学術ニュース

2020年6月21日

新型コロナ 理研・製薬2社と基本合意 治療薬実用化目指す

 東大、理化学研究所(理研)、日医工、第一三共の4者は8日、新型コロナウイルス感染症(COVID 19)の治療を目指す共同研究開発実施に向けた基本合意に達したと発表した。7月より非臨床試験を開始予定で、来年3月までの臨床試験開始を目指す。

 

 ナファモスタットは急性膵炎などの治療に使用される注射剤。開発元の日医工がフサンという商品名で製造・販売する他、特許が切れた現在は後発医薬品(ジェネリック医薬品)の販売も進んでおり、安全性についても十分な臨床データが蓄積されている。井上純一郎教授(東大医科学研究所、現・東大特命教授)らは今年3月、COVID 19の原因ウイルスであるSARS CoV 2が細胞に感染する最初の過程をナファモスタットが阻害することで、ウイルスの侵入過程を効率的に阻止する可能性があると発表していた。

 

 今回の基本合意によると、理研は同研究所の「創薬・医療技術基盤プログラム」に基づき、多方面の先端研究を用いてその応用を支援。日医工は、フサンの点滴静注に関して蓄積してきた臨床データの提供や共同研究開発における原薬の供給を行う。加えて第一三共は、同社の抗インフルエンザウイルス薬開発で得た技術を生かし、現在臨床では注射剤として使用されるナファモスタットの吸入製剤化の研究開発を推進する。


この記事は2020年6月16日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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