部活・サークル

2023年10月21日

東アジア最大級のビジコンでグローバルリーダー輩出を OVAL JAPANインタビュー

 

 OVAL 主催の東アジア最大規模の国際学生ビジネスコンテストIBCが8月10日から16日まで開催された。ホスト国として、さらに3年ぶりの対面参加ということで、代表を務める西村美優さん(文Ⅱ・2年)に話を聞いた。(取材・渡邊詩恵奈)

 

──OVAL JAPANはどんな団体なのでしょうか

 

 OVAL (Our Vision for Asian Leadership)は、日本・中国・韓国の国際ビジネスコンテストIBCを開催している学生団体です。2003年に東大の学生によって設立された団体で中国や韓国にも支部を持ち、東アジア発のグローバルリーダー育成を目指してそれぞれ独自に活動しながら一年に一度共同でIBCを開催しています。

 

──数ある学生ビジネスコンテストを行う団体の中で、西村さんはなぜOVALを選んだのでしょうか

 

 英語で何かしたいという気持ちが強く、国際交流のサークル等を探していました。英語を使うことだけを目的化している団体ではなく、母語やバックグラウンドが違う人達とのビジョン共有を経験できる団体に参加したいと思うようになりました。ビジコンという大会の運営にあたって、お互い考えやビジョンを共有しなくてはならないことに魅力を感じ、OVAL JAPANに参加することにしました。ビジネスに興味があってOVAL JAPANに入ってきた人もいるので、他団体と比べ構成員は多種多様ではないかと思います。

 

──IBCについて教えてください

 

 IBC (International Business Contest)は、日中韓からそれぞれ20人が参加する東アジア最大の国際学生ビジネスコンテストで順にホスト国になります。今年は日本の番なので中国と韓国の学生たちが来日し東京で開催しました。コロナ禍ではオンライン開催だったので対面開催は約3年ぶりでした。

 

 IBCでは日中韓各国の学生1人ずつからなるチームが組まれ、5日間にわたり英語で議論を重ねビジネスプランを作り上げます。ビジネスプランニング以外にも各国の文化を学ぶカルチャースタディーや観光の時間も設けられており、参加学生同士が交流を楽しむこともできます。

 

予選でのあるチームの発表(写真はOVAL JAPAN提供)

 

──西村さんはいつから代表を務めているのでしょうか

 

 去年からです。KING、GEIL、OVALの3団体からなるWAAVという学生シンクタンクで、代替わりから1年間の任期と決まっています。私は4月にOVAL JAPANに入って、夏まで上の代と活動し、その年の9月から代表になりました。そこから1年経って、私もちょうど任期満了になります。

 

 コロナ禍で昨年までIBCのオンライン開催が続いていたため、3年ぶりの対面開催となった今年は昨年までのノウハウに頼ることができませんでした。ですが、例年はある程度ノウハウの蓄積がある状態で上の代がすぐ引退することで、自分たちの好きなように運営ができるので、組織内のしがらみにとらわれない珍しい学生団体だと思います。それに伴う難しい点ももちろんあるのですが、代によってカラーが違ったり、自分たちで団体の風土を作ったりできるのがOVAL JAPANの魅力だと思います。

 

──OVAL JAPANの理念として「東アジアからのグローバルリーダーの輩出」があると思うのですが、OVAL JAPANが考えるグローバルリーダーに関しもっと詳しく教えてください

 

 多様な価値観を持つ人たちの利害や思いを考慮しつつ常に選択を行い、国境を超越して普遍的なメッセージを自分から発信できる人をグローバルなリーダーとして定義しています。アジアからのグローバルリーダーの輩出というビジョンのアプローチの1つがビジコンです。IBCでは1週間を通じ、コンテストで優勝するというチームの共通目標があるので、コミュニケーションの目的が英語で話すこと自体となっている国際交流よりも、一段と深いものになっているかなと思っています。OVALは深いコミュニケーションを通じ日中韓の3か国の差を認識しながらも、その違いから生じる摩擦をポジティブなエネルギーに変えることで普遍的な価値を創出し、メッセージとして発信する能力を参加者とともに身に付けていきたいと考えています。

 

──西村さん自身はどのような点で他者との差異を感じましたか

 

 イベントを開催する側として人を管理する経験をして、時間の守り方などの不文律的な部分に対する常識が人によって違うなとたまに感じました。OVAL JAPANの中にもさまざまなバックグラウンドを持つ構成員がおり、自分が当たり前だと思っていることが当たり前ではないと気づきました。私は特に人を管理する上で、生活のリズムやこれは良くてこれはダメだ、のような線引きの仕方で強く差異を感じたのですが、それを単純に文化的な差異に還元してしまうことには恐怖を感じています。

 

──3年ぶりの開催、そして日本がホスト国だということで特に大変だった部分や力を入れた部分はなんですか

 

