部活・サークル

2026年3月24日

【寄稿】東京大学観世会 大学で能に親しむ魅力とは

 

 

 日本を代表する伝統芸能、能。その歴史は長く、現在に至るまで何世紀にもわたって親しまれており、ユネスコ無形文化遺産にも登録されるなど、古典芸能としての価値は国際的にも認められている。今回は、東大で能楽シテ方観世流の謡(うたい)と仕舞の稽古に取り組む東京大学観世会に寄稿してもらった。(寄稿=東大観世会・渡邊陽基、写真は全て東京大学観世会提供)

 

能楽シテ方観世流とは?

 
 代表的な日本芸能の一つである能。足利義満の後援を受け、観阿弥・世阿弥親子が大成させた。一般的には猿楽能を指し、専用の舞台で面(おもて)を用いるのが特徴である。
 
 能役者の仕事は厳密に分かれており、他の役割を兼ねることはない。役者がどの専門を担当しているかを示すものを役籍(やくせき)といい、シテ方・ワキ方・囃子(はやし)方・狂言方の四つに分けられる。そのうちシテ方はシテ(主役)やツレ(助演者)を演じ地謡(じうたい)(謡曲の主題や情景を6〜12人が斉唱すること)を担当する。能にはそれぞれの役籍に複数の流派がある。観世流は、複数あるシテ方の流派のうちの一つである。
 
 観世流の祖は、幼名を観世丸といった観阿弥。優美繊細な芸風が観世流の特徴で、観世流は現代でも国内で最大の流派となっている。(解説=東京大学新聞社)
 
年1回の「学生能」では本物の能面や装束を使用し、能楽堂で演じる(撮影・前島写真店)

 

 東京大学観世会は大変長い歴史を持つサークルですが、現在の名前になったのは、戦後の1949年のこと。旧制第一高等学校と東京帝国大学の謡曲部が合同し、「東京大学観世会」として発足しました。以来一貫して、プロの能楽師に直接師事し、学生自らの手で能を上演することを活動の中心としています。現在の部員数は約10名。東大以外にも様々な大学からメンバーが集まっています。

 

 活動は週1回、駒場Ⅰキャンパスで学生皆で集まって行う自主稽古と、月2回、師事する能楽師の先生の稽古場に伺っての師匠稽古、この二つがベースになっています。現在私たちが師事しているのは、観世流シテ方能楽師の関根祥丸先生です。気鋭の若手能楽師として知られる先生が、優しく、鋭く教えて下さるので、能の生きた魅力にハマってしまうことは請け合いです。

 

 観世会のサークル活動の中心になるのは、謡と仕舞の稽古です。いわば歌と踊りのレッスンです。白足袋を履いて、扇を持って、独特な発声や体の動かし方に最初は戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れていきます。「型」を習得することで、「型」の力で自分が別人になったような感覚を味わえます。その他、笛や小鼓、大鼓などの囃子(楽器)を習うこともできます。

 

 入会の理由は人それぞれです。テレビで能を偶然見てなんとなく惹かれた、古文好きが高じて能にも関心を持った、装束や能面に美術品としての魅力を感じた、など。中高生の頃から能楽を習っていた会員も中にはいますが、ほとんどはまったくの初心者からのスタートで、誰でもぐんぐん上達していきます。初めは分からないことだらけだった能の舞台が次第に鮮やかにその姿を現し、話の巧みな展開や演者の呼吸を楽しめるようになるのは、自分で体験するからこその特権といえるでしょう。

 

 東京大学観世会が最大の誇りにしているのは、なんと言っても年に1回の「学生能」の上演です。近年は、年末に銀座の観世能楽堂で開催しています。主役であるシテはもちろん、ワキやツレなどの立役、地謡(コーラス隊)、囃子方まで、すべての役を学生及び卒業生が勤めています。装束や舞台も、プロが使うものと同じ環境で上演させていただきます。このような能の公演が開催される機会は大変貴重で、他に類を見ないものです。昨年の開催時には累計500人以上が来場しました。自分たちで心を込めて、一つの能の舞台を作り上げる達成感は格別です。

 

 その他、「五月祭」と「駒場祭」での公演、年2回の卒業生との合同発表会、京都大学をはじめとする他大学との合同舞台など、1年を通して発表の機会や楽しいイベントが多数あり、充実したサークル生活が送れます。もちろん、他サークル・団体との兼部で活動している会員もたくさんいます。自分なりの自由な参加の仕方でオッケーです。

 

駒場祭での仕舞

 

 能は長く受け継がれてきた伝統芸能であり、大変多面的な魅力を持っています。その中には、過去の輝きをそのままに伝える側面も、新しい現代的な可能性を映し出す側面もあります。将来国際的に活躍することを目指す方にも、日本の伝統文化への理解は大きな支えになることでしょう。

 

 能や伝統芸能に興味のある方や、新しい趣味を始めてみたい方など、多くの新入生のご参加を歓迎します。一緒にお稽古を始めましょう!

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