学術ニュース

2019年6月26日

縄文晩期の人口減少をゲノム解析で証明 集団の形成過程の解明へ期待

 渡部裕介さん(理学系・博士3年)らは、縄文時代晩期から弥生時代にかけて日本で急激な人口減少が起きたことを、現代人のゲノムデータ解析で裏付けた。日本人をはじめ、さまざまな集団の形成過程の解明が期待される。成果は17日付の英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』(電子版)に掲載された。

 

 

(図)縄文人由来Y染色体を用いて推定した集団サイズの変化(渡部さんら発表の資料より転載)

 

 縄文〜弥生時代の人口の急激な増減は、発見された遺跡の数や規模から推定されていた。しかし、人口が少ないために元々遺跡が存在しないのか、単に遺跡を発見できていないのかを判断することは難しかった。

 

 本研究は、現代の男性の性染色体であるY染色体に着目。日本人男性345人のY染色体を解析し、系統別に分類した。結果、他の東アジア人集団ではまれな「系統1」が、日本人では35%の頻度で発見された。

 

 系統1Y染色体は、縄文人と近縁とされるアイヌ人のうち80%以上で見られるゲノムと同様の変異を持つことも判明。縄文人由来の染色体だと考えられる。系統1に含まれる122人分のY染色体を解析し、共通祖先をたどると、系図から縄文時代晩期の人口急減と弥生時代の人口急増が裏付けられた。Y染色体の解析では男性の人口変化しか解明できないが、男性の数のみが変化したとは考えにくいため、女性の数も同様に変化したと推測される。

 


この記事は6月25日号からの転載です。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

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