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2021年10月7日

藤井総長 任期中の行動指針を発表 対話を通じて社会への貢献目指す

 東大は10月1日、藤井輝夫総長の2026年度までの任期中の行動指針「UTokyo Compass」を発表した。同日には記者会見が行われ、基本理念と具体的な行動指針が発表された。基本理念として「対話から創造へ」「多様性と包摂性」「世界の誰もが来たくなる大学」を掲げ、学内だけでなく、学外も含めた多様な人や組織と共に対話を通じて未来を作ることを目指すとしている。

 

記者会見で行動指針を説明する藤井総長(撮影・金井貴広)

 

 三つの基本理念にのっとった具体的な行動計画の軸として、「知をきわめる」「人をはぐくむ」「場をつくる」という三つの視点に、これらの視点によって好循環を生み出すための「経営力の確立」を加えた4点が示された。

 

 具体的な行動計画については、①新しい大学モデル・②GX(グリーントランスフォーメーション)・③DX(デジタルトランスフォーメーション)・④ダイバーシティ&インクルージョン・⑤教育・⑥研究・⑦社会との協創──の七つの観点から計画が示された。(具体的な行動計画の概要は下記参照) 

 

 藤井総長は、就任時以来「対話」を「未知なるものと向き合う実践」として重要視するとしてきた。記者会見でも行動指針策定に当たって学内で構成員と対話を繰り返し行ってきたことを強調した他、コロナ禍で学生間の交流・対話ができないことに対し「講義以外で交流できる場を作ることを学部・学科単位で実現できるようお願いしている」とした。

 

 東大では、04年の小宮山宏・元総長の就任以来、新総長就任に際して任期中の行動指針が発表されている。過去には五神真前総長の「東京大学ビジョン2020」、濱田純一元総長の「行動シナリオ FOREST2015」などが発表されてきた。

 

具体的な行動計画の概要

 

①新しい大学モデル
 構成員が自律的かつ持続的な創造活動を行うための「自立的で創造的な大学モデル」の構築に当たり、「財政経営本部(仮称)」を設置。また、産学連携や海外連携に関して法務、財務などの面でリスクを未然に防ぎ、適切に対応できるよう体制を構築する。財源としては、高い自由度での経営のため1000億円程度の法定基金(仮称)の創出をする他、東京大学基金や昨年10月に発行された大学債などの既存の財源の効果的な活用を目指す。卒業生ネットワークの強化などから東大の発信力を強め、ブランド・レピュテーションを確立する。

 

②GX(グリーントランスフォーメーション)
 グリーンエネルギーへの転換による社会構造の変化を指すGXについて、東大は地球環境に関する国際協働プロジェクト「グローバル・コモンズ・スチュワードシップ・イニシアティブ」に参画し、経済活動に際しての地球環境に対する取り組みを測る指標を作成してきたが、より着実な実行を目指す。この他高度人材育成プログラムを推進するなど産学連携の上取り組む。学内のGX推進については、GX本部(仮称)を設置し、CO2排出量を30年度に06年度比で半減することを目標とする。

 

③DX(デジタルトランスフォーメーション)
 IT技術による社会革新であるDXについて、医療・気象・社会・材料などの分野についてデータを用いた研究を推進する。学内環境についてはDX本部(仮称)を設置。サイバー空間に広がるキャンパスを目指し、オンライン授業の改革などに取り組むとした。また、学習活動管理システムUTokyo Oneを開発し、学習の成果を蓄積・可視化して学生が活用できるようにする。

 

④ダイバーシティ&インクルージョン
 男女共同参画室を中心に関係部署を統合し、ダイバーシティ研究・教育推進機構(仮称)を設置。ダイバーシティ&インクルージョン宣言を策定し、学生対象の教育プログラム、教職員対象の意識啓発イベントを通じ東大全体の意識変革に取り組む。女子学生比率30%、教職員の女性管理職比率25%などの数値目標を目指す。

 

⑤教育
 文理の枠組みを超えた「学術長期構想」を策定し、学部教育を強化。後期教養課程や部局横断型教育プログラムを通じ、専門分野以外への興味を継続する機会を提供する。先述のGX、DX、ダイバーシティ&インクルージョンの分野などについて部局横断型のプログラムを整備し、「現代社会における対話力の基礎となる教育プログラム」として提供する。国際総合力認定制度の活用、各種国際交流プログラムの拡充を通じて国際社会でリーダーとなる人材を育成する。

 

⑥研究
 博士課程学生への経済的支援率を早期に50%とし、高度博士人材の育成を推進する。研究活動の企画管理を担うリサーチ・アドミニストレーター(URA)の充実など研究支援環境を整備する。国際連携研究拠点として海外に拠点を構築し、研究大学として世界トップレベルの研究を推進する。

 

⑦社会との協創
 GX、DXをはじめとする先端研究領域を中心に、産学で年間200億円以上の共同研究を実施する。起業を推進し、600億円規模のファンド設立、東大関連スタートアップを700社創出するなどの目標を通じ、本郷周辺を「本郷インテリジェンスヒル(仮称)」として発展させる。学外者が学ぶリカレント教育のシステムを整備し、社会に学びを提供する一方で東大側も社会から学びを得る双方向の教育を目指す。

 

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