教養

2022年1月13日

個性豊かな本郷周辺の寺社を紹介! 地域の信仰集め今日まで続く②

 

 新年を迎え、寺社に初詣をして今年の決意を新たにした読者もいるだろう。共通テストを控え、必勝祈願で参拝した受験生もいるかもしれない。文京区の本郷キャンパス周辺には、古くから信仰を集めてきた寺社が複数ある。区の歴史や文化財を伝える文京ふるさと歴史館に寺社について聞くとともに、四つの寺社に来歴や東大や地域との関わりについて取材した。この機会に、本郷周辺の寺社巡りをしてみてはいかがだろうか。今回は湯島天満宮と根津神社。(取材・佐竹真由子、井田千裕)

 

湯島天満宮 〜地域住民の憩いの場所に〜 

 

取材協力:権禰宜・渡辺直(わたなべ・ただし)さん

創建:458年

赤門から徒歩約10分

 

 

 学業成就で有名な湯島天満宮は、かつて花街として栄えた湯島の街中にある。近隣には上野公園や岩崎弥太郎が住んだ旧岩崎邸があり、歴史が感じられる地域だ。

 

 湯島天満宮は458 年、雄略天皇の勅命により天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)を祭ったことに由来する。天之手力雄命は日本神話の「天岩戸(あめのいわと)」において岩戸を開いたことで知られ、開運、力の神様として信仰されている。学問の神様として知られる菅原道真公を祭り始めたのは1355年。道真公は優秀な学者・政治家だったが成功への嫉妬から排斥され、当時全国に多く祭られていた。湯島の社へも合祀(ごうし)したいという要望があり、道真公は天之手力雄命と共に二柱の御祭神となった。受験生が多く参拝するようになったのは、受験への熱心な取り組みが顕著になった昭和後期からだという。江戸時代には昌平坂学問所、明治時代には日本最古の小学校の一つである湯島小学校や東大など、近隣に教育施設が多く設立され、一帯が文教の中心地となったことが強く影響している。

 

初詣でにぎわう湯島天満宮

 

 湯島天満宮は文京区湯島の全域、本郷一丁目の一部と三丁目の氏神として地域住⺠に大切にされている。第二次世界大戦後、荒廃した境内に地域住⺠が梅を植えて整備したという。現在でも毎年5月25日の例大祭では氏子が協力して神輿(みこし)を出すほか、湯島天神梅まつりなどの行事で地域住⺠との交流は盛んだ。梅まつりには東大まんがくらぶが毎年出店するなど、東大生との交流も深い。

 

 「学業成就のみならず開運にもご利益があり、日々皆様をお守りしている神社です。受験前はもちろんですが、合格してからは受験期を思い出しながら、切実なお祈りの場としてのみならず、くつろげる場所としてぜひ足を運んでください」と渡辺さんは語った。

 

根津神社 〜文豪も愛した古社でつつじに酔いしれて〜

 

取材協力:根津神社宮司・内海一紀(うつみ・かずのり)さん

創建:不明(約1900年前)、現在の社殿は1706年

赤門から徒歩約15分

 

 

 弥生キャンパスのほど近く、閑静な住宅街の中に根津神社はある。

 

 伝承によると、ヤマトタケルが東北遠征の際に千駄木の地に立ち寄ったことが根津神社の始まりだという。太田道灌(どうかん)がその地に社殿を建てたのが文書に残る最古の記録だ。現代の社殿は1706年に江戸幕府五代将軍徳川綱吉が、後継ぎの家宣が生まれた下屋敷の跡地に建てたもので、境内には現在も家宣が産まれた際の後産(胎盤)を埋めた胞衣塚(えなづか)や、家宣の産湯をくんだ井戸が残る。古くから地域の人たちの信仰を集めてきた氏神様だが、こうして赤坂の日枝(ひえ)神社と並ぶ大規模な社殿が造営された。根津神社の例大祭は江戸時代日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭と並び江戸三大祭に数えられた。明治時代には森鷗外など東大ゆかりの文豪に愛された。境内には鷗外が奉納した日露戦争の戦利砲弾の台座が残る。また、鷗外の小説『青年』には境内に隣接する新坂が登場し、作中での表現にちなんで「S坂」とも呼ばれ、地域住⺠に親しまれている。

 

鷗外碑銘水。元は鷗外が奉納した戦利砲弾の台座

 

 根津神社の最大の見どころはつつじ苑だ。家宣の先代がつつじを植えたことに始まり、現在まで地域の人たちがつつじの奉納や手入れを続け、今では100種以上のつつじが植わる。毎年4月に一般公開され、咲き競うつつじを堪能できる。

 

 東大の野球部の応援に使う太鼓がかつて根津神社から借りられたりと、根津神社と東大とのつながりは深かった。「大学地の鎮守社なので、東大関係者の方や受験生にも気軽に立ち寄ってほしい」と内海さんは願う。

 

個性豊かな本郷周辺の寺社を紹介! 地域の信仰集め今日まで続く①

個性豊かな本郷周辺の寺社を紹介! 地域の信仰集め今日まで続く③

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