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2020年11月16日

【オンラインでアプリ開発!】東大ガールズハッカソン 今年のテーマは「動詞」

 プログラミングをゼロから学べる、東大の女子学生を対象としたアプリケーション開発コンテスト「東大ガールズハッカソン2020」が、9月17日、18日にオンラインで開催された。ハッカソン(hackathon)とは、一定の期間でプログラムの開発などを集中的に行い、チームごとにアイデアや成果を競う催しだ。プログラムの作成を意味するハック(hack)と、マラソン(marathon)に語源を有する。初の全面オンラインでの開催の中、例年に匹敵する活気に満ちたイベントとなった。

(取材・撮影 趙楠)

「中心都市」チームのアプリ開発の過程

メリハリつけ短期間で開発

 本イベントは東大の女子学生に楽しみながらハッカソンに参加してもらい、プログラミングを身近に感じてもらうことを目的に東京大学新聞社が主催している。参加したのは学部生23人、大学院生2人の計25人(うち理系21人、文系4人)で、参加者の多くがプログラミング初心者だった。学生は3〜4人でチームを組み、開発に取り組んだ。

 参加者は8〜9月に、ハッカソンに先立ち、プログラミングの基礎を学習。参加者はプログラミング学習サービスProgateを利用したJavaの講習・自学を通し、アプリ製作には欠かせないプログラミングの知識を身に付けた。

 9月11日にオンライン開催されたアイデアソンでは、各チーム2人のメンターと顔合わせ。メンターは技術やアイデアについて助言する役割を担う。このイベントでは協賛企業社員が指導に当たった。今年の開発テーマは「動詞」。各チームに50音のうちの1行を割り当て、その行の中で思いつく動詞を一つ選択、連想できるテーマでアプリ開発するというものだ。例えば、は行→へ→減らすであれば体重や体脂肪率を管理し、筋トレやダイエットに役に立つアプリの開発が考えられる。各チームはアイデアを掛け合わせ、現実でそのアイデアを生かすにはどうすべきか検討を重ねた。

 アイデアソンから1週間後の9月17日、18日、ハッカソンはclusterというバーチャルSNSで行われた開会式をもって本番を迎えた。開会式ではMicrosoftの千代田まどかさんがあいさつを兼ね、Microsoft Azureというクラウドコンピューティングサービスサービスを紹介。ヒントを受けたチームも多く、実際に使用して開発に取り組むところもあった。

cluster上で登壇する千代田まどかさん

 2日間で計15時間の中、参加者らはアプリ製作と発表の準備を終えねばならない。チームごとに進行の雰囲気はまちまちだが、分業して各々の開発に没頭する時間もあれば、定期的に進捗を共有しメンターからアドバイスをもらう場面もあり、メリハリがあった。お互いが近くにいない状況でも、画面共有を通してメンターが操作を指示し、積極的にコミュニケーションを取る姿があった。

 2日目の昼食後は、発表準備が中心に。どのチームもペースが良く、順調に発表準備に移った。チーム参加者の真剣さが増しつつ、オンラインでありながらも積極的に議論。時折話が弾み和やかな空気が流れた。

「ビオラ」チームのアプリ開発の過程

オンラインでも白熱した発表

 開発終了後、2日目の夕方にはZoomで発表会を開催。計7チームの発表を、各協賛企業から選出された審査員が評価する。アプリの内容だけでなく発表の仕方も評価に含まれ、各チームが事前に用意した工夫が発表を輝かせた。半熟卵の女の子のキャラクターを、メンバーがセリフを交えて熱演するチームも。5分間の発表の後は、3分間の質疑応答。質疑応答では、審査員はもちろん他の参加者やメンターからも質問が飛ぶ。「カリフォルニア」チームが開発した、架空の電話を鳴らし、飲み会で帰宅したいときや、夜道が不安に感じるときに女性をサポートするアプリ「おかんからの電話」に対しては「危険時にスマホを触る余裕がないのではないか。スマホを触った直後に電話がかかってくるのは不自然ではないか」といったアドバイスが審査員から掛けられた。

半熟卵のキャラクターを演じる「soft boiled army」チーム

 全てのチームの発表が終わると、審査を経て、各協賛企業7社から企業賞が授与された。企業賞を二つ授与され、最優秀賞にも輝いたのは、「ナンバープレイス5」チームの「Mamap」。働く女性が近くにいるママ友を見つけられるアプリで、例えば子どもが熱を出したと保育園から電話が来たが、仕事で迎えに行けないときに、位置情報やプロフィールからママ友を探し、お願いすることができる。お願いを引き受けるとママポイントが得られ、知り合いのママ友と直接お金のやりとりをすることが避けられる。着眼点の視座が高く、社会へのインパクトが大きい点も、審査員には評価された。

cluster上で表彰式が行われた

 発表会後にはZoomで感想会が開かれ、参加者だけでなく、運営者やメンターからもハッカソンを終えた感想が共有された。その後の懇親会では複数のZoomのミーティングルームを設け、自由に出入りできるようにすることでチームの枠を超えた交流がなされた。半年間のオンラインの学校生活について語り合うところもあれば、チーム内でハッカソンの余韻に浸るところもあった。学習期間やチームでの開発時間は短かったものの、参加者にとって大きな意義のあるイベントになったのではないか。今後の活躍に期待だ。

2日間におよんだハッカソンを集合写真で締めくくった

最優秀賞「ナンバープレイス5」メンバーの声

 自由に発想して0から1を作る過程を初歩の段階ですが体験できて、とても貴重な経験でした。アプリの設定を練る上で、プログラミングだけでなく、デジタルビジネスのノウハウをも考えるきっかけになりました。

 今年はZoom越しでの開発という初めての試みでしたが、コードやスライドの共有方法を工夫することで乗り切ることができました。Zoomだからこそ現地に行かずとも参加可能だという利点もありました。

 また、大手企業でエンジニアとして活躍されているメンターから直接お話を伺えたのも新鮮でした。将来自分の専門分野に関係するアプリを開発したいという目標ができ、プログラミング学習のモチベーションが高まりました。

 とはいえ、初心者向けのハッカソン自体メンターや協賛・運営の都合上あまり開催されていないのが現状です。スキルを身に付けるのに役立つ実践的な場所や情報の提供が増えることを望んでいます。

運営の声

寺崎正志さん(SCSK)

 今年度は東大ガールズハッカソン史上初のオンライン・ハッカソンをお手伝いさせて頂きました。参加された皆さんにおきましては不便な面もあったことかと思われますが、一方で時間や距離を超えたコミュニケーションが実現し、オンラインでのチーム開発やVR空間上での表彰式など、これまでとは違った面白さも感じて頂けたのではないかと思います。ニューノーマル時代の先駆けとして、このようなオンライン・イベントに参加された学生の皆さん、協賛企業の皆さん、お一人おひとりが新しいITの可能性、『ITの、つぎの、しあわせ』を感じて頂けておりましたら非常に嬉しく思います。これからも続くであろう更なる不便を、皆さんはITを活用し解決し得る力を秘めていることを実感頂けましたら幸いです。

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