硬式野球部(東京六大学野球)は6日、慶大との3回戦を戦い、6―1で敗れた。打線は相手を上回る10安打を放つも1得点にとどまり、初回に本塁打で失った3点が決勝点となって、コロナ禍の特別ルールだった時期を除いて8年ぶりとなる2勝での勝ち点獲得はならなかった。(取材、撮影・宇城謙人、平井蒼冴、吉田直記)
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今季リーグ戦、0勝で迎えた慶大とのカード。これまでの早大、明大とのカードでは1回戦に先発していた渡辺向輝(農・4年)を2戦目にスライドし、1回戦には松本慎之介(理Ⅱ・2年)が先発。松本の圧巻の投球もあって1年ぶりの勝利を果たした。1勝1敗で迎えた3回戦は勝ち点獲得のために絶対に落とせない戦いとなった。
先発は中1日で松本かと思われたが、その松本はベンチ外。江口直希(工・3年)が1回表のマウンドへ。その江口、自慢の直球で慶大打線を押していきたいところだったが、早速先頭を遊撃手・樋口航介(理Ⅰ・2年)の失策で出塁させてしまう。そこからなんとか2死までこぎ着けるも4番に死球を与え、2死一、二塁で迎えた5番・中塚遥翔との勝負。中塚の流し打った打球はレフトスタンドに吸い込まれ、東大は初回から重い3点のビハインドを背負った。
2回裏、1死から明石健(農・3年)が右前打を放ち出塁すると、大久保監督が先発・江口に送った代打・工藤雄大(文・4年)が慶大・渡辺和大の投球を一閃(いっせん)。フェンス直撃の左越二塁打でチャンスを拡大し、さらに四球で2死満塁と攻め立てるが、最後は秋元諒(文Ⅰ・2年)が三ゴロに倒れ、無得点に終わる。
江口に代わって登板した前田理玖(文・3年)がさらに1点を失って迎えた3回裏。先頭の樋口の中前打を皮切りに1死二、三塁の好機を作ると、スタンドのボルテージが上がる。打席に立った荒井慶斗(文Ⅲ・2年)に大きな期待がかかる。荒井はしっかりと前に打球を飛ばし、ショートゴロながら東大は1点を返す。さらに明石が四球で出塁し、2死一、三塁と攻め立てたところで、東大はダブルスチールを仕掛ける。1点にこだわる姿勢のもとに、一走・明石がうまくスタートを切るも、惜しくも三走・大原海輝(文・4年)は本塁アウト。さらなる得点はならなかった。

圧巻だったのは4回表から登板した池田剛志(理Ⅱ・1年)。この日が初めてのリーグ戦のマウンドとなったが、140km/hに達する直球と、ストライク先行で打者を追い込んでいく投球でスタンドを唸らせる。球威で圧倒し、慶大の中軸を次々と打ち取っていく。6回表にソロホームランを1本許しこそしたが、3回を投げて失点はこの1点、被安打も2本に抑え、鮮烈なデビューを果たした。
大久保監督はベストナイン経験者の酒井捷(経・4年)に代打を送るなど、得点に向けて積極策を敷くも、いずれも不発。5回裏に2死満塁、8回裏に1死一、二塁とチャンスを迎えるも、いずれも無得点に終わる。
9回表には渡辺向輝が登板。プロ志望届を出した渡辺、目標とする支配下での指名に向けてなんとかアピールしたいところ。アンダースローから次々とフライアウトを奪う「らしさ」は2死まで見られたが、「あと一人」から出した走者をきっかけに1点を失う。点差を拡大させてしまい、9回裏に登板した慶大のエース・外丸東眞が圧倒的な球威で東大打線を3人で片付けたのと対照的な結果になってしまった。