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2021年3月21日

2020年度学部卒業式 卒業生総代(理系)答辞全文

 日を追うごとに暖かさを増していき、春の芽吹きを感じる季節となりました。本日、私たち卒業生のためにこのような式典を催していただき、誠にありがとうございます。また、ただいま五神総長から告示のお言葉を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。

 

 私は理学の道を極めることを夢見て、推薦入試で東京大学に入学しました。前期教養課程では幅広い教養を身に付けさせていただくとともに、推薦生として理学部物理学科の先生方にご支援いただき、興味の赴くままに物理の様々な分野を学びました。後期課程では理論物理、実験物理の基礎を学ばせていただくとともに、演習の授業やゼミナールの中で、物理の問題について先生方や学科同期の皆様と議論させていただきました。時に議論は白熱し、気がつくと外がすっかり暗くなってしまっていることもありましたが、この経験は非常に刺激的で、多くのことを学ぶことができました。

 

 また、私は学部3年の時に、東京大学理学部の留学プログラムであるSVAPのプログラム生として、ウィーン大学の研究室を訪問させていただきました。そこでは、量子情報理論の中の高階量子演算と呼ばれる分野の研究を行いました。この訪問を通して、様々なバックグラウンドを持つ人たちと交流させていただき、多様な考えを知ることができました。このことから、物事をより客観的な立場から捉えることができるようになったと思います。また、私にとって海外で研究活動を行うというのは非常にハードルが高く、途中で挫けそうになることもありましたが、それでも実現することができたのは、先生方や職員の方々からのご支援や友人たちの存在が大きかったと思います。特に、友人たちが学業や課外活動などにおいて、それぞれ自分の決めた道に従って努力する姿を見ることで、私も新しいことに挑戦する勇気をいただきました。

 

 私たちは今日卒業の日を迎え、それぞれが自らの決めた方向に進んでいきます。その行先には、解決すべき問題が山積みになっていることと思います。私たちには、東京大学で学んだそれぞれの専門分野を生かし、協働しながらこれらの問題に対処していくことで、世の中をより良くしていく使命があります。そのために、今後も様々なことを学び、より一層の努力をしていくことを誓います。

 

 最後になりましたが、本日に至るまでご指導、ご支援して下さった先生方、職員の方々、ともに学び、切磋琢磨しあった友人たち、そして、一番身近な存在として私たちを支えてくださった家族に、心より感謝申し上げます。東京大学がこれからも素晴らしい発展を遂げていくことを祈念して、答辞とさせていただきます。

 

令和3年3月18日

卒業生総代 理学部物理学科 吉田智治

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