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2021年10月21日

乳がん発症環境が整えられる仕組みを解明

 竹内康人助教、後藤典子教授(共に金沢大学)、東條有伸教授(東大医科学研究所=研究当時。現名誉教授)らは10月15日、乳がん発症の超早期にがん細胞を取り囲む「微小環境」が形成される仕組みを共同で発見した。微小環境は乳がんの発症に必須であることから、将来的にはがんの発症予防や早期治療につながることが期待される。成果は、18日の週の米学術誌『米国科学アカデミー紀要』(電子版)に掲載される。

 

 発症したがんを完全に治すことは難しいため、発症予防や超早期治療が重要である。しかし、多くのがんで発症の前段階の状態(前がん病変)やがん細胞が増殖を開始する仕組みが解明されておらず、予防法、超早期治療法は開発されていない。

 

 今回の研究では、乳腺の一部の細胞に発現する分子「FRS2β」に着目。乳がんを発症するマウスを用いてFRS2βを持つ乳腺とFRS2βを欠失した乳腺にがん細胞を生み出す「がん幹細胞様細胞」を移植し乳腺微小環境を比較した。比較によると、FRS2βにより、炎症反応に関わる因子が活性化された前者では腫瘍塊が発生し、FRS2βを欠失した乳腺では全く腫瘍が発生しなかった。この結果から、FRS2βが炎症に関わる因子を活性化することで乳がん発症の超早期微小環境が作り出されるという仕組みを解明し、がん細胞の増殖開始にはFRS2βによって微小環境が整えられることが必須であることを示した。

 

 今後は、乳がん発症前に整えられている微小環境を標的とした治療に応用されることが期待される。

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