COLUMN 2020年3月28日

アメフト日本代表唐松さん寄稿「アメリカンフットボールで人生が捻れた話」

 3月1日に米国の育成リーグ・TSLの選抜チームと対戦したアメリカンフットボール日本代表に唐松星悦(しんえ)さん(文・3年)が選出されました。現役東大生として初めて日本代表に選出され、アメリカンフットボール部の主将も務める唐松さんに、これまでの競技人生とこれからの展望について寄稿してもらいました。

(寄稿=唐松星悦)


 僕の母校は浅野学園という神奈川の中高一貫校であるが、中学の部活からアメリカンフットボールをプレーできる珍しい環境を持っていた。当時かなり運動音痴だった自分を変えようと思って入部してから、実に中高大と通してもうすぐ10年の付き合いになるアメリカンフットボールだが、この競技に関わってからとんでもないくらい人生が捻(ねじ)れている。

 

 まず捻れたのは間違いなく体型だが、何よりも変わったのは考え方だと思う。小中学生あたりの自分は、運動もできず、学校内のテストでは最底辺の成績をとり、しんどいことからは永遠に逃げ続けていた。どんなことをするにしても、どうせ自分にはできないと思ってしまうようなヘタレだった。

 

中学生になり、アメリカンフットボールに出会った

 

 しかし、周りの人々や環境に恵まれながら努力したことで、そんな自分は少しずつ変わっていった。高校では本気で努力する先輩と恩師に影響を受け20kgの増量に成功し、スポーツをする自分に自信が持てるようになった。大学でも優れたコーチングのもとトレーニングし、日本代表に食い込んだことで、正しく努力し続ければトッププレーヤーになれるともわかった。

 

先輩や恩師に恵まれ、自信を持てるようになった高校時代(写真は北川直樹さん提供)

 

 色んなことが運良く実を結んだおかげでここまで来ることができたわけだが、これらはあくまでも過去に過ぎない。他の人から見ればそこそこ成功しているかもしれないが、心の奥底から満足感や達成感を覚えたことは一度もない。それはそう感じることができないのもそうだが、なんとなく感じてはいけないとも思っていた。自分でも何故そう思うのかずっとわからなかったが、最近になって答えに近いものを見つけた。それは「有言実行」と「チームの勝利」の二つを達成できていないからだと思っている。

 

 これまで僕は一度もちゃんとした目標を掲げたことがない。目の前のことにがむしゃらに取り組みつづけ、様々なことに挑戦し続けた結果ここまで運良く来られたに過ぎない。これらはもちろん大事なことだが、宣言しないことには責任が伴わないから楽だし、結果成功/失敗してもそれは運が良かった/悪かったという感想で終わってしまう。ただ日本代表に落ちたやつと、絶対にアメリカに勝ってやる!と腹を括った上で落ちたやつでは、同じ立ち位置でも天と地ほどの差があるだろう。

 

 そして、何よりもチームを勝たせたことがない。高校の時はチームを率いる責任から逃げ、キャプテンにならなかった。大学では下級生の頃から上級生を突き上げていたつもりだったが、振り返ってみればどの試合も結局勝たせてもらったにすぎない。ましてや日本代表ではチームの足を引っ張らないようにするので精一杯だった。

 

 今までもアメリカンフットボールにたくさん学ばせてもらったし、ヘタレだった自分からは想像もできないほど成長したけど、きっとまだその真髄は味わっていない。

 

 けれども、今年になってようやくこの二つの穴を埋められる目処が立った。それは東大アメフト部で日本一になりたいと心の底から思うようになったからだ。

 

主将に就任し、目指すは日本一

 

 今年は、今まで僕の人生で一度もしてこなかったことをたくさんしている。人生で初めてリーダーに立候補し、務めている。人生で初めて日本一を目指したいと発言し、それに向かって努力している。この一年を乗り切った時、人生がどれほどまた捻れ、どんな景色が見えているかは想像もつかない。

 

 だから今はただ、このメンバーで甲子園ボウルをどう勝つかだけ考えていたい。

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