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2017年9月14日

自主制作とは思えないクオリティ 学生映画の頂上決戦、東京学生映画祭が開催

 

 8月24日から26日にかけて、今年で29回目を迎える日本最大の学生映画祭、東京学生映画祭が品川区立荏原文化センターで開催された。残念ながら予選を突破できなかった東大を含む50以上の大学、団体から150本以上の実写、アニメーション作品が寄せられ、予選を勝ち抜いた実写作品7本、アニメーション作品7本が映画祭本番において上映された。

 

 本選では、実写部門で山戸結希(『溺れるナイフ』監督)や佐々部清、今泉力哉、アニメーション部門で水島精二(『鋼の錬金術師』監督)や鈴木伸一、水江未来といった業界の第一線で活躍する監督たちが審査員を担当。ノミネート作品の大スクリーンでの上映のみならず、これらのゲスト審査員と学生監督によるトークセッションも設けられ、実際に上映された作品に関する熱い議論が繰り広げられた。

 

 上映された作品は、どれも学生映画とは思えないクオリティのものばかり。実写作品のカメラワークやカット割り、役者の演技は商業作品だと言われれば信じてしまいそうなほどで、扱っているテーマも同性愛や性風俗などかなり攻めたものが見られた。アニメーション作品も、内面的な葛藤を描いたと思われる抽象的な作品がある一方で、心がホッとする少女と犬の夏の一コマを描いた作品もあり、どれも短い時間に素敵なアイデアが詰め込まれていてスクリーンから目が離せなかった。

 

 今回、実写部門で熱戦を制したのは、ミャンマー人とタイ人の間に生まれ日本で育った少女の葛藤を描いた福田芽衣監督の『チョンティチャ』だった。同じくアニメーション部門でグランプリを獲得したのは、コンピューターのファイルをキャンディーに見立てるという斬新な発想で制作された見里朝希監督の『Candy.zip』。若手映画製作者の登竜門ともいわれるこの映画祭を勝ち抜いた彼らの、今後の活躍に注目だ。

(取材・高橋祐貴)


▽第29回東京学生映画祭 「いま、本当に面白いのは学生映画ですから!」

日時:8月24日(木)、25日(金)、26日(土)

会場:品川区立荏原文化センター

ゲスト審査員(敬称略・順不同)

実写部門:佐々部清(映画監督)

     今泉力哉(映画監督)

     山戸結希(映画監督)

アニメーション部門:鈴木伸一(アニメーション作家)

          水島精二(アニメーション作家)

          水江未来(アニメーション作家)

主催:第 29 回東京学生映画祭企画委員会、品川区立荏原文化センター

 

▽受賞内容

《実写部門》

グランプリ

 チョンティチャ 東放学園映画専門学校 福田芽衣

準グランプリ

 赤色彗星倶楽部 早稲田大学 武井佑吏

観客賞

 春みたいだ 日本大学 シガヤダイスケ

最優秀役者賞

 長月 凛

SHIBUYA TSUTAYA 賞

 赤色彗星倶楽部 早稲田大学 武井佑吏

※今年度はシアターナイトとの提携企画として実写部門から『CHICK TACK』がアニメーション部門から全7作品が、9月23日に利根川川岸にて開催される野外上映イベント・シアターナイトにて上映予定

 

《アニメーション部門》

グランプリ

 Candy.zip 東京藝術大学大学院 見里朝希

準グランプリ

 SUMMER TIME 東京藝術大学大学院 福地明乃

観客賞

 Candy.zip 東京藝術大学大学院 見里朝希

※今年度は、NPO法人CATiCとの提携企画として、見里朝希監督の『Candy.zip』をカンボジアにて上映

 

▽第29回東京学生映画祭公式webサイト

http://tougakusai.jp/

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