キャンパスライフ

2021年5月20日

東大→海外大学院という選択 出願プロセスを米国大学院学生会が徹底解説!

 

 皆さんこんにちは!米国のシカゴにあるノースウェスタン大学で、医学情報学の博士課程(Ph.D.)2年目に在籍中のデニス サヤと申します。2017年に東大農学部を卒業し、米国で2年半の勤務経験を経て現在の博士課程に進学しました。現在は、Yuan Luo教授の研究室で、機械学習の医学への応用を研究しています。また、米国大学院学生会という、日本出身の現役海外大学院留学生また留学経験者の有志の団体に昨年より関わらせていただいており、今年から代表を務めさせていただいています。

 

 米国大学院学生会(以下「学生会」)は2010年、海外大学院への学位留学を志す日本人学生を支援する目的で設立されました。設立当時は、日本から海外大学院へ進学という進路がかなり稀であり、選択肢として現役日本人学生にこの選択肢をより広く知ってほしいというミッションのもと活動していましたが、海外大学院進学が進路として少しずつ普及してきた今は、様々な分野、学位(修士・博士)、地域(米国以外にも欧州、アジア、ヨーロッパ等)への留学を志す学生達を支援するべく、毎年夏季・冬季開催の留学説明会を中心に活動しています。今回は、皆さんに海外大学院とはどういう選択肢なのかを少しでも知ってもらい、また学生会主催の留学説明会について知ってもらう目的で、東大新聞オンラインへ寄稿の機会をいただきました。

 

毎年2回開催している留学説明会の様子。コロナ禍でオンライン開催となる前は、各大学を会場に開催していました。

 

米国大学院進学とは?

 

 近年、日本から海外大学院への進学者数はかなり増えてきたものの、通常の就活や国内大学院進学と比べるとまだかなりの少数派で、この進路にどんなメリットがあるのか、また出願・進学のプロセスはどういうものなのか、イメージが湧きにくい場合も多いと思います。英語が得意でないから無理そう、出願の過程が全くわからなくて大変そう、など、ハードルが高く感じられる方もかなり多いはずです。

 

 米国では、専門分野にもよりますが、修士と博士が一緒になった学位プログラムが一般的です。期間は5、6年間と少し長い一方で、在籍期間中は給与が完全に保証されている場合が多く、学費や生活費の心配なく研究に思いっきり打ち込むことができるという大きな利点があります。1、2年目は授業を履修し、2、3年目に修士に相当する試験があるプログラムがほとんどです。日本から進学する場合は、学部卒業時点で直接進学することも、修士課程や勤務経験を経てから進学することも可能です。修士などの学位を取っていることや、勤務経験を経てから出願することは、進学へのより強い動機・コミットメントを示す指標として出願時に強みとなることも多いようです。修士課程のみのプログラムももちろんありますが、この場合は給与は出ず、自費で授業料と生活費をカバーするか、外部の奨学金を獲得してくる必要があるプログラムが大多数となります。

 

ノースウェスタン大学のメインキャンパスの様子。キャンパスはミシガン湖に面しており、夏は構内のビーチでウィンドサーフィンなども楽しめる。

 

 米国の大学院に留学するメリットは、給与や学費の支給だけではありません。私の場合は、世界の様々な地域から集まる多様な背景を持った同志と出会えたことが、大きな利点のひとつだと感じています。どの研究分野であっても、またどのようなキャリアを歩むにしても、いろいろな考え方を持った人たちと協力したり議論をしたりする経験は、必ず強みとなります。また、米国の文化や歴史について学ぶことも非常に多いですし、自分の日本のルーツを新たな視点で再認識でき、最近は日本の歴史を再度勉強し始めたりもしています。研究や大学院生活の外では、米国内の国立公園や他の都市へ旅行したり、カナダやメキシコへ弾丸旅行をする人も多く、日本にいたら遠く感じられてしまう場所に気軽に旅行できるのも、留学生活の醍醐味のひとつかもしれません。

 

法学部、医学部のキャンパスはシカゴ中心部から徒歩数分の距離。

 

いざ出願!何が必要?

 

 米国の大学院は、毎年9月〜12月に出願書類を受け付ける大学がほとんどです。書類審査を通過すれば、1〜3月に面接試験を行い、面接後随時合格通知が送られます。学部・修士在籍中、いつ頃から海外大学院進学を真剣に考え始めるかは人それぞれですが、学生会メンバーの約半数は、出願時の2年程前から海外大学院を選択肢として真剣に考えていたようです。例えば、学部在籍時に真剣に考え始め、修士課程を経て出願といったケースが挙げられます。一方で、残りの半分は、応募締め切りの半年〜1年前に進学の選択肢を真剣に考え始めた人が多く、リソースをフル活用すれば1年以内に出願準備をして合格することも不可能ではないようです。学生会メンバーでは、大多数が約5〜10校出願しており、2割が11校以上出願していました。出願費は1校あたり約80~100ドルかかるため、多くのプログラムに出願するとなると費用もネックとなってきます。

 

・エッセイ

 

