COLUMN 2018年11月9日

【地域の顔】b-lab  ”ナナメの関係”の大学生が作る、中高生の秘密基地

 「大学生が中高生と関わる活動」といえば、塾講師や家庭教師が思い浮かぶ。しかし、「先生」とは違う立場で中高生を支援する場所がある。本郷キャンパスから徒歩1分、文京区からの業務委託を受けNPO法人カタリバが運営する中高生の秘密基地「文京区青少年プラザ b–lab」だ。

 

b-labが入る文京区教育センター

 

 試験前の高校生が参考書を広げる隣で、別の生徒が好きな歌手について熱心に調べる。見守るのはb–labの職員と、生徒より少し年上の大学生。そんな不思議な空間のb–labは、中高生が安心して過ごせる場所を作るため2015年に開設された。放課後や休日に利用できる談話スペースの他、運動・バンド練習ができる場もあり1日約80人の中高生が訪れる。

 

 b–labの特徴は、中高生自身が主体となって運営や企画立案を行うことだ。中高生のやりたいことを詰め込む毎学期末の「フェス」や、ダンスイベント、読書会などが開催されている。イベントの一つ、「探究アソビ場」は中高生が自由に自分の趣味について調査・発表するもの。近年学校で盛んに行われる「探究学習」をより自由な形で行い、ロックバンドの髪型についての研究など多彩な発表で盛り上がったという。

 

b-lab内観

 

 2018年から館長を務める白田好彦さんは、b–labを「中高生の居場所であり、ステージ」と称する。b–labでは、親や先生のような「タテの関係」ではなく「ナナメの関係」となる大学生らを中心に、中高生が安心できる空間を作り上げる。さらに中高生が自己肯定感を得るきっかけとして、自分の「やりたい」を実現する舞台としても機能する。「青春の1ページをデザインする使命を持っているな、と思います」

 

 東大生も学生職員として活動に参加する。「どんな人にも居場所がある社会を目指したい」という馬場悠介さん(養・4年)は、8月からイベント運営などを担当。b–labは中高生の自己肯定感を高める場だが、馬場さん自身の助けにもなっているという。「中高生と友達になり、信頼されることがやりがいです」

 

b-lab館長の白田さん(右)、学生職員の馬場さん

 

 子どもの頃は不登校気味で家族関係にも苦しみ、居場所がなかったという馬場さん。さまざまな環境にいる中高生の話を聞く立場となった今、多くの東大生が学内の人としか交流しないことに危機感を持つ。「多様な背景を持つ人と交流し殻を破ってほしい」と、b–lab職員への応募を勧める。

 

 この場での大学生は、中高生の上に位置する「先生」ではない。b–labには、身近な「友達」として地域の中高生と、そして自分自身と向き合う大学生の姿があった。

 

b-labボランティア・スタッフ応募はこちら


この記事は、2018年10月30日号に掲載した記事の転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

ニュース:分別の意欲喚起が課題 食品容器「リ・リパック」の再生利用促進へ(東大のゴミ問題(上))
ニュース:硬式野球法大戦 新人が活躍も連敗 今季勝利挙げられず
ニュース:今季初の完封勝利 アメフト学芸大戦 次戦がヤマ場
ニュース:稲井被告が逮捕・起訴 かつてミスター東大候補に
ニュース:電力会社を介さない電力取引へ 工学系研究科など
ニュース:稷門賞 渋沢栄一のひ孫ら1個人・1団体へ
ニュース:高校生向けのサイト開設
ニュース:大沼保昭名誉教授が死去 専門は国際法
ニュース:卒業生「建物増え隔世の感」 17回目のホームカミングデイ
企画:謎の架空人物の書簡 正体と意義に迫る
企画:留年・降年の実態に迫る 怠惰の先に待つ落とし穴
推薦の素顔:内野澤安紀さん(文Ⅰ・1年→法学部)
地域の顔 本郷編:b-lab
研究室散歩:@基礎有機化学 内山真伸教授(薬学系研究科)
東大今昔物語:1991年11月12日発行号より 東大生の変化知る街
東大CINEMA:『プーと大人になった僕』 
キャンパスガイ:徳野鷹人さん(理Ⅰ・2年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

同じ記者の記事

関連記事

合わせて読みたい

NEWS 2016年12月21日

19日に本郷の化学西館で「電源コードから出火」 実験室一部焼けるも、けが人なし

NEWS 2018年05月26日

東大生協 中央食堂の絵画廃棄問題で専務理事の役員報酬を減額

INTERVIEW / FEATURE 2014年10月06日

時代をリードする東大生に、”本物”の和菓子を 「廚菓子くろぎ」

COLUMN 2016年10月29日

ロサンゼルスでドキュメンタリー制作 引率教員が見た学生の成長

NEWS 2016年09月13日

「医学系論文に不正」 東大が匿名の告発状2通を受理し予備調査を開始

TOPに戻る