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2017年12月30日

【東大の2017年⑥】分生研5論文で不正を認定 捏造・改ざんの常態化に指摘

 女子学生向けの家賃支援が新設され総合図書館新館が開館するなど、大きな変化が見られた東大の2017年。論文不正や総合図書館耐震工事に伴う利用制限など、16年に顕在化した問題の清算に追われた年でもあった。東大の今年1年を全6回にわたって振り返る。

 

分生研5論文で不正を認定

 

 東大は8月1日、渡邊嘉典教授(分子細胞生物学研究所)らが『ネイチャー』や『サイエンス』など国際的な科学誌に2008~15年に発表した5本の論文について、渡邊教授と元助教の丹野悠司氏によるデータ計6件の捏造と計10件の改ざんを認定した。報告は、渡邊教授の強い指導の下で不適切な画像加工が常態化していたと指摘。筆頭著者の丹野氏については「誤った教育・指導による犠牲者の側面も有する」とした。

 

 14年にも研究不正が認定されている分生研は今回の件を受け、再発防止策として、不正対策組織の体制を強化し、新たに第三者的立場からの実験データのチェックなどを実施。著名な国内外の研究者から成る外部委員会も設置し、外部の意見を適切に反映する。

 

 医学系研究科の5教授の論文についても不正疑惑が指摘されていたが、不正行為はなかったと報告された。告発状が指摘する不適切な画像の加工などは確認されたが、いずれも実験は実施されており、作図者によるソフトウェアの操作ミスや出版社による編集などが原因で捏造・改ざんではないと判断した。

 

 告発状は16年8、9月に受理され、予備調査を経て9月20日に本調査開始が決定。調査期間は原則150日以内と設定されていたが、過去の不正行為の認定を踏まえた慎重な判断が求められたため、3月12日から5月31日に期限を延長した。東大は16年10月13日にも別の論文の捏造・改ざんを指摘する告発状を受理。本調査を開始しているが17年12月15日現在調査結果は公表されていない。

 

【東大の2017年】

合格者番号掲示が復活 本郷に受験生の歓声あふれる

女子学生家賃支援が開始 効果には疑問の声も

総合図書館耐震改修工事 代替措置を実施、サービスほぼ維持

2年目の進学選択 再び変更相次ぐ

総合図書館新館オープン 議論に資料保管に

分生研5論文で不正を認定 捏造・改ざんの常態化に指摘


この記事は、2017年12月19日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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