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2026年1月26日

東大医学系教授、収賄疑いで逮捕 社会連携講座絡み接待受ける 総長「言語道断で、遺憾」

 1月24日、佐藤伸一教授(東大大学院医学系研究科)が収賄の疑いで逮捕された。25日に東大が発表した。東大の藤井輝夫総長はメッセージを発表。多方面に迷惑をかけたと謝罪した上で、度重なる教員の逮捕を「痛恨の極みであり、言語道断で、遺憾であると言わざるを得」ないとし、再発防止に「不退転の覚悟」で取り組むとした。記者向けに近く説明の機会を設けるとも表明している。東大病院も25日、田中栄院長がコメントを発表し、謝罪した。診察への影響はないという。

 

 一部報道によると、佐藤教授は「臨床カンナビノイド学社会連携講座」(昨年3月末に廃止)の連携先である日本化粧品協会の代表理事から高級クラブや風俗店などで接待を受けた疑いが持たれている。国立大学の教員は「みなし公務員」にあたり、収賄罪の対象となる。この問題をめぐっては昨年5月、同研究科の教授らが高額な接待の要求や研究契約の一方的な解除を行ったなどとして、協会が約4200万円の損害賠償を求めて東大と佐藤教授、同講座の講座長の元特任准教授を提訴している。10月には調査の結果「極めて不適切な行為」があったとして藤井総長がコメントを発表、改革策も併せて発表していた。また、今月8日にはさらに教職員の倫理保持のための規範が制定された。

 

廃止後も講座の広告が電柱に掲示されていた=昨年5月19日、龍岡門前で(撮影・平井蒼冴)

 

民事裁判では..… 接待は「強要」されたのか 要求はないのか

 

 協会が東大と佐藤教授などを訴えた民事訴訟について、裁判資料によると、協会は①元特任准教授から高級クラブでの接待を求められたなどと主張している。さらに②佐藤教授と元特任准教授から性的な接待のある店に連れて行くよう要求された、③会食の場で佐藤教授から講座を潰されたくないなら早く金を持ってこい」 「社会的にも抹殺するぞ」などと暴言を吐かれ、金銭を求められた─などと主張している。代表理事はその後恐喝未遂などの被害届を警察に提出したという。

 

 一方佐藤教授は、①高級クラブでの接待を自分から求めたことはない、②風俗店についても協会の代表理事が積極的に誘ってきた、③当該の会食での発言について具体的に記憶はしていないが、代表理事が自ら言い出して佐藤教授らと約束していた事項を全く守っていないことを指摘しただけで、金銭を出させようとする趣旨ではない──などと反論している。

 

 元特任准教授は、佐藤教授の意思決定を代行する立場にはなかったとし、協会の接待は強要したものではないと反論。協会の接待の狙いは資金力を誇示して同講座の継続性を裏付け、佐藤教授や元特任准教授の弱みを握ることにあったと主張した。

 

医学系・医学部で相次ぐ教員の逮捕 卓越大への影響は

 

 東大大学院医学系研究科・医学部に関しては、昨年11月にも医学部の准教授が医療機器メーカーの従業員から寄付金として賄賂を受け取った疑いで逮捕されている。

 

 東大は昨年12月、ガバナンスに関する問題が指摘され、国際卓越研究大学(卓越大)の第2期公募の審査にあたって1年間の継続審査とされた。文科省は、さらにガバナンスに関わる不祥事が発生した場合には「審査を打ち切る」としている。今回の問題は審査発表前から明らかだったもので、直ちには審査を打ち切られないとは見られるが、審査に悪影響を及ぼす可能性もある。

 

 卓越大に認定された場合には、科学技術振興機構(JST)が設置する11兆円規模の大学ファンドによる資金援助が行われる。認定されなかった場合、東大にとって財政的に大きな打撃になるとみられる。

 

【参考記事】

【ニュースで振り返る2025①】東大襲う不祥事の波 藤井船長の舵取りはいかに 前編

【ニュースで振り返る2025②】東大襲う不祥事の波 藤井船長の舵取りはいかに 後編

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