 試験の点数が重要な審査基準の日本の入試とは異なり、米国大学院の審査では、エッセイが最も重要視される出願書類のひとつです。Statement of Purposeと呼ばれる、出願の動機を述べるエッセイはほぼ全ての大学院で必要とされています。プログラムによっては、自分の個人的なバックグラウンドを説明するPersonal Statement、研究経験を述べるResearch Statementを必要とされる大学も多く、また自分がどう多様性に貢献できるか述べるDiversity Statementなどが随意で出願書類に加えられている場合もあります。学生会メンバーの多くは、出願締め切り2〜4カ月前からエッセイの執筆を始めていました。エッセイの添削・指導は、既に大学院進学した先輩にお願いするか、または有料の添削・指導サービスを利用した人が大多数のようです。

 

・推薦状

 

 エッセイと同様に審査に重要な書類として、推薦状があります。合計3通の推薦状が必要な場合が多く、ほとんどの学生は研究室の指導教官から1通、推薦状をもらっています。他2通の条件をどこで充すかは人それぞれで、インターンシップ先の研究室の指導教官、共同研究者、大学の部活の先生などから推薦状をもらった人もいます。積極性、柔軟性、辛抱強さなど、自分の研究者としての強みを分かってくれている教授に書いてもらうことがポイントとなります。学生会のメンバーでは、12月の締め切りに向けて6〜9月に推薦状の同意を得ている人がほとんどでした。

 

・奨学金

 

 米国の大学院では、学費と給与は大抵保証されているものの、外部からの奨学金を取っていると審査時に大きなアドバンテージとなります。米国内の学生に比べると国外からの学生は競争率が激しいため、進学する日本人の過半数は外部の奨学金を獲得して進学しているようです。奨学金の応募期間は大学院出願前の7〜10月頃が多く、大学院出願時点では必ずしも奨学金の結果が出ていないこともありますが、応募したという事実だけでも出願の審査にはポジティブに働くことも多いようです。実際にどの奨学金に応募するかは研究分野によっても異なってくるので、各奨学金のウェブサイトなどで調べることをお勧めします。

 

・語学試験

 

 米国の大学院のほとんどで、国外から出願する学生は語学試験のスコアが必要となっています。どこの大学もTOEFLは原則として受け付けており、IELTSを受け付けている大学もあります。100点前後の足切りが一般的ですが、大学によっては80点や110点の場合も。TOEFLは一回250ドルくらいするので、満足のいくスコアが取れるまで何度も受けると、出願の費用がかさばってしまうというデメリットもあります。

 

・その他の条件

 

 上記に加えて、ほとんどの大学院で出願時には大学から公式に発行された成績証明書が必要とされます。学生会のメンバーではGPA3.8以上の人が大半を占めていましたが、3.5〜3.6で合格している人も複数人います。学部時代の成績は、研究経験、推薦状、奨学金よりは比重が少ないとされています。

 

 また、GREなどの共通試験のスコアを必要としている大学院もあります。数年前まではGREが必須の大学院が大多数でしたが、こちらも研究や推薦状と比べるとあまり重視されていないことが多く、近年の傾向としてGREの必要条件を廃止する大学が増えてきているようです。

 

・研究室選び

 

 進学後の生活に最も大きく影響すると言っても過言ではないのが研究室。出願時にきちんと所属する可能性のある研究室を調べておくことは非常に重要なポイントです。学生会のメンバーは、ほとんどが出願締め切りの半年〜1年前くらいに研究室をリサーチしていました。調べる際に重要なポイントとしては、研究内容、研究費の獲得状況、また指導教員や研究スタイルとの相性などがあります。興味のある研究室が絞られてきたら、教授や大学院生とコンタクトを取ると、より踏み入った話を聞けたり、審査時に有利に働くことも多々あります。出願時に必ずしも研究室と繋がりがある必要はないプログラムもあるようですが、少しでも時間があれば連絡を取ってみることをお勧めします。

 

進学後の展望

 

 米国の大学院を卒業した学生には、アカデミアや産業界での研究職をはじめ、企業、コンサルティングファーム、国家機関など、様々なキャリアの選択肢が広がっています。特にアメリカでは修士や博士は就職にかなり有利に働きますし、日本の企業や研究機関での就職機会も豊富です。日本、アメリカに限らず世界中に機会が広がっていくことも、米国の大学院に進学することの魅力のひとつかもしれません。

 

海外大学院留学説明会を開催します!

 

 2021年夏季の東京大学海外大学院留学説明会は、7月11日(日)13〜15時にオンラインで開催されます。この説明会は、様々な研究分野で東大から海外の大学院へ進学した先輩の経験談を聞いたり質問を投げかけたりできる機会となっており、既に海外大学院進学を真剣に考えて準備している方から、興味本位でどんな雰囲気か見てみたいだけの方まで、幅広く楽しんでいただける説明会となっています。また、留学経験者の体験談にスポットを当てる東大説明会とは別に、特に大学院出願のコツに焦点を当てる受験総合編も7月中に開催される予定です。まだ詳細は未定の部分もありますが、学生会のウェブサイトTwitterアカウントで随時情報を配信しておりますので、興味のある方はぜひぜひチェックしてみてください!

 

学生会ウェブサイト。過去の説明会のアーカイブ動画から学生会のSNS、今年の各説明会の最新情報までアクセスしていただけます。

 

【関連記事】

【東大→海外大学院という選択】②宇宙開発の最前線で働くため渡米を決意! 河野麗さん(東大工学部→ペンシルバニア大学Ph.D. course)

コロナ禍での海外大学院、そこで見えたものとは? 五十嵐祐花さん(東大理学部→マサチューセッツ工科大学 Ph.D.課程)

koushi-thumb-300xauto-242

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit




TOPに戻る