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2025年12月19日

シカ防除柵の効果を検証 クラウドファンディング実施 東大など研究チーム

 東大先端科学技術研究センター(先端研)の西澤啓太助教らの研究グループが、11月25日からシカ防除柵が生態系にもたらす影響の分析に向けたクラウドファンディングを開始した。

 

 近年、ニホンジカの生息域が拡大し、生息密度も高まっている。シカが樹皮を食い荒らすことによる被害は全国の森林の3割で確認され、下層植物の食害は貴重植物の消失や土壌の流出を招いている。森林をシカから守るため、各地でシカ防除柵による植生の保護が進んでいる。

 

 西澤助教らのチームは、シカ防除柵の内外で、植生や昆虫・微生物の分布などの生物多様性や土壌の炭素貯留量の違いを調査する。市民参加型のプロジェクトを想定し、チームが送る調査道具を用いて参加者が調査を実施。得られたサンプルをチームが分析する。全国50サイト以上でサンプル調査を行うことで、全国的なシカ被害や対策を可視化し、効果的な防除計画への活用を目指す。

 

 得られた資金は調査キットや解析機材に充てられる予定。調査への参加者は来年4月から募集し、資金拠出の有無を問わず応募を受け付ける。

 

 クラウドファンディングは学術系クラウドファンディングサイト「academist」上で「人とシカが共生できる社会へ!市民科学で防鹿柵の効果を見える化する」の名で実施されている。12月15日時点で当初の目標金額の150万円を達成し、300万円を新たな目標に設定している。期間は来年1月19日まで。

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