キャンパスライフ

2021年5月27日

現役東大院生にあれこれ聞いてみた

 学部生のみなさんは大学院生と話したことがあるだろうか。学部の授業のTAとしか話したことがないようなら大学院での生活を想像するのは簡単ではない。朝から晩まで研究しているのだろうか? いつ院進することに決めたのだろう? 活動制限下でどうやって研究しているのか? ここでは5人の先輩の話を聞いてみることにしよう。

(取材・安保友里加、弓矢基貴、伊藤凛花、上田朔、渡邊大祐)

 

 

教育学研究科

 

東菜摘子さん 教育学研究科総合教育科学専攻臨床心理学コース修士1年

 

 教育学部総合教育科学科心身発達科学専修教育心理学コースへの進学後、特に臨床心理学に関心があって、大学院進学を検討していました。2年の終わりから1年間休学して行ったバレエ留学で、メンタルヘルスの重要性を感じ、大学院進学の意思が固まりました。

 

 院試に向け、先輩から聞いたおすすめの書籍や過去問を利用して対策しました。院試は全面オンラインで実施されたので、回線への不安が大きかったです。実際、パソコンを有線でつないで万全を期して挑んだものの、面接で回線が落ちてしまったんですよね……。

 

 心理支援の研究と実践を学ぶため、座学も実習もあります。少人数なので座学といっても発表やロールプレイが中心です。6月からは教育学研究科付属の心理教育相談室で、教員の指導の下、相談援助活動にあたる予定です。

 

 現在は、卒論の内容を発展させようと研究を計画しています。子どもの頃の逆境的な経験が、その後のメンタルヘルスや、ストレスから回復する力へ及ぼす影響に関心があり、まずはインタビュー調査を実施して、量的研究の方向性を精緻化していきたいです。

 

 臨床心理学コース修了後は公認心理師試験の受験資格を得られるので、合格を目指しています。心理支援職や博士課程進学のみならず、民間企業への就職を含め、広く検討しているところです。

 

 

経済学研究科

久保田紘行さん 経済学研究科経済専攻経済学コース博士1年

 

 父が理系で修士号を持っていたこともあり、高校生の頃から一つの選択肢として大学院への進学を考えていました。また就活をする場合、後期課程に進学しても経済学を専攻できる期間が短く、もったいないと感じました。経済学部の講義やゼミが面白かったことや、自分は就活・就職に向いてないと感じたこともあり、大学院進学を決めました。

 

 院試対策は、2年生のAセメスターで学ぶミクロ・マクロ経済学の内容の復習が主でした。院試を受ける同期と一緒に過去問を解いて、分からないところを教え合っていました。ただ、2020年に実施された院試は新型コロナウイルスの影響で試験内容に変更があったので、今年の入試情報を確認するようにしてください。

 

 修士1年目では、コースワークと呼ばれる必修科目で研究へ進む上での基礎知識を学びます。特に博士課程に進んだり海外の大学院に進む場合はコースワークの成績が重要なので、かなりの時間と労力を割きました。

 

 現在は、金融政策が労働市場に与える影響について研究しています。さらに東大や日本銀行の研究者と共同のプロジェクトに参加したり、コースワークのTAをしたりしています。来年からは米国の大学院への進学を考えているため、現在はその出願の準備もしている段階です。

 

 

総合文化研究科

 

Aさん 総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系修士1年

 

 図書館で手に取った本で、それまで主観でしか捉えられないと思っていた意識が神経科学で説明されているのを読んで脳神経科学に興味を持ちました。教養学部統合自然科学科で認知神経科学とその実験的な研究手法を学ぶ中で、脳神経科学の科学的発展には数理的基礎づけが必要だと感じました。そんな中「脳科学若手の会」の合宿で情報理論的アプローチを通じて意識の研究を行う現在の研究室を知り、研究に参加したいと思いました。

 

 学部時代からセミナーや輪読ゼミに積極的に参加し、現在の研究室とも交流がありました。院試は新型コロナウイルス感染症の影響で筆記試験が口頭試問に変わるなど異例の形式でしたが、特に不安はなく、例年通りの対策をしました。

 

 現在は週に5、6日研究室に通い、先行論文の調査や研究室のメンバーとの議論を行うほか、研究内容に直結した内容の講義を週3こま受講し、輪読にも参加しています。帰宅後も論文を読んで勉強し、研究しているか寝ているかの生活を送っています。

 

 学部時代と研究手法を変えたので慣れるのは大変ですが、ようやく自分の信念に合致した研究ができている感覚があり、大学院生活はとても楽しいです。将来は研究者となり、物理的手法を用いて意識について何かを解明したいです。

 

新領域創成科学研究科

郭紫荊さん 新領域創成科学研究科物質系専攻修士1年

 

 学部生の頃は北京理工大学で光学や電気工学を学びました。中国では修士号までは取らないと就職できないイメージが大学生の間にあり、日本文化にも興味があったので東大の大学院に進学することにしました。修士入学までの間、学位論文等は課されずに研究指導をしてもらえる身分である「研究生」として受け入れてもらえないかいくつかの研究室にメールを送り、最終的に現在所属している光物性の研究室に受け入れてもらいました。

 

 研究生の間は実験を進めつつ先輩に院試科目の指導を受けました。緊急事態宣言発令後は実験ができなくなりましたが、その間は家で院試の勉強をしていました。院試の情報が出るまで不安でしたが、ふたを開けてみると例年より科目が減り、簡単に感じました。

 

 学部生の頃と違いを感じるのは研究室の人間関係です。中国では人と人の距離が近く、同期が互いにコミュニケーションを取りながら研究していましたが、東大では「自分の研究は自分の研究」という感じで自分を主導的なポジションに置いて実験を進めています。

 

 博士課程までは進む前提で、MERIT-WINGSという経済的支援や異分野の副指導教官がつく教育プログラムにも参加しています。他のコース生との交流や共同研究を行うプログラムですが、活動制限下で何が続けられるかはまだ探索中のようです。

 

理学系研究科

笠見京平さん 理学系研究科地球惑星科学専攻/大気海洋研究所修士1年

 

 中学生の頃から気象現象に関心があり、高校1年生の時には気象予報士の資格を取得しました。当時からの志望通り、大学院に進学して気象の研究をしています。院試の専門科目では、研究室の指定で物理と数学で受験したため、学部後期課程の勉強より、力学や熱力学、線形代数や微積分など前期課程の基礎科目の復習に注力しました。

 

 大学院生活の中心は、先行研究の勉強と研究です。研究では、実際の実験よりもシミュレーションを利用するため、自宅からリモートですることが多いです。研究室のコアタイムもないため、非常に自主性が求められます。ただ、平日は毎日セミナーや授業があり、その点は学部4年生の時よりせわしないです。他の研究室とも勉強会をしています。

 

 現在は主に、学会発表に向けて台風の発達に関する卒論の研究を発展させています。なかなか成果が出なかったり、プログラムのミス探しなど地味な作業が多かったりと苦労はありますが、研究を通して知らなかったことが分かるのはうれしいです。アルバイト先も気象予報会社で、時間を見つけて気象予報に関連するシステムの開発に携わっています。

 

 迷いもありますが、修士修了後は就職に傾いています。楽しんで働ける仕事に就きたいと考え、色々な業種を考えなければと思いますが、気象に関われる職を目指しています。

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit




TOPに戻る