実家は和歌山県の山間部にある寺院。自然に囲まれ育った。実家を継ごうと思い、海外から注目を浴びる禅や仏教の魅力を広く伝えるため、語学を含めた教養をつけるべく東大を受験。農業への道も視野に入れ、後期課程では農学部に進学した。環境負荷の少ない農法の開発 を専門に学ぶ。
慣れた環境である田舎は心地よい。若者が少ない地方では若者の存在に意義があり、自らが必要とされやすい。寺に生まれた自身は幼い頃から地域の人と多く関わってきた。「育ててくれた地元に恩返ししたい」その思いを胸に抱き、僧侶として実家を継ぐと決めた。地域の人に寄り添い、深くつながれるのが仕事の魅力だ。
僧侶の仕事に加え、畑を持ち、多くの人が参加でき、化学肥料や農薬に頼らず自然の力で収穫を得る農業を見据える。吉田松陰を尊敬し、子どもが勉学だけでなく幅広い視野を持てるような寺子屋も作りたいという。地元や自然への愛を胸に、これからも精進する。【莉】