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2020年5月24日

「はやぶさ2」が着陸した小惑星「リュウグウ」の軌道を微粒子から検証

 諸田智克准教授(東大大学院理学系研究科)らは、小惑星探査機「はやぶさ2」が炭素質小惑星「リュウグウ」に着陸した際に巻き上げられた微粒子を観測し、過去にリュウグウが現在よりも太陽に接近する軌道にいたことを示す証拠を見つけた。成果は7日付の米科学誌『サイエンス』に掲載された。

 

 リュウグウには太陽系が生まれた頃の水や有機物が今でも残されていると考えられている。炭素質小惑星は初期の地球に水や有機物を運んだ天体の有力候補になっており、はやぶさ2の調査により地球の水や有機物誕生の謎が解明されることが期待されている。

 

 諸田准教授らは着陸時の超高解像度画像やリュウグウ全体の観測により、岩石と共に大量に舞い上がった赤黒い微粒子について研究。赤黒い微粒子がリュウグウ全体に表層数メートルの厚さで層状に存在することや、赤黒い微粒子はある短い期間に太陽に焼かれることで変質して作られたことを突き止めた。この結果から、リュウグウが一時的に現在よりも太陽に接近する軌道にいたと結論付けた。

 

 着陸地点の表面には赤黒い微粒子だけではなく、青白い物質があることが確認されており、着陸時に採取されたと考えられる。青白い物質はリュウグウが太陽に接近する軌道にいる以前から存在していたと考えれている。はやぶさ2が持ち帰る試料の分析から、地球軌道に供給される炭素質物質の太陽加熱・風化作用の解明が期待される。


この記事は2020年5月19日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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