学術ニュース

2021年3月29日

東大ら国際研究チーム、地球型の系外惑星を発見

 成田憲保教授(東大大学院総合文化研究科)らの参加する国際研究チームは、太陽系から約26光年の距離にある恒星Gliese 486の周りを公転する惑星Gliese 486 bを発見した。成果は5日付けの米科学雑誌『サイエンス』へ掲載された

 

 2021年現在、惑星が恒星の前を通過して光を遮る「トランジット」という現象を利用して、NASAのトランジット惑星探索衛星TESSが惑星を探索している。今回発見された惑星は、TESSを用いた観測によって2020年5月7日に惑星候補として発表された。しかし、発見された減光が惑星によるものか、恒星同士が食を起こしているのか断定できなかった。

 

 日本の観測チームは成田教授らが開発したカメラを用いて、トランジットを複数の波長帯で観測する多色トランジット観測を、2020年5月9日と12日に行った。この観測により減光を起こしているのがGliese 486であること、減光の割合が観測した全ての波長帯で同じであり、減光は惑星によるものだということが分かった。

 

 スペイン、ハワイの地上望遠鏡の観測データを総合すると、Gliese 486 bは質量が地球の約2.8倍、半径が地球の約1.3倍で、岩石を主体とする地球型惑星であることが分かった。この惑星は公転周期が1.467日しかなく、表面温度は摂氏400度を超えると推定されるため、生命は存在できないと考えられるという。

 

 Gliese 486 bは太陽系から約26光年という天体の中では比較的近い距離にあり、公転周期が短く、温度が高いという大気の組成を調べる上で有利な特徴を持つ。今後惑星大気について詳しく調べられる地球型の系外惑星として重要な観測対象になると期待される。

 

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