COLUMN 2018年9月25日

新しい「オフライン就活」の場 知るカフェ東京大学前店

 学生がお得に利用できるスポットの一つが学生向けフリースペース。インターネット環境やコンセント、無料のドリンクなど、学生には魅力的な存在だ。東大では、本郷キャンパス周辺にも数カ所が進出。中でも、厳選された豆を店内でひいて作るというコーヒーやシックな内装など、あくまで「カフェ」として存在感を放つのが、知るカフェだ。

 

勉強などに合ったシックな内装(写真はすべて知るカフェ提供)

 

企業とつながる「カフェ」

 学生向けフリースペースの仕組みはこうだ。スポンサー企業がスペースの運営資金を負担し、各企業はスペースで学生向けの就職説明会や担当者との交流会を実施する。知るカフェのスポンサー企業はここ数年で数十倍に拡大し、現在では100社を優に超えるという。東京大学前店店長代理の穀本伸さん(法・3年)は「興味のなかった企業のイベントに参加したのをきっかけに実際に就職した学生がいるなど、交流会は学生の将来を大きく変える可能性も秘めている」と話す。10〜12月のピーク期には月に数十社が開くという企業担当者との交流会は私服かつ毎回4〜5人という少人数で行われ、一般的な就職活動とは違って「素で話せる」環境なのがポイントだ。

 

 企業イベントが盛んに行われている場とはいえ、知るカフェは「意識が高い」場所ではない。「あくまでカフェ」と言うように、一度会員登録を済ませれば、2回目からは来店時に携帯で表示したQRコードでの認証と学生証の提示だけで簡単に利用できる。東京大学前店には1日100人以上が訪れるといい、ほとんどが空きコマの時間潰しや勉強、友人との雑談など生活の中で自然に訪れている。運営側も「カフェとして利用しているうちに自然と企業や就職について詳しくなれる場所が理想です」(穀本さん)と話すように、あくまで「カフェ」としてのブランディングを目指す。

 

企業担当者との交流会。少人数で「素が出せる」。

 

理想は「オフライン就活」の場

 知るカフェの店舗の運営は全て学生が行っており、東京大学前店で働くスタッフは全員東大生だ。現在は京大・慶應・早稲田などの周辺に全国16店舗を展開しているほか、インドやアメリカにも進出している。

 

 知るカフェの誕生は株式会社エンリッション社長、柿本優祐氏自らの体験に由来する。柿本氏は大学時代、低学年の頃から多種多様な企業に勤める社会人と交流することが多かった。様々なバックグラウンドを持つ社会人たちの話を聞いているうちに、就活時期を迎えるころには自らの就職に対する明確なビジョンが自然と身についていたという。しかし周りの同級生はそのビジョンがあいまいなまま、就活サイトを使って大量にエントリーを行う「オンライン就活」に陥ってしまっていた。そこで、学生が企業担当者との交流によって自然とキャリア観を育むことのできる「オフライン就活」の場として、知るカフェを作ることを決意したという。

 

店舗の運営も学生が行う。

 

企業を「知る」新たな取り組みも

 現在知るカフェでは、SHIRUWORKと題する店内での1日インターンシップを展開中。このイベントは、実際に企業担当者を招いたディスカッションなどを通じて、企業や就職に対する理解を深めるものだ。まだ始まったばかりだが、今後さまざまな企業の協力を得て継続的に実施する予定だという。

 

 「オフライン就活」の場として存在感を見せる知るカフェ。就活に対する漠然とした不安や戸惑いを持つ人も、まずは空き時間に知るカフェを訪れてコーヒーを1杯飲むところから始めてみたい。

 

 

(取材・衛藤健)

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