4月13日、立教大学セントポールズ・アクアティックセンターで第33回東京六大学水泳春季対抗戦が行われた。東大は男子5位、女子6位の結果となった。女子100mバタフライでは小野七晴(工・3年)が東大記録を樹立し、200mバタフライでも大会全体3位に食い込む好成績を収めた。男子では松本恭太郎(工・4年)が男子100m平泳ぎで大会全体3位、200m平泳ぎでは1位となり男子優秀選手賞に輝いた。一方で、江見大輝(理Ⅰ・1年)が男子100m自由形で関東学生選手権の参加標準記録を突破するなど、新入生の活躍も目を引く大会となった。(取材・増宮越朗、吉野祥生、宇城謙人)
歓声響く六大学の真剣勝負
今大会は六大学の選手が一堂に集結して、わずか1日で多数のレースが行われる過密なスケジュールとなった。その中でも、東大の選手たちはそれぞれの持ち味を発揮し、記録更新や上位進出を果たすなど、随所で存在感を示した。
男子200m平泳ぎでは、3組目で松本恭太郎が出場した。立ち上がりから積極的なレースを展開した松本は、前半100mを1’00″57でターンすると、150mではなお先頭をキープ。ラスト 50m はやや苦しみながらも粘りきり、2’06″60 でフィニッシュ。同組の早大・松田、明大・川島を抑えて1着に輝き、大会全体1位の結果を残した。続く100m平泳ぎでは、序盤 50mを27″57 の好タイムで折り返し、1番手で明大・小嶋と熾烈(しれつ)な先頭争いを繰り広げた。最終盤まで首位争いを演じたが、後半の伸びを欠き、58″74で3着に。わずか0″45差で優勝を逃したものの、粘り強いレース展開が光った。これらの活躍が評価され、松本は今大会の男子優秀選手賞に選出された。コンディションが万全でない中でも、全体主将としての存在感を改めて示した松本に、今後のさらなる飛躍が期待される。

女子200mバタフライには、小野七晴が出場した。小野は最初の50mを29″48でトップ通過。序盤から積極的に攻め、100mでは2番手でターンするなど、好位置をキープした。後半にかけてはややペースを落としながらも粘りを見せ、自己ベストを大きく更新する2’14″84 でフィニッシュ。3着に食い込んだ。東大の女子競泳陣をけん引する女子主将として、これからの活躍にも目が離せない。 男子100m自由形には新入生の江見大輝が出場した。 江見は1組目でスタートし、前半50mを26″51でターン。 落ち着いた泳ぎで後半も粘り、最後まで順位を守り切って55″77 でフィニッシュし、関東学生選手権の参加標準記録(56″66)を見事突破した。堂々たる結果を残し、新入生ながらも存在感を示した江見の今後の成長が楽しみだ。
相次ぐ自己ベスト更新と上位入賞でチームに貢献したのは持田隼人(法・4年)である。最初に男子 400m自由形に出場し4’25″90 を記録して自己ベストを更新すると、男子200m平泳ぎでは1組目で出場。圧巻の泳ぎを見せ、この組で1位の成績となる2’12″46 でフィニッシュした。この結果がチームに貴重な得点をもたらし、その後のレースへの弾みとなった。続く100m 平泳ぎでは1’00″33 の好記録を出し、全体順位は6位で入賞。さらに50m平泳ぎでも自己ベストを大幅に更新する28″48で入賞。この3種目で積み上げた貴重な得点は立大との接戦を制し、東大の最終順位を5位に押し上げる大きな原動力になった。

男子優秀賞に輝いた松本に加え、小野、持田など多くの選手が上位入賞と自己ベスト更新を果たした今大会。全ての結果は掲載できないが、本当に多くの選手が輝いた。新入生の活躍が新たな風を吹き込む中で、さらなる躍進が楽しみだ。
持田隼人選手(法・4年)
自分は1日に4レース泳ぐことは少ないのですが、意外と午後まで体力が持ってくれて、冬場の成果を発揮できたレースになったのかなと思います。最初に出場した400m自由形は本当に初めてだったので分からないことも多かったのですが、しっかり泳いだことで、200mや100m平泳ぎのペースをもっと意識できるようになりました。結果的に自己ベストを出せたので、練習の成果として一つ自分の中では満足いく結果なのかなという風に思います。個人的な目標として、8月の全国国公立大学選手権で得意の100m、200m平泳ぎで決勝に残って、メダルを狙いながらチームに貢献するという部分と、9月の日本学生選手権で満足いくような結果を残すというのが大きな目標なのですが、自分は主将という立場でもあるので、競技面と運営面の両方責任ある立場としてい ろいろ考えながらやっていきたいと考えています。
小野七晴選手(工・3年)
200m バタフライは半年ぶりに2秒ベストを更新することができて、日本学生選手権の標準記録まであと1秒のところまで迫ることができました。100mバタフライもインカレの標準記録まであと 0″7 のところまでベストを更新できたのが嬉しかったです。800m自由形はタイムはそんなに良くなかったですが、目標としていた順位を取ることができました。しかし、最後のリレーは慶大に勝つということをチームも目標にしていましたが届かず、個人としてもタイムはあまり満足いくものではなかったので、課題が残ったかなと思います。女子主将として、自分が自己ベストを出し続けることも重要です。対抗戦では、個人種目で点数を稼ぐこと、リレーでアンカーとしていいタイムで泳いでチームの順位に貢献できることでみんなを引っ張っていける立場になればいいかなと考えています。
中西祥旗選手(工・3年)
あまり調子が良くない中臨んだ試合でしたが、結果的に自分の期待以上の成績を残すことができて、今後の自信につながると考えています。冬の間も質より量という感じで、基礎体力を付けました。チームの練習メニューを考える担当をしていることもあり、そこで意図したものがいろいろと生きていたと考えています。これから夏にかけては、スタミナをベースに質を上げていきたいです。自分は平泳ぎの調子に波があるのが課題なので、ベースを底上げしたいです。夏の全国大会で目標を達成するために、しっかり目標を立てていきたいと考えています。
近藤伶穏選手(文Ⅱ・2年)
普段は平泳ぎにしか出ていなくて、200mバタフライなどは特に出たことがなかったのですが、チームが1点でも多く取るためにという中で、収穫はあったかなと思 います。200mバタフライは、泳ぎ切ることを目標にしていたので、どうにか失格せずに泳ぎ切ろうっていう気概でなんとか乗り切れました。最後の方は泳ぎが崩れてしまったのですが、その中でも失格だけはしないように頑張りました。冬の間は合宿などで長距離をちゃんとこなしました。新1年生も自分より速い選手がいるので、 置いていかれないようにレベルを高めつつ、仕事面でも自分の役割があるので、それをしっかり果たしていきたいと思います。
西村和花選手(理Ⅱ・2年)
中学までは長距離を中心でやっており、最近はあまり長距離メインではなかったのですが、今回久しぶりに長距離メインで出ました。ただ、ベストではなくあんまりな結果でした。長期休みのときは結構泳ぎこんだりしていて、週1回くらい長距離選手向けの泳ぎこみもしていました。今シーズンは生涯ベストを更新することを目標にしていて、今回はうまく行きませんでしたが、切り替えて練習を積みたいです。新入生も入ってきて、新たにリレーも組めるようになり、一緒に頑張っていきたいと考えています。