文化

2022年10月6日

東大生協書籍部売り上げランキング(2021年8月~2022年7月)

 

 東大生はどんな本を読むのだろう? 東大生協本郷書籍部と駒場書籍部に提供してもらった 2021年8月~22年7月の1年間の書籍の売り上げデータを、ジャンル別にランキング形式で掲載する。総合1位に輝いたのは、本郷では機械学習の一種である深層学習を扱った『深層学習 改訂第2版』、駒場では前期教養課程の主題科目「ボーカロイド音楽論」(ぱてゼミ)の内容を書籍化した『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』だった。ランキングから東大生の興味や、本郷と駒場の違いが分かるかもしれない。(構成・佐藤健)

 

東大生は哲学がお好き?

 

【総合】

 

 

 本郷の1位は『深層学習 改訂第2版』(講談社)。人間の脳を模したアルゴリズムを用いる機械学習の一つである、深層学習の手法を体系的に扱う。改定前の版である『深層学習』は2015年8月~2016年7月の売り上げが本郷で1位だった。根強い人気がうかがえる。

 

 駒場の1位となったのは『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』(文藝春秋)。鮎川ぱてさんによる前期教養課程の主題科目「ボーカロイド音楽論(ぱてゼミ)」を書籍化したもので、ボーカロイド楽曲を人文学的な視点のみならずジェンダー論や記号論を用いて分析する。2冊とも総合部門10位までには本郷と駒場どちらかのみの登場で、両者の違いが表れた。

 

 大陸哲学を扱う『暇と退屈の倫理学』(新潮社)は國分功一郎教授(東大大学院総合文化研究科)の著書で、本郷で2位、駒場で3位となった。「暇」とは何か、人類にとって問題であり続けている人生の問いを論ずる。『現代思想入門』(講談社)は本郷で4位、駒場で2位。20世紀フランスで展開され、ポスト構造主義とも訳される「現代思想」をデリダやドゥルーズ、フーコーの3人の哲学者を通して学ぶ。著者の千葉雅也さんと國分功一郎教授との対談をまとめた書籍が昨年出版されるなど、気鋭の哲学者2名の書籍が本郷と駒場の両方にランクインした。

 

 

【文庫】

 

 

 本郷と駒場ともに文庫1位は総合部門にランクインした『暇と退屈の倫理学』。次いで本郷で2位となったのは『着眼と考え方 現代文解釈の基礎 [新訂版]』(筑摩書房)。当初は高校生向けの現代文の参考書として刊行された本書は刊行から50年以上を経て復刊され、日本語の教養を身に付けたいさまざまな世代に読まれている。

 

 駒場の2位は本郷の3位にもランクインした『思考の整理学』(筑摩書房)。「東大・京大で1番読まれた本」というコピーでも有名な「思考法」の入門書。駒場の3位は『すべてはモテるためである』(イースト・プレス)で、他の書籍とは少し趣きが異なる恋愛指南書となった。

 

【新書】

 

 

 本郷の1位は宇野重規教授(東大社会科学研究所)の『民主主義とは何か』(講談社)。民主主義を取り巻く現代社会、その理解の上で必要な民主主義そのものの思想史を扱い、駒場でも4位にランクインした。

 

 駒場の1位と本郷の2位は総合部門でも取り上げた『現代思想入門』。続いて駒場の2位は『現代ロシアの軍事戦略』(筑摩書房)、小泉悠講師(東大先端科学技術研究センター)の著書だ。2022年度S1タームには同講師による、ロシア・ウクライナ戦争を分析し、軍事戦略と安全保障論の最前線を学ぶ授業が開講された。本書はその参考書に指定されていたものだ。最新の軍事技術や戦略手段を用いてハイブリッドな戦争を行うロシアを分析する。駒場と本郷両方で3位となった『人新世の「資本論」』(集英社)は斎藤幸平准教授(東大大学院総合文化研究科)の著書。人類の経済活動が環境を破壊する「人新世」に警鐘を鳴らし、マルクスの『資本論』を手掛かりに解決策を探る書籍だ。

 

【人文社会】

 

 

 『「私物化」される国公立大学』(岩波書店)が本郷の1位に。東大も取り上げられ、学長中心のトップダウン経営を目指す「ガバナンス改革」の現状を記す。2位の『言語学バーリ・トゥード』(東京大学出版会)は駒場の4位にもランクイン。日常に潜む言語学を、ユーモアを交えて解説する内容だ。

 

 総合部門でも1位となった『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』に続き、人文社会部門で駒場2位となったのは『文系研究者になる――研究する人生を歩むためのガイドブック』(研究社)。生きづらいとされる文系研究者のキャリア形成の指南書。駒場で3位の『歴史とは何か』(岩波書店)も本郷で4位にランクインした。

 

【文芸一般】

 

 

 本郷、駒場ともに1位となったのは、独ソ戦で村ごと母親を殺された少女セラフィマが復讐のため狙撃兵として戦地へ赴く『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)。著者のデビュー作でありながら今年4月の本屋大賞を受賞した話題作だ。

 

 本郷の3位の『猫と東大。猫を愛し、猫に学ぶ』(ミネルヴァ書房)は東京大学広報室の編集で作られた。東大で行われる猫に関するさまざまな分野の研究やキャンパスの猫などを取り上げている。

 

 駒場の2位は『最新版 論文の教室』(NHK出版)。1、2年生の多い駒場キャンパスらしく、論文の書き方を分かりやすく解説した書籍がランクインした。

 

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