
昨年の秋季リーグ戦では2勝を挙げ、勝ち点には届かなかったものの、素晴らしい戦いをした硬式野球部。今回は、秋季リーグ戦の途中から捕手としてスタメン入りし、慶大1回戦では適時二塁打を放つなどチーム初勝利に貢献した明石健捕手(農・3年)に話を聞いた。(取材・高倉仁美)
──明石選手は高校時代は遊撃手としてプレーし、東大野球部への入部時も三塁手として登録していました。捕手へ転向したのはどうしてでしょうか
入部したのが1年生の5月と少し遅かったのですが、その時点で二遊間には小村旺輔(経・3年)や門田涼平(文・3年)といった実力のある選手がそろっていました。なので、彼らとポジションがかぶらないように三塁手を選びました。しかし、実際は内野手はあまりポジションに縛られず、内野であればどこでも守るという形でした。それなら、むしろキャッチャーの方がチームにも貢献できるし、出場機会もあるのではと思い、層が薄かった捕手をやることに決めました。
──春では代打でリーグ戦初安打を記録しました。秋にかけてはどのような心持ちで練習していましたか
もちろんスタメンで出られるに越したことはないですが、それは監督が決めることです。だから、自分は自分にできる準備に集中していました。代打などで出ることになったときに、結果を出せるようにしておきたいと思っていました。(捕手としてスタメンで出場していた)杉浦海大捕手(法・4年)を抜かそうという感覚もそこまでなく、リーグ戦で対戦する投手陣をしっかり打てるようになりたいという気持ちでした。
──秋季リーグ戦では、正捕手の杉浦選手が早大1回戦で死球を受けて骨折し、明石選手が2回戦以降の試合でマスクをかぶることとなりました
1試合目でボールが当たった瞬間から、もしかすると自分が出ることになるかもしれないとは思っていました。試合中にブルペンからベンチへ呼ばれはしましたが、その日は出場せずに終わったので、2回戦で本当にスタメン入りするかどうかは五分五分と見ていました。しかし、翌日朝の打撃練習で杉浦選手の出場が難しいと分かり、スタメンで出ることが決まりました。
早大戦、明大戦はかなり緊張していたのですが、試合を重ねて、慶大戦あたりには緊張がほぐれてきました。景色や応援の音に慣れたということが大きいと思います。バッティングはダメでしたが、早大戦と明大戦それぞれで相手の盗塁を刺せたことで、守備面で自信が持てたのも関係しているかもしれません。結果がついてくるまでは、どうなるか分からないのでもちろん不安ではありましたが、自分が試合に出ている以上やるしかありません。練習でやってきたことがただ出るだけだなと思ったので、もうやるだけでしたね。

──他社の取材では守備を重点的に取り組んだということを話していました
練習では打撃も守備も同じくらい取り組んでいました。ただ、試合に向けての準備という面でいえば、捕手というポジションは投手と組んで無失点に抑えることが重要なので、守備の準備に力を入れていました。特に、相手打者の特徴を動画で把握し、配球面を考えていました。
──そして、慶大1回戦では1死満塁から走者一掃の適時二塁打を放ちました
打席に入る前は、満塁だからといって特に気負うことはありませんでした。投手と打者の勝負なので、走者がいるかどうかで、自分の打てる確率が変わるわけではありません。ここで打てたら「アツい」なとは思っていましたが(笑)。
この試合の第1打席で安打を放ち、それが今シーズン初安打でした。第2打席でもこのように良い結果が出て安心したというのはあります。やはり、杉浦選手が早大1回戦でホームランを放っていて、そのまま出続けていればキャッチャーとしてもっと打っていたのではと思っていたので、自分が出ていることでマイナスになっているという不安がありました。「杉浦選手に代わって自分が出ている意味が初めて出たな」と感じたことによる安心感だったと思います。

──リーグ戦における自身の守備に関してはどのように評価していますか
結構良い部分も悪い部分も両方出たかなと思っています。二塁送球に関してはもともと自信を持っており、ちゃんとプレーに出たかなと思います。リーグ戦でキャッチャーフライへの対応が想定よりもできた点は意外でした。一方で、ワンバウンドのボールをあまり止められないというところは、自分の課題として認識していたのですが、試合でも練習の時からの弱みが出てしまったように思います。
二塁送球は今のままでもリーグの中ではプラスだと思うので、そこは伸ばすというよりも変えずにいきつつ、全てをそつなくこなせるキャッチャーになりたいです。
──リーグ戦の打撃に関してはどのように評価していますか
慶大戦では割と甘い球が来て打てたのですが、立大戦や法大戦では苦手なコースを攻められて、たくさん三振してしまいました。甘いところを捉えられるという自信はできましたが、来季以降は他大学も苦手なコースを突いてくると思うので、冬の間になんとか修正したいです。秋の結果は今の実力を考えると70点くらいでしょうか。
──来季は4年生になりますが、後輩たちから見てどのような選手でありたいですか
数字的な結果が残ることはもちろんすごく良いことだと思います。でも大切なのは、勝負どころで一本打てるとか、接戦の終盤で冷静に配球できるとか、そういうところではないでしょうか。最終的に勝ち試合をものにできるような選手になりたいと思っています。
チームとしては来季勝ち点獲得を目指していくので、投手長の江口直希(工・3年)と連携しつつ、なんとかして抑えられるピッチャー陣を作っていきたいと考えています。個人の目標として打率3割というものはありますが、それよりもチームの勝ちに一番貢献できるような方向にリソースを割いていきたいです。

──その勝ち点獲得が現実になるために、必要なことは何でしょう
接戦を勝ち切る地力が必要だと思っています。結局慶大戦は1戦目勝ちましたが、負けた2戦目と3戦目も接戦でした。しかし、ピッチャー陣が耐え切れずにズルズル失点して、バッター陣も最初の1点で止まったまま次の追加点が取れないという展開で、接戦をものにできませんでした。勝った試合は、慶大1回戦も法大1回戦も最初から大量得点で勝てそうなムードだったので、その時勝てるのはもう分かっています。一方で、負けるかもしれないし、勝つかもしれないという接戦をなんとか勝ち切れるような地力がついたら、勝ち点もそれなりに現実的になるかなと考えています。











