イベント

2021年12月23日

投票で1000万円を分配 運動部支援のチャリティーイベントが30日まで

 

 東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)は12月21日から30日までの間、参加する56の運動部を対象に、東大関係者からの「応援票」を集めるオンラインチャリティーイベント「UTokyo Alumni Giving Campaign 2021」を開催する。期間中に東大関係者から集まった応援票を基に、UTECによる総額1000万円の寄付が来年3月に各運動部に分配されるイベントだ。概要や今後の展望を、企画・運営を担当する東大発ベンチャーAlumnoteの中沢冬芽さん(法・4年)に聞いた。

(取材・中野快紀)

 

寄付の意義・楽しさを追体験して

 

 21日から開催されている「UTokyo Alumni Giving Campaign 2021」は、UTECが主催し、Alumnoteが運営・企画を手掛けるオンラインチャリティーイベント。卒業生、学生、教職員などの東大関係者は期間中、特設サイトを通じて応援したい運動部に応援することができ、集まった票数に応じてUTECから各部に対し、総額1000万円が分配される。開始して2日が経過した23日正午現在で約5000人の東大関係者が応援票を投じている。

 

イベントの特設サイト

 

 企画・運営を担うAlumnoteの中沢さんは今回のオンラインイベントを「日本の大学においてこれまでなかった、新しいチャリティーベントの形」とした上で、イベントの意義を3点指摘する。まず新型コロナウイルスの流行によって活動が制限されている運動部に対して金銭的な支援以上の価値を提供できるという点だ。特設サイトでは、応援票だけではなく、各部の活動内容や来年度の目標などを知ることができ、投票の呼び掛けの中で各部が卒業生へ日頃の感謝や近況を伝えたり、新しいファンを獲得できたりできる機会となっている。また投票時には応援メッセージを投稿することができ、特設サイトに表示される他、Slackを通じて各部へリアルタイムで届くようになっている。「応援票を投じる・投じられるという関係の中で、寄付の意義や楽しさを追体験できるように設計しました。温かい双方向のコミュニケーションの中で、一人でも多くの方に支援する・されることの喜びを体感していただければ幸いです

 

投票した人から寄せられたメッセージは各部の担当者にリアルタイムで届く

 

東大にも寄付文化を

 

 2点目は卒業生が関わる寄付文化を東大で醸成する第一歩になる点だ。ウェブメディア「NewsPick」の記事によると小宮山宏・元総長は在任中、2020年までに2000億円の基金を作るという目標を掲げていたが、昨年度の東京大学基金の残高は約190億円と当初の目標には遠く及ばない。また東大運動会への寄付についても、東大運動会ウェブサイトの「寄付実績」のページには17年にUTECが行った寄付のみが掲載されているのが現状だ。「海外のトップ大学では、日本の大学の数倍、数十倍の寄付が起きており、裏には大学のさまざまな中長期的努力があります。例えば今回のような『在学生・卒業生を大規模に巻き込む形式のチャリティーイベント』は多くの米国の大学で毎年開催されており、大学コミュニティ全体で大きな盛り上がりを見せるとともに、1日に数十億円の寄付が起きています」。東大や日本の大学の国際的な競争力が低下する中、中沢さんは寄付やその運用の重要性を指摘する。今回のイベントは実際の寄付とは異なり、金銭を負担するのではなく応援したい部を選んで票を投じる形式であることから、参加のハードルは比較的低い。このような取り組みを通じて、大学に寄付をするという文化を東大でも根付かせていきたい考えだ。

 

東大運動会のウェブサイト

 

 3点目の意義は寄付を含めた東大コミュニティーの活性化に貢献できる点。4月に就任した藤井輝夫総長が対話を重視し、「東大の卒業生・学生・教職員を包含するGreater 東大コミュニティー」の活性化を目標に掲げている。東大運動部への応援を通じて東大関係者の支援の輪が広がっていく今回のイベントは、その一助になると中沢さんは考える。

 

 東大ではこれまでに例のないイベントとなるが、中沢さんは運動部からの反応に手ごたえを感じている。「運動部への告知を始めたのは12月10日からですが、短い時間にもかかわらず多くの団体に参加してもらえました。本イベントに金銭的支援以上の価値を見出していただけた結果なのではと思い、大変嬉しかったです」。説明会の開催やSlackを通じた告知の結果、東大運動会に所属する58の運動部のうち56団体が参加を表明した。「まだキャンペーンが開始してあまり時間が経っていませんが、既に多くの方に本イベントに参加していただいており、数多くの温かい応援メッセージを拝見して感無量です。本来の目的だけではなく、参加者全員にオンラインイベントとして純粋に楽しんでいただけけるよう最後まで運営させていただきます」

 

応援票受付期間は12月30日まで。キャンペーンの特設サイトと投票はこちらから。

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