり、映画を見たりといった特別なことをして幸せを感じると、投稿したくなります。私の場合、容量が大きく見るとキリがない「ストーリー」機能より、タイムライン上に流れる通常機能での投稿が中心です。自分へのエールや軽い愚痴など、日常的な感情をつぶやくツイッターとは区別しています。

 

—―友人関係への影響は

 自分が楽しんだことを友達に共有でき、話が盛り上がります。写真と共に投稿する分、イメージが伝わりやすいんです。一緒にランチをした友人などが「楽しかった!」と投稿していると、うれしくなります。普段遊ばない友人の投稿にコメントしたことから、交流の機会に発展したこともありました。

 

「ストーリー」の画面イメージ

非利用者の声 SNSへの「拘束」懸念する声も

 

 一方、「3大SNS」をあえて利用しない東大生も。その理由として目立ったのが「必要性を感じない」だった。「実際に会って話せばいい」「ラインで十分」など、現状に満足している様子がうかがえる。中には「炎上」や過度の熱中を懸念する意見も聞かれた。

 

 SNSを使わないと、「会話についていけなくなる」など情報格差も生じる。それでも「投稿しなければならないという義務感」や「SNS上での人間関係」による拘束を厭う思いが強く、利用を始めるには至らないようだ。

 

 ただ、必ずしも否定的な意見ばかりではない。Aさんは、SNSにより生じる問題は「判断した個人の責任」だとし、SNSそれ自体に非はないと主張。Bさんは、SNSは決して特殊なものではなく「自己承認欲求を満たすさまざまな手段」の一環なのではないか、と述べた。

 SNSの利用法は千差万別。記者もユーザーの一人だが、取材を通じその奥深さに驚嘆した。自分なりの使い方にこだわっても良いが、積極的に他のユーザー、他のSNSに目を向けてはいかがだろうか。意外にも、人生を豊かにするヒントが転がっているかもしれない。


この記事は2017年10月24日号に掲載された記事を再編集したものです。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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推薦の素顔:中山裕大さん(理Ⅰ・1年→理学部)
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キャンパスガイ:ウィジャヤ=テオドルスさん(理Ⅰ・1年)

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