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2017年7月22日

医・上田教授ら 細胞レベルでがん転移解析可能に

 上田泰己教授(医学系研究科)らは、臓器の組織などを高度に透明化し、がんの転移を全身・全臓器において1細胞レベルの解像度で解析可能にする技術を開発した。がんのみならず、自己免疫疾患などさまざまな病気の病態解明や治療法開発が期待される。研究成果は米科学誌「セルリポーツ」(電子版)に現地時間5日付で掲載された。

 

 がん転移の研究では、少数のがん細胞から成る微小な転移を観察する技術が確立されていなかった。上田教授らは個体・臓器を1細胞レベルで観察するため実験体を透明化する研究を進め、2014年には特殊な試薬でマウスの全身透明化に成功していた。

 

 上田教授らは今回、試薬の屈折率を臓器ごとに最適化することで、マウスの全身・全臓器の1細胞レベルでの透明化を達成した。また、この技術を応用してマウスの肺がん細胞を観測し、通常がん細胞の多くが転移前に死ぬ一方で、細胞間の接着が消失した状態では多くが転移巣を形成すると明らかにした。乳がん細胞が抗がん剤投与後も残存する様子を1細胞ごとに観察することにも成功。わずかでもがん細胞が残存すると再発の恐れがあり、有効な抗がん剤開発に今回の技術が有効だと期待される。

 

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 この記事は、2017年7月18日号に掲載した記事の転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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