キャンパスライフ

2021年4月16日

異例の1年、先輩はどう過ごした? 東大新聞部員が語るコロナ禍の大学生活のリアル

 授業開始から約2週間が経過した。今年の新入生も、昨年の新入生同様オンライン授業中心の大学生活を送っている。いつ終わるかも分からない新型コロナウイルス流行下の大学生活に不安を感じる新入生も多いだろうが、それは昨年の新入生たちも同様だ。先輩たちは異例の1年をどう過ごし、何を感じたのか。新入生3人を含む東京大学新聞記者による座談会を開催し、コロナ禍の大学生活のリアルに迫った。

(構成・中野快紀) 

 

座談会はオンラインで実施。左上から時計回りに弓矢、中野、友清、黒田、森永、松崎

 

「腐った」Sセメ、対面授業が契機に

 

ーー初めに自己紹介と、本年度の大学生活の簡単な紹介をお願いします

 

黒田 理Ⅱ・2年の黒田です。昨年3月末に三鷹国際学生宿舎(三鷹寮)に入寮し、ずっと寮でオンライン授業を受けていました。

 

弓矢 文Ⅱ・2年の弓矢です。3月末に上京しようとしたものの、感染拡大により夏までずっと実家のある三重県にいました。

 

松崎 理Ⅰ・2年の松崎です。入学以降東京の実家でずっと授業を受けていました。

 

友清 工・3年の友清です。昨年の春に1週間くらいのつもりで帰省したのですが、東京を中心に新型コロナの流行が拡大したので8月まで実家でオンライン授業を受けることに。Aセメスター(後期、9月下旬〜2月初旬)は東京や移住先の静岡でオンライン授業を受けていました。

 

森永 文・3年の森永です。1年間東京でオンライン授業を受けていました。授業はオンラインになりましたが、友達とも遊びましたし、帰省や旅行もしたので授業以外の要素が大きく変わった気はしません。

 

ーー2年生の3人にとって、去年の3、4月は激動の数カ月だったと思います。当時の話を聞かせてもらえますか

 

黒田 弓矢くんはSセメスター(前期、4月〜7月)の間実家にいたようですが、僕も全ての授業がオンラインになるともっと早く知っていれば東京に来ていませんでした……。東大のウェブサイトを見るなどしたのですが、よく分からず戸惑ってしまいました。

 

中野 前期教養課程では当初、最初の2週間だけ対面授業を実施する予定でしたが、3月27日に中止が決まりました。確かに、上京する必要のある新入生にとってはもっと早く知りたかった情報かもしれません。

 

弓矢 僕の場合は父親が調べてくれていました。後日知ったのですが、当時は学部の対応やオンライン授業などに関する情報がTwitterで出回っていたようです。

 

松崎 私は東大情報基盤センターなどが公開しているオンライン授業のためのポータルサイトを見て情報を集めていました。

 

ーー初めてのオンライン授業についてはどうでしたか

 

松崎 全てオンライン授業だったSセメスターは、人との関わりが本当にありませんでした。クラスによっては頻繁にオンライン上で交流していたようですが、私のクラスは何もなかったです。新しいところに入ったという気持ちや、大学への帰属意識などなく、精神的に腐っていました。流れが変わったのはAセメスターに入ってから。一部の授業が隔週で対面になって初めてクラスメートと顔を合わせ、たまにZoomで話をするようになりました。

 

友清 オンラインで親睦を深めるのはなかなか難しいですよね。僕の時はオリ合宿(例年新入生がクラス単位で上級生と行く親睦旅行。昨年、今年は中止)で仲良くなったグループと1年間一緒に行動していました。授業に関する情報共有も頻繁に行っていて、特にテスト期間中は駒場キャンパスの食堂に集まって一緒に勉強していましたね。

 

森永 サークルによっては五月祭(毎年5月に本郷キャンパスで実施される学園祭。昨年は9月にオンライン開催)で1年生から出番があったりもします。それに新入生は全クラスが飲食店を出店するので、その準備のためにみんなで集まって親睦を深めたり……といったことがありましたね。

 

ーーオンライン授業では課題の多さも話題に上がりましたよね

 

