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2019年11月25日

アメフト リーグ戦第7戦で日体大を下す 今季初勝利でTOP8残留決定

 アメリカンフットボール部(関東学生1部リーグ上位TOP8)は11月24日、リーグ戦第7戦を日本体育大学と横浜スタジアムで戦い、16-3で勝利した。東大は今季、関東学生1部リーグ下位BIG8からTOP8に初昇格しており、これがTOP8で初めての勝利。今季を6位で終え、来季のTOP8残留が決まった。

 

東 大|7306|16
日体大|0030|3

 

樋山選手は気迫のランで2度のTDを決める活躍を見せた(撮影・中野快紀)

 

 試合開始からお互い敵陣に攻め込めない時間が続く中、均衡を破ったのは東大だった。第1クオーター(Q)中盤、ランニングバック(RB=ボールを持って走ることで陣地を広げる)樋山大郎選手(工・4年)のランがさえわたり、2連続で攻撃権を更新。勢いに乗って一気に敵陣に突入すると、以降も樋山選手らが相手の包囲網をかいくぐり、タッチダウン(TD)まで残り9ヤードに迫る。東大はここで早くもタイムアウトを要求し、確実に得点する構え。するとタイムアウト明け最初のプレー、クオーターバック(QB=攻撃の司令塔で、味方選手にボールをパスするなどして攻撃の起点をつくる)伊藤宏一郎選手(文・4年)の素早いパスを受けた樋山選手が、しぶとく相手をかわし先制のTDを決める。

 

先制のTDを決め、雄叫びをあげる樋山選手(撮影・中野快紀)

 

 「相手は(距離を一気に稼ぎ得る)パスが得意なチームではないので、こちらがリードする時間帯を長くすることで、試合を優位に進めようとした」(森清之ヘッドコーチ)。東大は第2Qにも4th down ギャンブル(通常4回与えられる攻撃権のうち4回目で、陣地回復ではなく攻撃権更新を狙うこと)を仕掛けるなど、勝つために最善を尽くす姿勢を見せる。結局このギャンブルは失敗、以降も攻撃陣はミスや反則を立て続けに犯すが、前半終了間際にはフィールドゴール(FG)で3点を追加。守備陣は相手の反則もあり、一度も攻撃権を更新させずに前半を終える。

 

 後半に入ると一転、東大はピンチに。フィールド中央をすり抜ける相手RBの勢いを止められず、ずるずると自陣19ヤード地点まで追いつめられる。しかし中央の守りを固めるとともに本多孝全選手(工・4年)や助川左門選手(法・3年)のタックルが決まり、FGの3点でしのぐことに成功する。

 

 第4Q開始直後にはインターセプトを食らうも、再び相手RBの動きを封じることに成功。すると約4分後、お返しとばかりに助川選手が相手のロングパスをインターセプトする。ここで再び樋山選手がランでチームを勢いづけ、最後も相手選手を飛び越えるかのような巧みなステップでTD。トライフォーポイント(TD後に1回のみ与えられる攻撃権)のFGは弾かれたものの、逸機が目立った今季の悔しさを拭い去るかのように、しっかりとチャンスを得点につなげる。

 

 得点直後には自陣21ヤード地点まで攻め込まれるも、長めのパスを狙う相手にうまく対応し、無失点で切り抜ける。最後はニーダウン(故意にプレーを終了させること)で時間を消費。試合終了の笛が鳴るのと同時に、グラウンドでは歓喜の声が上がり、スタンドでは多くの観客が立ち上がって奮闘に応えた。試合開始直前まで雨が降っていた横浜スタジアムには、曇天の切れ間からライトブルーの青空が見え隠れしていた。

 

 

 

 TOP8の1~6位のチームは、来季もTOP8に残留可能。TOP8の8位とBIG8の1位、TOP8の7位とBIG8の2位が、それぞれ昇格・降格をかけた入れ替え戦(チャレンジマッチ)に臨む。今季はTOP8の慶應義塾大学が無期限活動休止を発表したことにより、TOP8の最下位として扱われ、来季はBIG8に自動降格することが決まっていた(BIG8の首位となった日本大学は来季TOP8に自動昇格)。東大と日体大は今季ここまで、不戦勝扱いの慶大戦を除けば共に全敗で6・7位を争っていたが、東大は日体大に勝ったことで6位が確定し、TOP8残留を決めた。

 

 

◇森清之ヘッドコーチの話

 

──今日の試合の率直な感想を
 半分、いや、3分の1はホッとしている。3分の1は優勝に絡めなかった悔しさ。残りの3分の1は、4年生がいいプレーをしてくれたこと。さすがだと思う。

 

──今季を振り返って、一番の収穫は
 目標を残留ではなく優勝に据えたことで、TOP8のレベル感をフルに味わえたことが、中長期的に見ても財産になった。正直、他のチームほど選手層が厚くはない中で、けが人が続出しないか、戦い抜けるかどうか不安な部分もあった。でも、結果的にはほとんど初戦と同じメンバーで戦えたので良かった。もちろん、今年の選手たちのポテンシャルからしたら、もう少しやれた部分もある。選手たちも「意外と戦えたな」と思っているのでは。

 

──今後の展望は
 今年の4年生は下級生の時から主力だった選手も多い。来年はメンバーが大幅に入れ替わるので一からチームを作り直すことになると思う。ただ、いつも選手たちには言っているが、スキルにしろフィジカルにしろ、どういうレベルでやるかが鍵となる。東大生は勉強ではトップランナーで、入試合格という成功体験も持っている。それがアメフトに変わっただけのこと。(東大に受かるなら偏差値がどれくらい必要か、というように)自分の中での基準を上げることの重要性は変わらない。

 

 

◇関剛夢主将(工・4年)の話

 

──今日の試合の率直な感想を
 今季初勝利ということで、素直にうれしい。残留が決まったことで、自分たちの役目はギリギリ果たせたかなと安心している。劣勢の時でもチーム全員が気持ちを切らさずにプレーできたという意味では、みんなのおかげで勝てたと思う。

 

──引退後のアメフト部の展望を
 今の下級生たちは、自分達が下級生の時と比べても、うまいし、強い。これからどんどん強くなっていくと思うが、強くなればなる分だけ、さらに強くなるために必要な労力も増えていく。それでも頑張って、TOP8優勝、さらには甲子園ボウル制覇を果たしてほしい。

 

(小田泰成)

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