インタビュー

2021年7月30日

【東大ワールドマップ】海外経験豊富な東大生にインタビュー②(ニュージーランド・韓国・台湾編)

 新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、留学をはじめとする国際交流の機会が激減した昨年。東大の中 にも、予定していた留学が中止になった学生や、逆に日本に滞在するのが難しくなった留学生もいただろう。現在、 徐々にその状況が変わりつつあるが、実際に日本を出るとどのような世界が広がっているのだろうか。海外での 滞在経験がある学生や海外にルーツを持つ学生に話を聞き「東大ワールドマップ」を作成した。今回はシリーズ第2回として、ニュージーランド・韓国・台湾編をお送りする。

(構成・松崎文香)

 

 

 

ニュージーランド🇳🇿 | 多国籍の価値観  認め合う環境

 

帰国直前、学校の友人と

 

戸澤 太陽(とざわ たいよう)さん・文Ⅰ2年

 

 小6から中3まで、親の教育方針でニュージーランドに滞在していました。現地の好きなところは「大ざっぱさ」。Intermediate school(日本の小6・中1に相当)は時間割がしっかりと定まっていなかったし、机もなくクッションに座って授業を受けていました。日本の部活動のようなものはなく、放課後は自分たちのやりたいことを主体的にやっていました。授業の進行速度は日本より遅く、教科書はクラス共用で問題集もありません。そのため定期テストもふわふわとした感じで臨んでいました。

 

 移住直後に学校で行った、自作の人力飛行機を飛ばす大会が印象に残っています。乗り手を務めたのですが、周りが「Taiyo!  Taiyo!」と名前を呼んで盛り上げてくれました。校長先生も保護者も巻き込んだ学校行事でしたが、日本では味わえないお祭りのような雰囲気で楽しかったです。

 

 ニュージーランドは移民が多く、クラスにも英国、中国、米国、タイなどさまざまな国籍の人がいましたが、それぞれの違いを認め合えていると感じました。日本から来た自分にもフランクに接してくれて親しみやすかったです。帰国後、周囲の会話が日本人だけの世界を前提としているように感じました。日本の学校はバックグラウンドの多様性に欠けていて、世界にはさまざまな価値観があるということを認識しづらいのだと思います。東大も国際的な制度や体制は充実していると思いますが、実感としてはニュージーランドにいた時の方が国際性を色濃く感じられました。

 

 将来は外務省で働きたいと思っています。ニュージーランドの生活では、言葉が伝わらなかったり、日本人らしくつつましくしていると孤独を感じたりと、つらいことも多かったです。このような外国でマイノリティーとして困っている日本人に対して、親しく寄り添える領事になりたいと考えています。

 

 

韓国🇰🇷・台湾🇹🇼 | 食文化を通じてルーツを発見

 

留学先の台湾の学校にて 

 

鄭 孝俊(チョン ヒョジュン)さん・人文社会系研究科博士3年

 

 私は祖父母が韓国出身のいわゆる「在日コリアン3世」です。岐阜県で生まれ育ち、周りの日本人と変わらない生活でしたが、キムチなど韓国の家庭料理を通じて自分のルーツを認識していました。昔、祖父母は朝鮮半島の伝統酒である「マッコリ」を手作りしていて、カビ臭いけど香ばしい発酵の香りは私の原体験です。

 

 早稲田大学に入学し、在日コリアンの友人ができてからは、一緒に言語を学んだりマッコリを飲みに行ったりと、自分のアイデンティティーをより意識するようになりました。卒業後はマスコミに就職したかったのですが、外国ルーツの人材を採用した前例がほぼなく、筆記試験を突破しても最終面接で不合格となる苦い経験をしました。結局就職浪人の道を選び、当時台頭しつつあった中国に注目して、26歳で台湾に語学留学しました。

 

 台湾に滞在中は、現地の中国文化大学の学生と日本・韓国・台湾の軍事力について勉強会をしたり、日本のテレビ番組を台湾に輸入しようと試みる同居人の積極性に刺激を受けたりと、充実した日々を送りました。日本に帰国した時は、台湾で感じた熱気と比べて「東京は成熟し切っていて落ち着いているな」と感じたのを覚えています。

 

 その後は無事、全国紙の記者として働き始めたのですが、大学時代にあまり勉強しなかったことに対する後悔がずっとありました。特に50代になってからは、深い知識のないまま人生が終わるのでないかという危機感が高まり、記者を続けながら大学院で再び学ぶことに決めました。

 

 現在は韓国朝鮮文化を専攻し、韓国のポピュラー文化とメディアの関係を研究しています。中国やベトナムなど、さまざまな言語を話し、多様な文化的背景を持つ学生とともに学ぶことが刺激になっていますね。修了後は東大で学んだことを生かして、専門ライターとしての活動を続けていくつもりです。

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