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2024年5月8日

【六大学野球】慶應戦 新体制で挑む六大学野球開幕戦、期待膨らむ光るプレーも

 硬式野球部(東京六大学野球)は4月13日と14日、2024春季リーグ戦の開幕試合にて慶應大学と戦い、1回戦を5-2で、2回戦を3-8で敗北した。生まれ変わったチームでの開幕戦は、残念な結果となりつつも、攻守ともにこれからの活躍が期待される成果を見せた。(取材・新内智之、五十嵐崇人、清水央太郎、松本雄大、山口智優)

 

1回戦 八回まで無得点も、最終回に怒涛(どとう)の反撃

 

慶大|003200000|5

東大|000000002|2

 

 新体制で挑む六大学野球の開幕1回戦。顔触れを新たにした攻守ともに期待が寄せられるが、序盤は思うように試合が運ばなかった。一回裏、2番・中山太陽(経・3年)がいきなり二塁打を放ち先制点につながるかと思われたが、相手先発・外丸は東大の追撃を許さない。昨年、2年生ながら獅子奮迅の活躍でリーグ戦優勝に貢献したエースの前に後続の打者は続かず無得点でこの回を終えた。

 

 この日の東大の先発は平田康二郎(育・4年)、再三ランナーを背負う展開も初回の2死一、三塁、二回の1死三塁のピンチは無失点で抑えた。しかし三回表、またも一三塁のピンチで相手の4番・清原。センターへの打球に中山が一瞬目測を誤り、グラブに当てるも取れない。なおも走者二三塁で東大は前進守備を敷き勝負をかけたが、5番・横地の打球は内野を飛び越えてセンターへ。この回、昨季防御率1点台の外丸に対じする東大にとって重すぎる3点を失うことに。続く四回表にも追加で2点を奪われ、平田はマウンドを降りた。

 

三回、横地に追加点となる適時打を許した平田はマウンドに崩れ落ちる
三回、横地に追加点となる適時打を許した平田はマウンドに崩れ落ちる(撮影・新内智之)

 

 五回からは回転やフォームで独特の強みを持つ左腕・双木寛人(農・4年)が登板。ユニークな特徴を存分に生かしこの試合初の三者凡退に抑える。五、六回を無失点で抑えマウンドを降りると、七回からは各回を中村薫平(経・4年)、渡辺向輝(農・3年)、佐伯豪栄(理Ⅱ・2年)がそれぞれ無失点とし、相手打線を封じた。

 

六回、満塁のピンチをしのいだ双木は満面の笑みででベンチの出迎えを受ける
六回、満塁のピンチをしのいだ双木は満面の笑みででベンチの出迎えを受ける(撮影・新内智之)

 

 九回裏、このまま無得点で開幕戦を終えるかと思われたが、先頭打者の1番・榎本吉伸(文・3年)が四球で出塁。続く2番・中山はセンターへはじき返し無死一二塁とする。最終回で訪れた得点のチャンスに会場は沸き、応援席からは力強い声援が飛ぶ。一身に期待を背負って打席に立ったのは3番・山口真之介(薬・4年)。相手投手の球にも翳(かげ)りが見え、相手は慌ててタイムを取り監督がマウンドで声をかける。しかし途絶えることのない声援を力に、山口のバットは再開直後の相手の投球をライトへ打ち返す。この適時打で榎本が帰還し1点を返した東大。4番の内田開智(文・4年)が凡退するも、バッターボックスには投打二刀流の活躍が期待される5番・鈴木太陽(経・4年)。熱気冷めやらぬ声援、空には輝く太陽、その名のごとく東大を照らす逆転の光となるか。バット一閃(せん)、鋭い打球はライトへ。犠飛となり中山が生還、3点差に詰め寄るが三塁進塁を狙った山口がアウトとなり試合終了。東大の反撃はここで潰(つい)えた。

 

九回、外丸から適時打を放つ山口真。早速勝負強さを見せつけた
九回、外丸から適時打を放つ山口真。早速勝負強さを見せつけた(撮影・新内智之)

 

2回戦 先発・鈴木太陽、立ち上がり課題に 府川の本塁打も追撃及ばず

 

東大|000012000|3

慶大|40002101X|8

 

 前日5-2で敗北した相手である慶大に対し、先発したのは投打「二刀流」の鈴木。しかし立ち上がりに打ち込まれ、先頭打者が安打で出塁すると、続く相手2番・古野に適時三塁打を放たれ1失点。さらに適時打、押し出し、内野ゴロで続けざまに3点を失う。初回を4失点で終えた鈴木だが、その後は二、三回を三者凡退に抑え、四回には走者を出すも追撃を許さず無失点とした。五回にも死球や失策が絡み2点を失うが、二回から四回までを無失点でしのぐなど安定感が光っただけに、初回と五回の計6失点は悔いが残る結果となった。

 

先発の鈴木、投打「二刀流」の活躍なるか
先発の鈴木、投打「二刀流」の活躍なるか(撮影・五十嵐崇人)

 

 鈴木の降板後は渡辺、中村、前田理玖(文Ⅲ・2年)、佐伯、吉田晃輝(工・3年)と継投し、六回、八回にそれぞれ1点を献上。七回に投げた前田は走者を背負いながらも2奪三振で無失点に抑える好投を披露した。

 

 打っては初回、前日に適時打を放った3番・山口が中前打で出塁。続く4番・内田の左前安打で山口が三塁まで到達するも得点には至らずこの回を終える。三回にも1番・中山が牽制球の失策により三塁まで進んだが、こちらも得点には繋げられない。得点圏に走者を進めることはあれど、四回まで得点なしともどかしい展開に。五回表、中山が四球で出塁し盗塁で二盗を決めると、4番・内田の左前適時打で生還しようやく1点を返す。

 

 この日一番の盛り上がりを見せたのは六回表。代打の明石健(理Ⅱ・2年)が四球で出塁すると、続いて打席に立った捕手・府川涼太郎(文・4年)の打球は相手左翼手の頭上を大きく越え左翼スタンドへ。東大からの本塁打に応援席の興奮は最高潮、ダイヤモンドを一周し帰った府川は仲間と抱き合い喜びを分かち合う。勢いに乗ったように中山、榎本が安打を放ち三塁側スタンドはさらなる盛り上がりを見せるも得点には繋げられず、その後打線は見せ場なしに終わった。

 

六回表、府川の第1号本塁打がさく裂
六回表、府川の第1号本塁打がさく裂(撮影・五十嵐崇人)

 

 敗北が2試合続いたが、個々のプレーには各々光るものがあった。2試合で8打数4安打を誇る中山や2回戦で本塁打を放った府川など、打撃で躍動した面々。さらに先発の平田、鈴木をはじめ投手も好投を見せつけた。今季こそ優勝争いに絡めるか。これからの活躍に期待が膨らむ。

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