COLUMN 2018年9月11日

【日本というキャンパスで】劉妍④ 日中の学校生活の違いを見る

 2018年6月28日に、台東区立忍岡小学校の吉藤玲子校長のご厚意で、各学年の保護者49人を対象に校長と一緒に講演を行った。テーマは「多様性のなかの子育てー個性を伸ばす子育て」。この講演は台東区と忍岡小学校PTAが連携して実施する「家庭教育学級」という事業の一環で、保護者との意見交換や質疑応答も実施した。創立143周年の忍岡小学校は「グローバル化する国際社会を生き抜く子供」を育てるべく、「伝統・文化」や「国際理解」に関する教育に力を入れている。

 

吉藤校長と記者による講演会

 

 まず、吉藤校長が自らの子育て経験について話し、次に記者は留学生の視点から見る日本と中国の教育上の相違点を語った。記者にとって一番印象的なのは、中国では日本と異なり給食制度がほとんどないことだ。中国の場合、昼休みの時間は約2時間半ある。そのため、家に近い児童は帰宅し、他の児童は学校の近くで昼食と昼寝の場所を有料で提供する家庭などに通う。講演の日は校長のご招待に甘え、忍岡小学校で初めての給食を体験した。児童は給食を用意する過程で、奉仕精神やチーム力の重要性、いつも食事を用意してくれる両親のありがたさや、他人への感謝の気持ちが無意識に分かってくるのだろうと感じた。

 

 中国にももちろん共同活動はある。クラスでの掃除や運動会のリレーなどがその例だが、本格的に他者と共同で行動する仕組みは大学の寮生活だ。通常4~8人の同級生と一緒に生活する。2段ベッドという限られた空間に置かれ、他人のライフスタイルに合わせる必要がある寮生活。一人っ子で1人部屋で暮らしてきた記者にとって、慣れるまでかなり時間がかかった。4年間の共同生活は、生活習慣や価値観などが異なる仲間と送ってきた。円満な人間関係を構築するには、他人への適切な配慮や、柔軟な考えを持ち他人と相談する姿勢が必要だろう。

 

琴の稽古を児童たちと一緒に

 

 講演では、外国人と積極的に交流することの大切さも語った。積極的な交流を始めると、相手と流ちょうに交流できるよう、語学について常に語彙量・多分野の基礎知識の蓄積を意識するようになる。異文化交流の過程はまさに自らの語学学習効果の検証手段であり、語学に長期的に興味を持つことの原動力にもなるはずだ。他国の人と交流して初めて、自国・他国の善しあしが分かり、お互いのことについてもより知りたくなる。さらに、自国の情報をいかに他人に客観的に伝えるのかを念頭に入れるうち、思考力・判断力・表現力が自然に高まるだろう。同時に、物事への見方の変化・論理的な思考にも有益ではないか。

 

 講演では、保護者は子供の好きな事を観察し、得意なものを伸ばすための環境整備を行う必要があると考える。「十人十色」「好きこそものの上手なれ」とあるように、子供の興味のある分野に取り組む自発性を育むべきだと語った。

 

 今回の講演をきっかけに、保護者には異文化交流に関心を寄せてもらえばと思う。一方、記者も日中の教育上での相違点も意識する貴重な機会だった。

 

【関連記事】

【日本というキャンパスで】劉妍① 同じ琵琶でも中身は違う

【日本というキャンパスで】劉妍② 区の行政文書に留学生の視点

【日本というキャンパスで】劉妍③ 異文化の壁を乗り越えて

 


この記事は、2018年9月4日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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日本というキャンパスで:劉妍(農学生命科学・博士2年)④

研究室散歩@批判哲学:ブレガム・ダルグリーシュ准教授(総合文化研究科)

取材こぼれ話:ブレガム・ダルグリーシュ准教授

東大CINEMA:ペンギン・ハイウェイ

キャンパスガール:三村有希さん(文Ⅱ・2年)

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