弓矢 周りは課題が多いと言っていましたが、そこまで多かったという印象はなかったです。時間もあったのでそこまで大変ではなく、むしろ暇でした。僕は米国の高校に通っていて、高3の夏に帰国してから東京で1人暮らしをしていたので、数年ぶりに日本の実家で過ごしていました。そのため家族と過ごす時間が増えて嬉しかったですね。

 

黒田 僕は寮で1人だったので「今日は誰とも話していない」というのが1週間続くこともありつらかったです。スポ身(体育に当たる「身体運動・健康科学実習」の通称)もオンラインで、カメラもマイクも切って1人でストレッチ。この現状をどうにかできないかと思っていました。寮に高校時代の友人がいたので少しは話す機会がありましたが、上京直後のホームシックが加速した感じですね。Aセメスターで対面授業が始まってからはクラスメイトと仲良くなれました。

 

多くの授業がオンライン実施だった2020年度は画面に向かう時間が平日の多くを占めた。パソコンの画面は東大の学務システム「UTAS」

 

大学生は「受け身」じゃNG

 

ーー一方、2年生の2人はどのような点に1年生の頃との違いを感じましたか

 

森永 黒田くんのスポ身の例で言うと、私はスポ身の後は毎回友人と食堂に行き、食事を取ってから次の授業に向かっていました。今思い出すと、休み時間の移動は大変でしたね……。

 

黒田 今の話を聞いていると「休み時間が10分で短い! 忙しい!」ということさえうらやましいです。

 

中野 僕たちにとっても過去の風景ですね。

 

友清 新型コロナ流行前は駒場に行けばほぼ毎回誰か知り合いに遭遇していたのですが、コロナ禍の駒場は2年生はほぼいないし、何も面白くなかったです。

 

黒田 正直、卒業までに新型コロナ流行前の形式の授業を受けられるかは分からないですよね。

 

ーーコロナ禍の大学生活では人と交流を持つのが難しいですよね。どのように人間関係を形成しましたか

 

黒田 対面の新歓イベントがなかったこともあり、Sセメスターにはサークルに入りませんでした。

 

中野 対面の新歓イベントがないというのはきついですね。多くのサークルがオンラインで新歓をしていましたが、対面イベントがないとどうしても情報格差が生まれてしまいます。

 

黒田 東大にはサークルがいくらでもあるので、どうやって見つけるかなんて分からなかったです。

 

松崎 私もSセメスターには交友関係が全然ありませんでした。対面での新歓活動がない分、サークルは自分から探さないとないので、Aセメスターに入ってから気になるサークルに連絡を取ってみました。対面授業も含め、Aセメスターで人と会って話すことで精神的に安定しましたね。

 

ーー最後に、自分の経験を踏まえ、新入生にアドバイスをお願いします

 

黒田 松崎さんも言う通り、コロナ禍では「自分から動かないと進まないこと」が明確になりました。是非、自分で情報を集めて積極的に動いてください。応援しています。

 

松崎 残念ですが新型コロナの流行は自分の力ではどうにもできないことです。一旦現状を受け入れ「今打てる最良の一手」に目を向けてみてください。サークルへの参加やオンラインで話す機会を設けるなど、自分から交友関係を広げる働き掛けをするのも良いです。

 

弓矢 趣味や家族との時間など、オンラインだからできることを楽しんでほしいです。コロナ禍前の大学生活は難しいかもしれないですが、自分がやりたいことを見つけて充実した日々を送ってください。

 

森永 大学で生まれる縁だけではなく、昔からの交友関係も大事にしてください。私も、この1年よく話したのは高校や1年生の頃の友達でした。

 

友清 コロナ禍にかかわらず大学生は受け身だと何もしない虚無な時間を過ごすことになります。コミュニティーに属するなど主体的に動いてみてください。

 

 

 

 座談会で話された通り、大学ではいかに主体的に情報を得るかが大切です。しかし、特にオンライン中心の状況では本人にはどうしようもない情報格差が生まれてしまうことも残念ながら事実。不安を抱えているのは自分一人だけではありません。勇気を出してクラスや気になったコミュニティーで一歩を踏み出してみてください。

 

 私たち東京大学新聞社は、そんな新入生の皆さんの味方として東大の構成員に有益な情報の発信に努めます。ぜひ、役に立つメディアとして東京大学新聞や東大新聞オンライン、SNSを活用してください。

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