PROFESSOR

2026年2月23日

東大教授から受験生へエール 鈴木早苗教授

 ついに大学入試がやってきた。東大の卒業生で、国際関係論を研究しながらPEAK(教養学部英語コース)前期課程で「地域主義・地域統合」や「国際関係」などの授業を担当している鈴木早苗教授(東大大学院総合文化研究科)に話を聞いた。入試を越えた先にはどんな楽しいことが待っているのか。大学ではどんな人生が待っているか。未来に夢を膨らませて、頑張れ受験生!! (取材・ゼリビ・カミル)
 



──入試当日の思い出はありますか

 

 2次試験1日目の数学は全部解けて、これはいけるかもしれないとすごく喜びました。でも2日目の英語で、リスニングができませんでした。英語はちょっと自信があったので余計に落ち込みました。終わった後、やっぱりだめかもと思った記憶があります。




──文Ⅲへの入学後はどうでしたか

 

 やりたいことがはっきり決まっているわけではなかったので、最初から経済学部とか法学部とか専門が決まると困るなぁと思っていました。前期課程では専門を絞らずにいろいろな学びに触れられる仕組みなのは良かったですね。とはいえ進学選択では、成績が良くないと行きたい学部や学科には行けないので、東大に入ったらまた試験があったって感じです。大学入って万歳、終わり、みたいなことはありませんでしたね。




──どうして研究者になったのですか

 

 東大入学を志望した時から外交官になりたいと思っていて、研究者には全く興味がありませんでした。国際組織や国連で、国際的に活躍したいと思っていました。




 もう少し英語がうまくなりたくて、駒場の留学制度を使って、1年間イギリスに留学しました。イギリスでの経験はすごく良くて、特にヨーロッパ統合の歴史を勉強したのは面白かったです。それで普通は大学を4年で出るところを5年で卒業しました。もう少し国際関係の勉強をしたいと思って、修士課程に進みました。研究が楽しいというか、特に本を読んだり論文を読んだりするのが楽しかったですね。イギリスへ留学していなかったら、今は違う職業だったと思います。




──選んだ進路に疑問を感じたことはありますか

 

 やっぱり東大だから、友達が華々しい、素敵なところに就職して、お金をもらってバリバリ働いているんです。一方の私はまだ自分の足で立てていない学生です。いつ一人前になれるんだろう、間違った道に進んだのかなと思うこともありました。それでも、論文を読んだり、本を読んだり、文章を書いたりする時間はとても落ち着いていて心地良いものだなと感じていました。




──研究内容について教えてください

 

 三つ以上の国が協力して、平和や経済発展といったものを実現していく方法に興味があります。例えば、日本だけで平和は実現できないし、日本だけで経済発展もできません。隣の国であったり遠くの国であったりさまざまな国と協力することで、何かを得るわけです。

 たくさんの国が集まると、みんなが言いたいことを言うので、なかなか協力できません。だけど、10カ国や20カ国くらいのある程度の範囲で、どうやって対立を減らし、協力を進めていくのかに興味があります。




──海外の経験からはどのような学びがありましたか

 

 大学生の時のイギリス留学が初めての海外体験でしたが、その後はマレーシアなど多くの国で生活しました。社会ごとの価値観の違いは頭では分かりますし、本を読めばなんとなく理解できます。ですが現地に行くと、自分が正しいと思ったことが正しくなかったり、自分がこっちの方がいいと思ったことが違ったりすることは多く、違いを実感できました。




 一方で、どこの社会に行っても、人と人が関わり合うことについては、共通して言えることもあると感じました。困っている人がいたらできるだけ助ける、というのはどこの社会でもありましたね。




──駒場にはどんな国際交流の機会がありますか

 

 4月に入学する日本人の学生がPEAKの英語の授業を取ることで、留学生と話して、英語が基準の国際的な環境に慣れることができます。英語をブラッシュアップしたいとか、海外出身の友達を作りたいとか、どんな理由でもいいので、PEAKの授業をとるのは良い機会になると思います。私も留学生に、今日は家族が東京に来るので授業を休んでもいいですか、と言われて驚いたことがあります。授業より家族を優先する考えもあるのか、と強く印象に残りました。こういうちょっとした価値観の違いも面白いと思います。




──学生が「大学で学ぶ意義」は何だと思いますか

 一人ひとり、学生によって違うけれど、自分は何者なんだろう、何がしたいんだろう、何をしている時が一番幸せなんだろうというのを探す時間な気がします。大学は別に授業に出るだけではありません。仕事を始めるといろいろな活動に参加する時間はなくなります。いろんなことをやっては失敗して、「あぁ、違った。これは好きではないなぁ」と気付ける時間があるのは、やっぱり大学生ならではだと思います。

 

──受験勉強は大学入学後にどのように役立ちますか

 

 受験対策はどうしても必要で、やらないと合格できないんですよね。私は受験生の時、本当に大学に入るためだけに勉強していました。だから大学に入った途端、自分がためてきたものがそこでプツンと途切れてしまう感じがしたんです。だから受験生の皆さんには、この先どうやって自分の役に立てるのかを考えながら勉強してほしいと思います。



──受験生へメッセージをお願いします

 

 受験勉強中は、落ちたら人生が終わると思ってしまうものでしょう。だけど受験は単なる一つの通過点です。あなたの長い人生なのだから、そんなに深刻に考えず、ただ「通り過ぎる」くらいの気持ちで臨むくらいがいいではないでしょうか。



 大学に入ったら何をしようかとか、勉強の休憩時間に少し考えながら、バランスを取るのがいいのかもしれませんね。私はそういうふうにはできなかったので、反省も込めて(笑)。

 

SUZUKI Sanae 鈴木 早苗 教授(東京大学大学院総合文化研究科)すずき・さなえ/ 09 年東大大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。11 年博士(学術)。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、東大大学院総合文化研究科准教授などを経て、24 年より現職。



 

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