スポーツニュース

2022年12月13日

【寄稿】東大漕艇部 長崎の地で宿命の対決

 

 去る11月20日、長崎県諫早市を流れる本明川にて、第3回本明川スポーツフェスタが開催され、特別企画としてボート双青戦(京大戦)が行われた。結果は、女子舵手付きクォドルプルが京大の勝利、男子エイトは東大の勝利となった。(寄稿=東京大学運動会漕艇部)

 

 本明川を拠点に社会人チームが活動する、株式会社チョープロと大会実行委員会が主催する本イベントは、今年で3回目を数える。昨年の催しにおいては、早稲田大学・慶應義塾大学が招待レースを行った。今回のフェスタでは、本明川がボート競技JOC認定競技別強化センターに認定されたこと記念し、東京大学。京都大学が招聘(しょうへい)された。

 

 本明川は、五家原岳から諫早湾にかけて延長28kmを流れる一級河川であり、下流域には国営諫早湾干拓事業によって現出した5000mを越える直線の流域が広がる。この流域の直進性や広い川幅は、ボートやカヌーといった水上スポーツの練習にとって国内屈指の好環境といえる。本大会を主催した株式会社チョープロや長崎県・諫早市といった自治体は、国とも連携しつつ官民一体となって、本明川ボートコースの整備・普及に努めてきた。近年では、ナショナルチームや実業団・大学が合宿拠点とするなど、本明川は日本ボート界において1つの地位を確立しつつある。

 

 次に、双青戦(京大戦)について紹介する。双青戦は、大正13年(1924)に第1回が瀬田川で行われた旧制一高・三高戦に起源を持ち、戦後1950年にこれを継承する形で復興された。本大会は例年、2年生以下のジュニア選手の対校戦として行われ、瀬田川と埼玉の戸田公園で隔年開催されることが特徴だ。今年6月に瀬田川で開催された第73回大会では、男子エイト、女子舵手付きフォアともに東京大学が勝利を収めた。また「双青」とは、オールのブレードカラーについて、東大がライトブルー(淡青)、京大がダークブルー(濃青)であることにちなんでおり、この2色は後に両大学のスクールカラーとなった。九州、長崎の地で、宿命のライバル同士、伝統の一戦の結果はいかに。

 

 以下、各レースを振り返る。

 

 まずは、女子舵手付きクォドルプル。漕手は、新体制で女子部主将に就いた青木(農・3年)を中心に梶谷(理Ⅱ・1年)から江口(教養・4年)まで各学年1名ずつ、さらにコックスは男子の経験豊富な土方(工・4年)と学年・男女混合の多様性に富んだクルー構成となった。また、さまざまなコーチの意見に耳を傾け、弊部のスペシャルアドバイザーである冨田千愛選手の漕ぎをクルーで観察するなど、艇速を向上させる取り組みを怠らなかった。レース本番では、スタート付近から京大にやや先行され、差を縮めることがかなわぬまま、惜しくも敗北を喫した。

 

奮戦する女子クォドルプル。左から磯崎、青木、梶谷、江口、土方

 

 次に、男子エイト。長崎遠征にむけて結成された女子とは異なり、10月の全日本新人選手権大会における男子対校エイトが、メンバーを変えずに出漕した。最後尾のバウを務める早見(理Ⅰ・1年)を除き2年生主体の東大クルーに対し、対戦相手の京大は1年生クルーが出漕。練習日程や直前のコンディション不良の影響で、十分な練習を積むことはかなわなかったものの、東大ジュニアのプライドにかけて敗北は許されなかった。スタートから東大が先行したが、京大も意地を見せなかなか差が広がらない。後半、プランより早いタイミングでコックスの大星(工・2年)からスパートのコールが入り、1艇身ほどの差で東大が勝利した。

 

力漕するエイト。左から早見、鹿出、菊地、佐藤、加藤、中村、國分、小野田、大星

 

 今回の長崎遠征は、本明川ボートコースの魅力をPRし、周辺住民と交流する貴重な機会であり、そのような場でレースをさせていただけたことは非常に光栄なことだった。大会主催者をはじめ、本明川スポーツフェスタ開催にご尽力された全ての方に感謝したい。また、東大漕艇部にとっては、シーズンの締めくくりであり、さらに来年戸田で開催される双青戦第74回大会の前哨戦となった。レースの前日、京大のある1年生からこう言われた。「来年は、戸田に勝ちに行きます」と。来年の6月、東大はエイト3連勝を賭け、京大は3年ぶりの雪辱を果たすべく激突する。シーズンでの飛躍を胸に、冬場の進化が期待される。

 

東京大学運動会漕艇部

漕手 中村耕大

 

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