第98回五月祭が5月24〜25日に本郷・弥生両キャンパスで開催された。五月祭常任委員会によると2日間で約15万人の来場者が訪れたという。今年の五月祭のテーマ「心を駆動する。」は小さな電子部品「素子」がつながり回路を動かすさまを、出会いの連鎖の中で心通う祭りの様子になぞらえたもの。基板を思わせる新緑のキャンパス上で、人々が電子となって素子のように立ち並ぶ企画をつないでいく─今年の五月祭には、来場者たちの心を動かす、どのような企画があったのだろうか。それぞれの企画の思いとともに、当日の様子を写真で振り返る。(構成・平井蒼冴、取材・岡拓杜、野呂夏樹、安田修梧、平井蒼冴、木下太陽、溝口慶、古屋磨央)

スペドリ
サッカーサークル東大Speranza FC は、利き酒ならぬ「利きスポドリ」体験を提供した。当企画では、スポーツドリンクの銘柄3種(ポカリスエット、アクエリアス、グリーンダカラ)に加え、特製ドリンクも作製し計4銘柄を用意した。通常料金は300円だが、全問正解で割引を賭けたくじに挑戦できる。記者は自信を持って解答を提出したが、結果は1問のみ正解。記者もだまされた特製ドリンクの作り方は「企業秘密です」。

東方五月祭
東方Project を楽しむサークル「東大幻想郷」は今回、複数の企画を出展した。その一つ「東方五月祭」では、部員が制作した合同誌や公式書籍を自由に読むことができるスペースや、原作ゲームを実際にPC で自由に体験できる試遊コーナーが設けられた。来場者は大学生や中高生が中心だったが、小学生の姿も多く見られ、幅広い世代に人気であることがうかがえた。「他の大学の東方サークルの方が多く来てくれますね」とのことだ。

つたえる?つたわる?ラウンジ
学生団体・nayamii は悩みを話したい相手に不安なく話すサポート方法を開発するサークルだ。悩み事を聞き合う独自開発のカードゲームを体験できるほか、「もやもやの木」には悩み事を書いた短冊をつるして共有できるようにした。学園祭への出展は今回で3回目。子どもたちが多く来場してゲームを楽しんでくれたという。「団体としてこれからもワークショップをしていくので、興味のある方はぜひ来てみてください」
骨と狩猟展
東京大学狩人の会は活動内容や骨・毛皮、狩猟の道具などを展示する企画を行った。教室内には骨や毛皮がずらりと並び、多くは触ることができた。また、わな設置のデモンストレーションでは、わなの操作だけでなく設置場所や隠し方まで学べる。子どもの見学者も多く、人気なのはシカの歯だという。グラグラして頭蓋骨から抜けそうなところに、歯が生え替わる時期の子は共感するようだ。

たたら製鉄
東大工学部マテリアル工学科の3、4年生有志の恒例企画。たたら製鉄とは、木炭を燃料に砂鉄から鉄を取り出す伝統的な製鉄法。取材日には15kg の砂鉄を最初に入れたといい、火をたいてから鉄の取り出しまで、学生が1日中交代しながら空気の入りなどを調整していた。窯の解体時には大勢の観衆でにぎわった。取り出された5kg の鉄に磁石をくっつけ子どもたちはおおはしゃぎ。学生たちは「磁石を返して〜」と子どもたちに苦笑いしつつ、今日は成功だと喜びを見せた。

産地直送「漁師のアジフライ」
社会科学の視点から水産物を研究している東大農学生命科学研究科・国際水産開発学研究室。今回は「日本一」とも評される長崎県松浦市直送のアジを使い、脂の乗ったアジフライを提供した。油の温度や揚げる時間を徹底し、最高の状態で食べられるようにした。行列が絶えないほど人気を博した今回の出展を通して、「肉よりも魚が好きな人が少ない今、魚の本当の美味しさに気付いてもらい、水産物に興味を持ってほしいです」。
クロッフル知らないようじゃ無理か~美味いからね、食っとかないと
図書館広場でクロッフルを提供した2025年度入学文I・Ⅱ・Ⅲ5組は、韓国朝鮮語選択の文科合同クラス。大流行中のクロワッサンとワッフルを融合させた韓国発スイーツのクロッフルは、競合企画も多い。破格のボリュームや惜しみないトッピングを強みに2日で800個を完売。「味ではどこにも負けません」。人気1位のメープルアーモンドを筆頭に、クッキーやいちご、抹茶など厳選されたメニューで来場者を魅了した。
