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2022年11月30日

【寄稿】115年続く東京大学の文芸誌『新思潮』が35年ぶりに復刊

 
 
 1907年に誕生した、東大系の同人雑誌『新思潮』。35年ほど新たな刊行のなかった同誌がこの秋復刊したという。プロジェクトの実施団体による寄稿だ。(寄稿=新思潮 第二十一次制作委員会)
 
 

新思潮復刊プロジェクト

 
 1907年に小山内薫が発行し、芥川龍之介、菊池寛、川端康成らが寄稿してきた『新思潮』が35年ぶりに第73回駒場祭にて復刊した。東大大学院人文社会系研究科の教授の協力の下、第二十次活動メンバーの了解を得て、第二十一次創刊号が刊行される運びとなった。
 
 
 『新思潮』の始まりは、1907年に小山内薫の発行した第一次だ。以降、第二次に、谷崎潤一郎、第三次〜第四次『新思潮』には、菊池寛、芥川龍之介、第六次には川端康成などが寄稿していた。
 
 
 しかし、そんな歴史ある同人誌『新思潮』は1987年に第二十次を創刊して以来、約35年もの間、新たに刊行されることはなかった。それは『新思潮』について代々受け継がれてきた「代替わりする際には、必ず前任者の了解を得て刊行する」という“伝統“を、継承することが出来なかったためだ。27年前、熱意ある学生たちが『新思潮』の創刊を夢に同人作品を書き上げていたにもかかわらず、その名での創刊を断念せざるを得なかったのである。
 
 
 そんな状況の中で、私たちは活動を始めた。私たちも前任者の方々にたどり着けない可能性を危惧しながらも、方々に連絡を取った。そして、奇跡的にも第十九次、第二十次の各メンバーと連絡を取ることができたのである。
 
 
 本誌に使用されている紙は7,300種類から厳選されており、電子書籍が台頭する今だからこそ、紙の本が持つ価値を見直した一冊となっている。作品毎に使用されている紙が変わる他、レーザー加工を用いた特殊印刷も施されている。また、一枚ずつパターンの変わる特殊用紙を用いることで、発行した書誌はすべて異なるものとなり、それぞれ世界で一冊しかない本になっている。
 
 
 オンライン販売は本日(11月30日)まで実施されており、利益は出ない形で価格設定はされている。復刊させたことを本学関係者に広く知ってもらうことで次の世代に襷(たすき)をつなぐことがプロジェクトの目標である。
 

書誌内容

– 前任者から聞く当時の新思潮の活動
– 「文學界」編集長が見据えるこれまでとこれからの文芸
(大成する作家の特徴、優れた編集者にとって必要な資質など収録)
他にも詩1作品、小説2作品、論説1作品、取材1作品が掲載

 
 

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