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2018年8月8日

東大大学院生が太陽系の外にある惑星を、一度に国内最多となる44個発見

 ジョン・リビングストンさん(理学系・博士3年)らは、太陽系の外にある惑星を一度に44個発見した。一度に発見された惑星の個数としては国内最多。今回発見された惑星は明るい恒星の近くに位置し、今後も継続して観測しやすいため、岩石から成る地球型惑星の形成・進化を理解する一助となり得る。成果は8月2日付の米国の天文学誌『アストロノミカル・ジャーナル』に掲載された。

 

 2009 年に打ち上げられたアメリカ航空宇宙局(NASA)のケプラー宇宙望遠鏡は、5000個を超える系外惑星とその候補を発見してきた。しかし2013 年の故障以降は精度を欠き、ケプラー宇宙望遠鏡で観測された天体を惑星だと実証するためには惑星候補を地上で観測する必要が生じた。故障以降、300 個弱の惑星が実証されてきたが、より多数でさまざまな惑星の実証が求められていた。

 

 リビングストンさんらは今回、ケプラー宇宙望遠鏡の生データを用いて恒星の明るさを精密に測定し、惑星候補を72個に絞り込んだ。その上で、比較的容易に高い解像度を得られる手法を用い、惑星候補の画像内に近くの恒星が紛れ込んでいる可能性を排除。併せて惑星の光を波長ごとに観測し、惑星の大きさや温度も精密に推定することで、惑星候補72個のうち44個の惑星の存在を実証した。

 

 従来ケプラー宇宙望遠鏡が発見した惑星は暗く、別の手段でより精密に観測・分析するフォローアップ観測が困難な一方、今回観測された惑星は明るいためフォローアップ観測が容易。44個のうち18 個は複数の惑星系に属し、4 個は周期が1日未満で、1個は寿命が近い赤色矮星の周辺にある金星より小さい惑星である。今後はこれらの惑星のフォローアップ観測を通じて、岩石から成る地球型惑星の形成・進化の解明が期待される。

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