学術ニュース

2023年2月11日

臨時休校中の夜型生活 学校再開後の生活習慣に影響

 杉本南特任助教(東大未来ビジョン研究センター)、村上健太郎助教(東大大学院医学系研究科)、佐々木敏教授(同研究科)は、コロナ禍の臨時休校中の小中学生の起床・朝食時刻と学校再開後の起床時刻、睡眠時間、清涼飲料水の摂取量の間の関係を明らかにした。1月23日付の『Journal of Nutritional Science』で公開された。

 

 新型コロナウイルスの流行に伴い2020年から世界各地で行われた臨時休校。これまでも休校中の生活習慣の変化が、学校再開後の生活習慣に影響を与えている可能性が指摘されていた。ただ、休校中から学校再開後の睡眠習慣、食事習慣の変化は明らかになっていなかった。

 

 杉本特任助教らは、全国14都道府県の47の学校・団体に所属する小中学生を対象に、学校再開直後の20年6月と、平常に戻った後の20年7月から21年2月にかけて1回ずつ質問票を配布。休校中の生活習慣と再開後の生活習慣について質問し、運動習慣や就寝・起床時刻、睡眠時間、主な栄養素、食品群の摂取量を4084人について休校中と再開後で比較した。

 

 調査の結果、学校再開後、全体的に起床時刻は1時間程度早くなり、睡眠時間は0.94時間短くなっていた。摂取量は、ビタミンB1、ビタミンB6、カリウム、果物類、乳製品類で増加、砂糖・菓子類、清涼飲料類で減少したが差は小さかった。休校中の起床と朝食の時刻が遅い子どもは、起床時刻の早期化、睡眠時刻の短縮、清涼飲料類摂取量の減少がより大きく表れていた(図)

 

(図)休校中の起床、朝食の時刻などによって子どもを「とても遅い」「遅い」「早い」「とても早い」パターンに分類。黒丸が休校中、白丸が再開後で、最下段の清涼飲料水の摂取量で「とても遅い」パターンの子どもの変化が顕著に表れている

 

 今回の研究により、登校が子どもの起床時間に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。一方、食事摂取量では影響が比較的小さく、杉本特任助教らは家族が休校中も子どもの健康や食事に配慮したためと推測している。今後長期休校が行われた場合、その後の学校再開時には夜型で生活をしている子どもの方が睡眠習慣の変化が大きくなることが示唆された。

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る