丸山一平教授、Kien Ngoc Bui特任研究員、野口貴文教授(いずれも東大大学院工学系研究科)らと、東京理科大学、太平洋セメント株式会社の共同研究チームは、コンクリートの廃棄物を粉末状にし、それに空気中の二酸化炭素を固定して再度固化することでカルシウムカーボネートコンクリートブロックを製造する技術を開発した。
現在コンクリートは工業用水に次いで多く利用される工業材料である。セメント製造過程では1tあたり約800kgの二酸化炭素が排出されており、環境への負荷が問題視されてきた。これまでもセメントやコンクリートに二酸化炭素を固定する試みは行われてきたが、材料の表層でしか固定が進まないためその固定量を上げることには苦戦していた。
今回開発された技術ではコンクリートを粉砕し表面積を大きくした上で二酸化炭素を固定するため、効率性が上がり、ブロック内部にも多くの二酸化炭素を固定できるようになった。また、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムが生成されたあとのセメントペーストを今回の技術で固化すると、固化体の強度がより高くなっていることも確認された。この固化体は二酸化炭素の排出を抑えると同時に、粉砕後にも再利用可能なことから持続可能な社会に向けた貢献が期待される。