就活

2021年9月3日

【官庁訪問2021】東大出身者・採用担当者が語る国家公務員の仕事①厚生労働省

 

 毎年多くの東大生が受験する国家公務員採用総合職試験。国家公務員を志す学生にはもちろん、まだ進路に悩んでいる人にとっても国家公務員自らが語る職務の実情やその素直な感想は参考になるだろう。東大卒業・修了生の就職も多い6省庁のうち、今回は厚生労働省の東大出身者と採用担当者2人ずつに、担当する業務内容、求める学生像などを聞いたインタビューを紹介する。 (構成・渡辺光、取材・川田真弘)

 

厚生労働省(事務職):多様な人・価値観に触れる

 

平間將史(ひらま・まさふみ)さん 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 総合職試験=法律

 

 大学入学前から、東大を卒業して国家公務員になることを考えていた。中高一貫校から東大へ進学するという恵まれた環境で育った自覚を持つ中で、社会的に弱い立場に置かれている人々などの人生に「良い意味で影響を与えたい」と感じていたという。

 

 当初警察庁とも悩んでいたが、運動会での活動などによりほとんど準備できないまま官庁訪問へ。前提知識が不足していながらも、厚労省は良い意味で敷居が低く、官庁訪問でもさまざまな受験者を幅広く受け入れていた。

 

 厚労省に感じた魅力は、他省庁と比べても非常に広い分野の仕事に携われることだ。サービスの行き届いていない行政のはざまに、ゼロから制度を作れるところにも魅力を感じた。官庁訪問時に話をした職員の雰囲気にも引かれるものがあったという。

 

 現在担う業務は主に二つある。そのうち監視指導では、都道府県と連携しながら法令に違反した製薬会社に対する行政処分を検討する。医薬品の生産ラインが適正に管理されていることを担保するのも仕事の一部だという。もう一つの麻薬対策では、大麻などの薬物について検討会を行い、時代に合った法整備を進めている。「検討会では激しい議論になることもありますが、うまく報告書を取りまとめることには、大変さだけでなくやりがいも感じます」

 

 職場には行政官は少なく、自治体からの出向職員、医師、薬剤師など「さまざまなバックグラウンドを持つ人と仕事をするので、多様な人・価値観と触れ合えますね」。総合職では人事院の派遣研修制度を使って留学に行く人も一定程度いるといい、平間さん自身も留学をして、公衆衛生を本格的に勉強したいという気持ちが強まっていると語る。

 

 学生には、進路について視野を広く持って考えるようアドバイスを送る。「いろいろなことに興味関心を持ち、制度を変えることにワクワクする人はぜひ国家公務員を目指してください」

 

平間將史(ひらま・まさふみ)さん

 

広い視野と好奇心を(採用担当より)

 

梅原鈴奈(うめはら・すずな)さん 厚生労働省大臣官房人事課

 

 総合職事務系は例年通り30人程度を採用予定です。部署ごとではなく省全体での採用となります。厚労省は所掌範囲が非常に広く、国民一人一人に密着した支援策を打ち出し生活を支えるという責任ある仕事を担います。そのため、さまざまな課題が山積する中、人々の幸せやより良い社会の実現への使命感がある人を求めています。多様な意見や現場の声に耳を傾ける力、視野の広さ、実際に現地に足を運んでみるような好奇心や行動力も重要です。

 

 仕事は一人で考えて一人で決めるものではなくチームで取り組んでいくものなので、学生時代はぜひ多様な価値観に触れてほしいと思います。学業・課外活動問わず、日々の生活で常にアンテナを張ることを大切にしてください。(談)

 

梅原鈴奈(うめはら・すずな)さん

 

厚生労働省(技術系):専門性を生かして社会に貢献

 

鈴木一聡(すずき・かずとし)さん 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課 総合職試験=工学

 

 これまでお世話になった人に恩返しするために社会に貢献したい、という思いから国家公務員を目指した鈴木さん。他省庁とも迷う中、厚労省の職員からもらった職務内容についての電話をきっかけに、想像以上に幅広い分野の仕事があることを知った。実際に訪問し出会った職員の「面白さ」に引かれて厚労省に決定。「文系だけではなく、理学・工学・農学といったさまざまな専門性を持つ厚労省の職員の方々が、地道に黙々と仕事をしている姿に面白さを感じました」。穏やかさの中に情熱を持つ人が多かったことが印象的だったという。

 

 所属部署の業務は労働者の衛生管理。定期健康診断やストレスチェックなどを事業者に義務付け、実施を促している。その中でも鈴木さんは、他部署・他省庁との調整・やりとりを担っているという。「行政の仕事にストレートなやりがいを感じるのはなかなか難しいですが、作った制度が開始された時や社会の反応があった時はうれしいですね」。仕事の質・量に波がある点は大変だというが、オンとオフのメリハリをつけようという意識が職場全体で年々高まっているそうだ。

 

 さまざまなジャンルの仕事を所掌し、それらに多様なバックグラウンドを持った職員がおのおのの知見を出し合って取り組んでいるところが厚労省の魅力だと鈴木さんは語る。「行政への風当たりが強まる中でも、負けずに社会のために頑張っていきたいです」

 

 「探してみると官庁・民間問わず各フィールドにいろいろな仕事があるので、よく調べてみてほしい」と語る鈴木さん。その上で「最終的にはそこで働いている人と馬が合うかがとても大事です」。大学時代の酒配達のアルバイト経験で身に付けた安全意識や事故防止の大切さが、現在の労働政策を考えるに当たって役立っていることから、国家公務員を目指す学生には「自分の経験が思わぬところで役立つことがあるため、さまざまなことにトライしてほしい」とエールを送った。

 

鈴木一聡(すずき・かずとし)さん

 

働く人の健康と安全を守る(採用担当より)

 

吉岡健一(よしおか・けんいち)さん 厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課

 

 総合職技術系では部局別で7人程度を採用予定ですが、採用後はさまざまな部署を経験できます。事業者側の立場と労働者側の立場の双方の理解を得ることが求められるため、専門的な知見を分かりやすく説明する力や仲間と協調して取り組む力などを評価します。また人々の生活を守り、支えたいと思える人を歓迎します。

 

 総合職技術系は労働安全衛生のスペシャリストであることはもちろん、総合職として幅広い業務に対応することが求められます。また実際に政策が実現される労働現場の一人一人に目を向けつつ、全体にも目を配ることが必要です。働く人の視点に立ちつつ、時代の変遷や社会の情勢を勘案しながら、多くの課題に一緒にチャレンジする仲間を待っています。(談)

 

吉岡健一(よしおか・けんいち)さん

 

  <連載>

【官庁訪問2021】東大出身者・採用担当者が語る国家公務員の仕事②国土交通省

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