INTERVIEW / FEATURE 2014年10月6日

時代をリードする東大生に、”本物”の和菓子を 「廚菓子くろぎ」

今年5月、封鎖されていた春日門の隣に、情報学環教育研究棟「ダイワユビキタス学術研究館」が新たに設立された。その1階に設置されたのが和菓子屋「廚菓子くろぎ」である。

「くろぎ」は元々、湯島にある和食屋。その和食屋のオーナーシェフ、黒木純氏のご意向により、今回初めて和菓子の専門店を東大構内につくることになった。

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現在の和菓子には、和食の陰に隠れてしまっているという苦しい現状がある。無形文化遺産に和食が登録され、世界中で注目を浴びる一方で、和菓子職人はそこに埋もれた形になりがちだ。また、フランス菓子の職人であるパティシエが脚光を浴びる一方で、和菓子は若者に食べられなくなってしまっている。

そうした中で日本が誇れる和菓子文化をもっと発展させていきたい、という思いを持っていたくろぎに舞い込んできたのが、ダイワユビキタス学術研究館の設計を行った隈研吾先生からのご提案だった。元々和のテイストを大切にしている隈氏の作り出す空間にふさわしい、と和菓子屋を入れることに決定した。

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和菓子の魅力は、何と言ってもその季節感だろう。オープン当初は、それぞれの季節に合った練り切りが、およそ2週間に一度のペースで入れ替えられていた。現在はメニューの見直しを計り、お客様にもっと満足して帰ってもらえるような季節のお菓子を検討中とのことである。とはいえお持ち帰りのお菓子として、秋の季節に合わせたおはぎが今は用意されている。ここにも何度来ても飽きさせない和菓子屋ならではのおもてなしが感じられる。

廚菓子くろぎが作る和菓子の最大のこだわりは、「ライブ感」。あんころもち、わらびもち、水ようかん等は全て当日朝6時頃から作られたもの。出来立てのわらびもちは、特に女性に人気の商品だ。コンビニ等で手に入るビジネス化した和菓子にしか触れていない若者達に、できたて・ライブの和菓子の本当の美味しさを伝えたい。そう店頭スタッフは語ってくれた。

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また、廚菓子くろぎの和菓子の特徴として、出された時の華やかさが挙げられる。大きな籠のような入れ物に、季節の花を添え、懐石料理を出された時のような、出てきた瞬間にわっと声をあげたくなるような装飾が目を引く。一般的に和菓子文化では和食と違って器の装飾が発展しなかった。和菓子自体の装飾は季節感を存分に発揮した美しいものだが、それに加えて器での表現はあまりしないのが一般的だ。そこをあえて和食屋がやっている和菓子として、器の装飾に力を入れている。

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もう一つの大きな特徴は、お菓子に添えられたコーヒーである。一般的には抹茶が添えられる和菓子に、コーヒーを添えるという珍しいスタイルだ。コーヒーにも強いこだわりがあり、恵比寿に本店を構える猿田彦珈琲のバリスタが淹れるコーヒーは、少し酸味があり不思議と和菓子の魅力を惹きたてている。

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最後に東大生へのメッセージをお聞きしたところ、伝えたい強い思いを語ってくれた。

東大生と店頭で接していて感じるのは、その「育ちの良さ」だと言う。一般の若い人よりも、和菓子や茶道、書道などの日本文化に触れてきた学生が多く、和菓子自体に興味を持ってくれる。だからこそ、今まで和菓子という文化に触れてきたことを自覚してもらいたい。そして、日本をリードし羽ばたいていく東大生に和菓子というものを知ってもらいたい。

お店に来てくれた大学院生に直接その思いを語ったこともあるそうだ。春から官僚として働くという彼に、和菓子の文化を知り日本の文化を知ってこそ仕事ができる、そしてこの大切な文化を是非守っていって欲しいと力説したのだとか。

日本一と言われる大学に日本一の建物があり、その場所に「廚菓子くろぎ」がある。
「東大に入れて頂いたということに強く感謝をしております。だからこそ自分達に出来ることをやろう、と強い使命感を持って和菓子作りをしています。」

紅葉も始まるこの季節。「廚菓子くろぎ」の和菓子で秋を感じてみるのも、新たな本郷キャンパスの楽しみ方かも知れない。

(文責 兼子春菜)

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