COLUMN 2018年4月30日

【日本というキャンパスで】劉妍① 同じ琵琶でも中身は違う

 記者は中国の大学を卒業し、東大大学院に入って今年で3年目。現在は博士課程2年だ。留学前は、日本の情報は教科書のように他人の解釈が入る方法に頼っていたが、実際に自分の目で見ることで、何か新たな発見につながるのではと思い留学に踏み切った。

 

 記者が趣味である琵琶の演奏を始めたのは、小学校3年生の時だ。それ以来、指の使い方が何十種類もあり、民族楽器の中で最も難しい楽器とされている琵琶の演奏を継続。芸術等級評価試験の上級であるA級が取れるまで精進してきた。日本でも琵琶を続けたいと思い、来日後すぐに琵琶を購入。しかし来日してからずっと講義や試験、論文執筆、学会発表で忙しかったため、琵琶の演奏を披露する機会はなかった。

 

 2017年11月、農学部の「弥生インターナショナルデイ(弥生デイ)」に参加することで、ようやく琵琶の演奏を大勢の前で披露することができた。「弥生デイ」は農学部と農学生命科学研究科に所属する日本人学生・留学生・研究員の文化交流促進のため、07年から毎年開催されている恒例の国際文化交流行事だ。約10のグループや個人が、自国の文化や生活習慣を楽器演奏や踊り、スライドで紹介。11年間で総計数十カ国の約2600人が参加している。発表の冒頭では、英語で中国の伝統文化・名所旧跡・美食等を紹介。次にソロで『琵琶語』という曲を披露した。発表を通して、ある国の人にとって当たり前のことでも、他国の人にとっては違うことが分かった。例えば、琵琶は中国で非常に人気のある民族楽器だが、日本には琵琶の存在自体知らない人も数多くいた。

 

弥生デイで琵琶の演奏を披露した

 

 また、来日してから初めて気付いたのは、琵琶の構造や演奏技法が日中でかなり違うことだ。2千年以上の歴史を持つ中国琵琶は30個のフレットで西洋の音階に対応できるため、独奏楽器として流行している。右手の指全てに爪を付け音を出す。一方、日本琵琶はほとんど合奏楽器として使われる。撥(ばち)で弾かれ、「語り」を付けるのが特徴だ。

 

 「弥生デイ」を通し、草の根レベルの文化交流はやはり重要だと考えた。グローバル化が進む中、世界各国の文化や最新の動向を常に意識すると物事への多角的かつ客観的な判断につながり、グローバルな視野の形成に有益だろう。

 

弥生デイにはさまざまな国からの留学生らが集まった

 

 

  本企画は中国人留学生の記者が、日本での留学体験を記す連載です。

 


この記事は、2018年4月24日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

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日本というキャンパスで:劉妍(農学生命科学・博士2年)①
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