INTERVIEW / FEATURE 2014年9月3日

2016卒就活は「リクナビ以前」の時代に戻る第一歩 キャリアセンタースタッフに聞く

「2016卒の就職活動は、リクナビ登場以前の時代の就職活動に戻る第一歩になるのではないか」そう語るのは、見舘好隆准教授(北九州市立大学キャリアセンター)。就活解禁時期が先送りされ、説明会は3カ月、選考活動は4カ月、現行より遅れて始まる2016卒就活。

紙面でも「就活先送り」の問題を取り上げたが、この変更は、企業・大学・学生にどのような影響を与えるのか?キャリア支援のプロに、これからの「就活」について話を聞いた。その内容を、2回にわたりお届けする。

※前編はこちら

1024px-Company_Information_Session_in_Japan_001.jpg(Flickr Kennosuke Yamaguchiより)

−−−それでは、学生はこれからの就活に向けて、どのような準備をすればよいのでしょうか?

まず、採用活動の「アンダーグラウンド化」とは、リクナビやマイナビを用いない、意欲的な学生の「名簿集め」と認識しておくといいでしょう。今後、企業はおおよそ5つのルートから、名簿集めを行っていくはずです。

  1. インターンシップ
  2. アルバイト
  3. リクルーター
  4. ベンチャー企業による就活イベント
  5. 大学公式の業界研究会

ただし5では、大学から学生の参加リストを渡すことはできないので、インターンシップの紹介が主になります。

特に今年は、秋冬にかけて実施されるインターンシップが増加するでしょう。インターンシップと言っても、インターンシップという名を借りた会社説明会です。「One dayインターンシップ」のような、1日限定イベントですね。本来、「インターンシップ=就業体験」なので、説明するだけというのはおかしいのですけれど(笑)。でも、「インターンシップ」という名称で行えば、倫理憲章に抵触しません。

−−−就活がマルチルート化していくのですね。

今までの就活はリクルートなど就職情報サイトを運営する企業が作り上げた広告ビジネスモデルに、学生も企業も乗っかっていたのです。結局、ほとんどの学生は、リクナビがオープンするのを待っていて、主体的にインターンシップに参加する学生はごく一部だった。

それが、就活が先送りになったおかげで、「自分で考えて、自分で行動して、企業を選ぶ」という、本来の就職活動のスタイルに戻るきっかけになるのではないかと思います。

−−−かつての就活のスタイルとはどのようなものだったのでしょうか?

私が就職活動をした時は、もちろんインターネットなんてありませんでした。どうやって就活していたか、想像できますか?

  1. 就職支援室の資料を見る
  2. リクルートブックを見る
  3. 自分から、商品のカタログなどに載っている電話番号や、104(電話番号案内)で調べる

この3つくらいしか選択肢がありませんでした。2番目のリクルートブックは、リクルートが出していた情報誌ですね。ただ、リクナビと違って本なので、せいぜい100や200しか企業が載っていない。結局、自分で電話することが多かったです。

「はじめまして。私、関西大学文学部4年の見舘と申します。採用担当の方いらっしゃいますか。御社に興味があるのですが、会社説明会のご予定を教えていただけませんか?」

大きな流れとしては、この時代に戻ることになると思います。つまり、自分が興味ある会社に電話したりメールしたり、直接アプローチする形ですね。

−−−結局、今回の「就活先送り」はどうなってしまうのでしょう?

法的な規制や罰則が無い以上、結果的に破綻するのではないかと思います。

おそらく来年か再来年に、多くの企業が3月1日以前にアンダーグラウンドに選考を始めてしまって、「実質を伴わないから、もう辞めよう」となる気がします。企業・大学・学生とも混乱するだけだからと。

結局、学生は自分で人脈を作っていくしかないと思います。今までは、就活情報をまとめたカタログが用意されていました。このカタログがなくなったと考えれば分かりやすいでしょう。そもそも、人生の大きな部分を占める決断を、リクルートなど固有の企業のビジネスに乗っかっていたこと自体がおかしいのです。

−−−主体的に企業探しをしていくべき、ということですね。

今、就活をしているみなさんに言いたいのは、「自分で電話しろ!」ということです。企業にしてみれば、どれだけ東大生にアプローチしたくても、名簿が無い以上アプローチできないのです。自分から電話して「インターンやりたいです!」「御社に興味あります!」と熱意を示せば、かなりの確率でアンダーグラウンドコースに乗れるはずです。

ポイントは、メールでなく電話することです。メールだと、テンプレ感が出てしまい、真剣味が伝わらない。あえて、デジタルからアナログへ戻るべきです。企業側にしても、WEBやメールでは書けないことでも電話なら話せます。「じゃあ今度一緒にお茶でもしながらお話しましょうか?」という流れに持ち込みましょう。今年は特に多くの学生が先輩のやり方に影響されてまだ受動的だと思いますので、能動的に動けば動くほどチャンスが大きくなると思います。

−−−他に気をつけておくべきことはありますか?

あとは、内定した学生を見つけて、コミュニケーションを取ることが有効です。「先輩の内定した会社に興味があるので、何かあったら呼んでください!」と伝え、実際にアプローチが来た例を既に聞いています。リクルーター採用を用いることが多い金融系企業は、特にチャンスが多いはずです。

−−−最後に、今の学部1・2年生の就活はどうなるのでしょう?

将来、経団連の倫理憲章が無くなる日が来るかもしれません。そう考えると、1年生から準備をしたほうがいいでしょう。インターンシップは1年生から参加できます。学業に影響を与えない長期休暇に、就職を意識するというより、今の学びと将来がどう繋がるか考えるきっかけとして、また人脈づくりとして、インターンすることをオススメします。特に社会人との対話が、皆さんの将来を考える上で最も役立つと思います。

そもそも新卒採用が東アジア特有のものです。これからは、欧米のように、在学中、もしくは卒業後のインターンシップを経て、就職していく流れになるかもしれません。

(取材・文 オンライン編集部 荒川拓)

見舘写真.jpg見舘好隆准教授(みたて・よしたか)

北九州市立大学・キャリアセンター所属、地域創生学群専任。

授業はキャリア教育を担当。実務としてはキャリア支援を担当。研究領域は、若年者のキャリア形成支援。初年次教育やキャリア教育、企業内教育など。近年はPBL(Project-Based Learning)やサービスラーニング、産官学連携教育など、大学での学びとキャリアとの接続を中心に研究。

関西大学卒業後、旅行会社(人事)やインターネットプロバイダ(プロデューサー)など民間企業2社に15年 間勤務。その後、首都大学東京キャリアカウンセラー(3年)、一橋大学大学院社会学研究科特任講師(1年)を経て、現職。

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