教養

2020年6月10日

【各学部4年生に聞く 学生生活紹介】⑥理Ⅰ→薬学部、理Ⅲ→医学部

 各学部の4年生に進学の理由や学部での授業、生活について話を聞き、ウェブサイトやパンフレットだけでは知ることのできない生の声を紹介する。今年は対面での学部ガイダンスが中止され、特に情報を得る機会が少ない。どの学部や学科に進むか決めきれていない人はぜひ参考にしてほしい。(時間割は3年次のもの)

 

・理Ⅰ→薬 薬科学科

 

佐伯 英(さえき すぐる)さん

 

実生活にも役立つ実習

 

 「薬学部に進学しやすいから」と理Ⅰに入学した佐伯さん。理Ⅰは必修の生命科学の授業が少ないため、理ⅡⅢ向けの授業も履修していた。

 

 2Aセメスターには持ち出し専門科目として、全てターム制の授業を週15こま履修。授業では、教科書の解説をしながら「これは私の発見です」と話す教員がいるなど、各分野の最先端で活躍する研究者に教わることができる。試験で失敗すると再履修が必要な科目もあり「試験前日は眠れませんでした」と佐伯さん。本年度からカリキュラムが変わり、一部の授業が3Sセメスターに移って負担が分散するという。

 

 3年次は午後が全て実習で、1年を通じて生物学、化学、物理学などの分野の実験をする。有機化学の一部の実験は午後8時近くまでかかり大変だったと振り返る。特に印象に残っているのは、薬学実務実習で自分の遺伝子を分析したこと。「自分がアルコールに強いか調べることができ、実生活にも役立つので興味を持って取り組めました」

 

 薬学部では4年次から4年制の薬科学科、6年制の薬学科に分かれる。薬科学科のほとんどの学生が修士課程に進むため、どちらの学科でも4年次以降の3年間は研究室に所属する人が多い。薬学科では薬剤師の資格を取得できるが、病院実習など研究以外の活動も必要だ。佐伯さんは薬剤師資格にはあまり興味がなく、研究に没頭したかったため薬科学科を選択した。

 

 一緒に実験する仲間と気心が知れてくるのはもちろん、学部全体でも交流が盛んだ。3年生が主催し、3年生チームと各研究室が対抗する陸上運動会・水上運動会などの行事が開催され、親睦を深められるという。「3年生はほぼ全員が参加し、普段話さない人とも話す良い機会になっています」

 

 修士課程修了後は半数程度が博士課程に進学する。就職先は医薬品メーカーが中心で、食品、化粧品メーカーに勤める人もいる。佐伯さんは「修士課程に進むのは確実ですが、その先は未定です」。研究室で勉強を続ける中で、自分に向いていると感じれば進学することも考えるが、企業に就職する道も検討しているという。

 

 

・理Ⅲ→医 医学科

 

川本 亮(かわもと りょう)さん

 

研究室が身近な存在に

 

 実家が代々続く整体治療院で、自然と医学に興味を持つようになった川本さん。高校時代の友人が多かったこともあり理Ⅲから医学科に進学。それほど高得点が要求されないため、前期教養課程では点数を気にせず面白そうな授業を取った。

 

 医学科は全体的に座学が多いが、人体解剖、病院実習などの実習があることが特徴。「本当に医学が好きでないと時間の拘束が大きいと感じるかもしれない」と川本さんは話す。講義は多人数での座学が中心だが、教員との距離は近く、個人的に話し掛けて研究室をのぞくことも可能だ。2〜4年次の春季休業中に「フリークオーター」という制度があり、授業の枠にとらわれず、自分の興味に従って実際に研究室で研究活動を体験できる。4年次ごろから自主的に研究室に通う人が多く、研究室を選ぶ際の参考になるという。

 

 全ての授業が共通で長い時間を共有する医学科生同士は、親密な関係を築きやすい。特に共に解剖の授業を受ける班員とは「つらいことも全部共有する仲間である」ため、理Ⅲ以外から進学してきた人も解け込むきっかけになるという。授業以外でも共に食事や旅行に行くだけでなく、五月祭では学部全体で企画を開催するなど「他学部より結束力があり、長く付き合える友人を作ることができる環境だと思います」。「適度に真面目で適度に遊ぶ」雰囲気で過ごしやすいと語る。

 

 学科にはゼミ制度がないが、同級生たちと自主ゼミを開くなど視野を広げている川本さん。ゼミでは外部から講師を招き、離島の医療体制など現実に即した問題を扱う。1年次に立ち上げた、ハエの一種の幼虫を利用した食品循環システムの構築を目指すプロジェクトも進めていて「長く続けていきたい」という。

 

 卒業生のほとんどは臨床医や研究医など医学系の職業に就くが、最近は官僚になったり起業したりする人も増えてきている。「生物や農学にも興味はありますが、仕事は医療関連のものを考えています」。プロジェクトを通じて何度も途上国を訪れ、海外への興味が増した。「将来は途上国の医療に携わるか、応用寄りの研究をしたいです」


この記事は2020年5月26日号に掲載された記事の拡大版です。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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