COLUMN 2018年8月7日

【推薦の素顔】長原颯大さん 武器は積極性と好奇心

 2016年度から、多様な人材の獲得を目的として導入された「推薦入試」。ペーパーテストが主な評価対象となる一般入試とは異なり、小論文や面接などが課されており、毎年個性的な学生が推薦入試を利用して入学します。そんな彼らを一人一人取材するのが本連載「推薦の素顔」。東大に新たな風を吹き込む彼らに、あなたも触れてみませんか。

長原 颯大(ながはら・そうた)さん
理Ⅰ・2年→工学部

 

 画家である祖父の家にあったカラフルな絵を見て、色素に興味を持った長原さん。高校では化学部の部長を務める傍ら、九州大学の教授から支援を受けつつ色素の退色に関する実験を重ねた。

 

 化学部では、万能指示薬を吸着する水酸化鉛の性質を発見した。当初は顧問や他の部員にすら相手にされなかったものの「応用し社会に還元する道筋を示して」発見の重要性を力説し、全国高等学校総合文化祭(総文)に出場。独創性が評価され、全国5位となる奨励賞に輝いた。

 

 長原さんの武器は、積極性と旺盛な好奇心だ。「理系の話は将来いくらでも聞けるので」文系分野にも関心を広げ、グループで課題研究を行う総合学習では、文の長さや語数などをデータ化し文書の癖を見つける計量文献学の研究を主導。行事や旅行の実行委員も「面白かったらやろう」と積極的に務め、高3の10月には受験勉強中にもかかわらずノーベル賞受賞者の講演を聞きに上京した。

 

 劣化したコンクリートを見てその原因を分析するなど「暇さえあればものを考えている」という好奇心は推薦入試でも生きた。対話形式の面接では総文の最優秀賞受賞研究を聞かれ、「いろいろ発表を聞きに行って質問攻めしていた」ため辛うじて思い出せたという。事前に提出した小論文の内容に関連し、カラー印刷の開始時期を聞かれた時も答えに詰まったが、調べていなかったと正直に答えたら面接官に「僕も分からない」と返された一幕も。

 

 面接をくぐり抜け合格した後は、生物系など「他の理Ⅰ生が敬遠しがちな」分野の授業を意欲的に受講。中でも強く興味を引かれた授業があると、自ら教員に連絡し研究室を訪れた。工学部では、カラー印刷の紙を効率良くリサイクルするため触媒を用いて色素を消す方法を研究したいという。色素から縦横無尽に広がる長原さんの好奇心が、社会に還元される日も近い。

 

(取材・撮影 一柳里樹)


この記事は、2017年6月27日号に掲載した記事を再編集したものです。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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