就活

2023年3月22日

大学と就活の予定がかぶったら? 学生、大学、企業の事情

 

 学問・研究の場である大学。しかしそこに通う学生にとっては就職活動(就活)もまた、自身の将来を左右する大きな問題だ。東京大学新聞社は、昨年12月5日から26日まで、Googleフォームを用いて「就活の問題点・『おかしい』と感じた経験談」を募集。就活を理由に授業を休まざるを得ないことを問題視する回答が集まった。そこで、就活と授業の両立を巡って悩んだ経験のある学生に取材するとともに、本問題に関する大学の取り組みと企業側の事情について、東京大学キャリアサポート室に聞いた。(取材・松崎文香)

 

板挟みになる学生

 

 東京大学新聞社が実施したアンケートで、就活中に感じた問題点を記述式の設問で聞いた。そこで、就活経験のある複数の学生から「インターンの日程などが平日であることが多く、大学の授業と被る。その場合、会社も大学も配慮をしてくれないため、結局学生が板挟みになってしまい、村(編集部注:原文ママ)をする」「“インターンシップ”が無給、複数日程で時期によっては授業期間に行われる」という回答が集まった。このように授業と就活がかぶった際、就活を優先して授業が「欠席」となった経験がある人はどれほどいるのか。Twitterの投票機能を用いて選択式アンケートを実施。「就活と授業等が被ったので、大学を欠席したが、大学側の配慮はなかった(通常の欠席扱いとなった)経験」の有無を聞くと、「ある」と回答したのは62.1%、「ない」と回答したのは37.9%だった(グラフ)

 

(グラフ)東京大学新聞社の公式Twitterにて、投票機能を用いて1月12日〜13日に実施。回答数は293票。数字は小数第1位で四捨五入

 

 

 実際に長期インターンを理由に授業を休んだ経験があるAさん(工・3年)に話を聞いた。「2年生の6月から10月まで、AIやロボットを扱うITベンチャーで営業のインターンをしていました」。営業メールを企業に送り、良い返事が来たら初回営業に行く。手応えがあれば、話がまとまるまで商談を重ねる。「対面の営業は週2、3回でしたが、先方の都合に合わせられるように平日は予定を空けておいて、とインターン先から言われました」。他のインターン生は休学中など、学業の負担が比較的少ない学生が多かったという。「実験や演習など、必修の授業に被らないようにする代わりに、他の授業は休むことがありました」。営業の準備や会議など、リモートワークも含めると毎日勤務していた。深夜まで作業した後、社員とオフィスに寝泊まりすることもあり、結局「学業がおろそかになってしまう」と4カ月で退職した。

 

 「社員とインターン生の線引きがなく、インターン生がいないと仕事が回らない体制でした。そこまでのコミットを求められるのは、学生には厳しいです」

 

学業優先が前提 企業側の配慮も

 

 就活と授業の両立に関する大学の取り組みと企業側の事情について、東京大学キャリアサポート室のキャリアアドバイザーと事務担当者に話を聞いた。

 

 アドバイザーによると「就活の日程についてのご相談はよく伺います。インターン開催予定日が複数ある場合、参加できない日程があっても応募して良いのかという質問や、実際に選考と授業が被ったので企業や教員に相談しても良いかという悩みなどです」。状況ごとにアドバイスもさまざまだが、日程に不都合がある場合、大学や企業に相談すること自体は問題ないという。「双方に誠意を尽くして事情を話せば、相談は可能です。しかし学業優先が基本である以上、教員が『就活に配慮して成績をつける』のは難しいでしょう」。

 

 授業を休まざるを得ないときに備え、日頃から無断欠席を避けたり、単位を計画的に取得したりすることが大事だという。また事務担当者は「教員にもよるが、授業に行けないことが決まった段階でなるべく早く相談するのが良い」と話す。

 

 一方、教員への相談が難しい場合もある。「学業優先が当然」と考える教員に対し、就活の話をすること自体に抵抗がある学生もいる。また就活していることをオープンにしていない学生の場合、さらに相談のハードルは上がる。

 

 学業と就活の両立のためには「学修と社会での経験を結びつける目的で、学生生活を通してインターンシップを計画しておくこと」が大切だという。早い時期からインターンなどに参加し、職業や就活情報に触れることで、学業の都合で参加できなくても、焦らなくて済む。「この機会を逃したらどうしよう」と考えることで、かえって選択肢が狭まることもある。アドバイザーは「企業イベントへの参加をやむを得ず断ることがあっても、ご自身の選択に大きく影響しないように複数の方法で準備を進めておくと良いですね」と話す。

 

 一方、インターンや選考を実施する企業側はこの問題にどう対応しているのか。

 

 東大は採用活動を行う企業に対し、学業への配慮を求める声明を毎年発表している。本年度の『2022年度本学卒業・修了予定者(2023年3月卒業・修了予定者)の就職・採用活動について(要請)』では、学生の授業や試験と選考が重なった際に選考日時を変更することや、大学所在地が遠方の場合には「多様な通信手段を活用」するなどの対応を呼び掛けている。キャリアサポート室はこの要請文を企業に郵送しており、本年度は250社ほどに送付した。

 

文書が掲載された東大HP
東大のウェブサイトにも要請文が掲載されている

 

 企業も就活イベントに多くの学生が来てもらえるよう、大学の学事暦を考慮しているという。「体験型インターンシップでは、プログラムを体験するだけでなく、平日に社員が実際に働いている姿を観て実感を深めてほしい」と考えている企業も多い。夏休みや冬休みにインターンシップが開催されることを『就活の早期化』とする見方もあるが、実際に企業が学生のスケジュールや期待に応えるためでもあるようだ。

 

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