 今年は対面開催だったのでコロナ禍での3年分のノウハウが使えず、ゼロから作らなければいけないところが多かったです。なので、最終的に形にできたことに対する達成感はあります。

 

 一方、人の管理、特に共通認識が作れていない中で例えば集合時間の10分前に集合すべきか、集合時間ちょうどでも大丈夫かなどのグレーゾーンの取り方が人によって違ったのが、IBC期間中は難しかったです。1、2年生が多い団体で、130〜140人規模のイベントを運営した経験のある人が少ないこともあり、大会前はその規模のイベントを回すことがどういうことなのか想定できていませんでした。大会中の人の流れの設計をする必要もあったのですが、それがすごく難しく、毎日練り直しでした。大会本番になっていざやると思ったように行かないことも多くて。流れを組み直すことをずっとしていました。人の動きを予測して管理し、そのフィードバックを活かして次につなげるという一連の流れが全て難しかったです。

 

──フィードバックを生かすことや計画を練り直すことで身についた力はありますか

 

 ビジコンの現場に直接的に携わっているメンバーもいれば、現場の裏でスタッフの管理をしているメンバーもいるので、そこの熱量の共有が難しかったです。1週間を通してOVAL JAPANを構成する6つの局のうち、私自身が局長を務める総務局以外を率いる局長の精神面や体力面のケアをしなくてはならないというのがあって。追い込みすぎず、コンテストの質を下げないようにするため、1週間で一種の責任感が身に付いたのだと思います。

 

 人を管理するに当たっては、恐怖政治すぎると人が離れていってしまうので怖すぎず、かといって、ゆるすぎないというあんばいをうまく取って人を管理する能力が前よりは付いたのかなと思います。

 

Ending Ceremonyでのスタッフと参加者の記念撮影(写真はOVAL JAPAN提供)

 

──参加者の元々の英語力はどんな感じなのでしょうか

 

 具体的に基準を設けているわけではないのですが、参加者の方を選抜する上で募集段階が2段階あります。第1段階の募集では志望動機などを書いてもらい、その後グループディスカッションをしました。そこで残った枠を第2段階で募集したのですが、そこでは英語で1対1の面談をしました。英語のレベルばかりを重視すると属性が偏ってしまうので、全体的な総合力を見て選抜しました。OVAL JAPANとしては最低限の会話が英語でできて、他者と通じ合う意思がある方であれば大丈夫だと考えているのですが、応募してくださる方のレベルが高く、結果的に英語が流ちょうな方が多く参加しています。

 

──西村さん自身はIBCを通じてどの程度英語力が身についたと感じていますか

 

 参加する人の属性によるのですが、例えば普段あまり使うことがないビジネス英語を使うことで、普段とは違うフィールドでの英語力が上がったという参加者もいます。私はずっと指示出しを英語でしていたので、人に対して指示をする上での英語力が上がりました。どのような役割で参加するかによって違いますが、普段の英語の授業や友達との英会話では使わないところが伸びるのはみんな共通だと思います。また、英語を話さないと生きていけない空間なので、話したいと思うことによって英語力が自然と上がっていき、慣れていくという感じだと思います。

 

──OVAL JAPANでの活動を通じて、大学で得たかった経験を得ることはできましたか

 

 国際交流という点では、期待よりもすごく上だったり、下だったりすることはなく、想定内だったという気はします。英語をしっかり使うのはSEP(スタッフ同士の交流会)、IBCの二つのイベントがメインだったので、英語よりもまず日本語の解像度を上げたいと思うようになりました。今回はビジョンの共有を日本語ですることが多く、その中で新たな気付きや自分の不足点を思い知らされたことで、日本語でもっと自分の思いを細かく伝えたいと感じるようになりました。また、文化が異なるスタッフや参加者との共通認識の形成を始めとした代表としての経験を通じて、言語を問わず、コミュニケーションには想像力が特に大事だと気づくことができました。

 

──最後にOVAL JAPANへの参加を考えている方へのメッセージをお願いします

 

 国籍も考えも興味も多様な人が集まっている組織で1つのビジョンをみんなで実現していくとなると、議論をすることや言葉にする前の部分を共有することが大切になってきます。なので、そういう経験をしたい方や広義でコミュニケーションと向き合いたい方には特におすすめだと思います。また、執行代の任期が短く、風通しが良い団体なので、自分たちで運営をしていきたいという意思が強い人には向いていると思います。

 

 OVAL JAPANには「最初からできなきゃダメ」という感じが全くなく、経験を通じて学ぶことが許される空気感があります。構成員全員の経験が足りていないからこそ、みんなで頑張っていこうという雰囲気があるので、大学で何か新しいことに挑戦してみたい方にはぜひ来ていただきたいです。

 

 ビジコンを運営していくためにも集客力が大事になってくるので、少しでも気になった方はインスタグラムのフォローよろしくお願いします。

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